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学園転移~人狼になった俺の異世界生活~  作者: 蜜柑【オレンジ】
三章 
41/52

ワン! ワン! ワン!! 3

何故、ヤシロ達は空から落ちてきたのか。


それは今より少し前・・・・・・大体三十分前くらい前へと遡る。









▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ! ザッ!



「ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ!」



軽快な走る音とそれに合わせるような一定の息づかいで道なき森の中を走るヤシロ。

途中大きな石や巨大な木の根っこを軽々と飛び越えながらも速度を落とさず走り続けていた。




そんなヤシロの背中では


「しかし(もぐっ) この先に(もぐっ) 何があるのかしらね(もぐもぐ ゴクン!)」

「さあ? (パクッ)でも(もぐ) 只の寄り道ですしね、おかしなことがあれば引き返せばいいですし。(もぐもぐ) 面倒ごとは嫌ですしね(ゴクン)  ヤシロ、はいこれ(ポイッ)」

「(パクッ!)そうだな、(ムグムグ ゴクン!) というか俺、面倒なことには首を突っ込まないように心がけてるんですけど。 一応。

つーかノア、もう少し大きい干し肉投げてないか? 巨狼状態だと物足りねーよ。」


そう言って俺は、先程干し肉を投げてくれたノアに頼み込んだ。

俺の背中では現在クレアとノアが小腹が空いたといってバックの中から出した干し肉を食べていた。そんな二人の膝の上ではサクラとモミジがちょこんと座り口をモグモグと動かし何かを食べていた。

二人が食べているのはクレア達が軽く噛んで柔らかくした干し肉であり、二人はそれをおいしそうに頬張っていた。

そんな4人の隣ではスライムさんも干し肉を少しづつちびちびと溶かして食べていた。


かなり早めに走っているのに4人と1匹は何事もないように干し肉を頬張っている、途中スライムさんと目玉さんがジャンプしたと同時に浮いて飛ばされそうになったが、クレアの糸に絡められて救出されてたのはご愛敬だ。


「一応でしょう。

でもヤシロって、なんだかんだ言って面倒ごとに巻き込まれる性質じゃないの?」


そう呆れた声を出しながら干し肉を咥えるクレア。


「いやいやいや そんな不吉なこと言わないでよ、俺はのんびりと生きていきたいの。そんな面倒な性質はゴミ箱にー、ポイだっつーの。」

「残念この性質は解除不可です」

「俺の性質は呪いの装備か?!!」




こんな感じで和気あいあいとしながら走り続けると森の先から光が見えてきた。






「おっ、そろそろ抜けるな。それじゃあちょっと本気で走るか」

「ちょっとー、本気で走るのはいいけど気をつけてよ」

「分かってるって。 それじゃあいくぞー! ダッシュ!!」


かけ声と共に走るスピードを上げるヤシロ。


どんどんと大きくなる光。







そしてヤシロ達は一際大きなジャンプをし森を抜け




「出れたー! ・・・・・・あれ?」





宙に浮いた。









そしてヤシロは気付いた、先程まで踏みしめていた地面がないことに。そして下を見ればどう見て地面が遠すぎていた、そしてヤシロは瞬間的に悟った


(あっ、落ちるわ これ)


と。



それと同時に背中の二人も気付いたが後の祭り、一時停止のように宙に浮いていたヤシロの体は重力に従い思い出したかのように加工し始めた。


「「「・・・・・・」」」


しばしの無言、そして次の瞬間


「「「((の)(みゃ)(ひゃ)ぎゃ)ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」


「「きゃあーーー♪!」」


ヤシロ、クレア、ノアの三人が絶叫しながらスカイダイビング並みの高さを落ちていく。逆にサクラとモミジはなにが面白いのか、笑っていた。 そして俺はこんな時でも二人の大物ぶりに少し笑ってしまった。


「だから気をつけてって言ったでしょうがバカーー!!!」

「ごめんなさーーーーい!!!!!」


落下中にクレアの怒りの声とヤシロの情けない謝罪の声が聞こえたが、そんな声も数秒後にはほとんど聞こえなくなりヤシロ達もどんどんと小さくなってほとんど見えなくなってしまった。






そして崖の上からスカイダイビングという貴重な体験をしたヤシロ達。


最終的には地面すれすれでクレアの糸を使ったり、ヤシロがつい先日ノアとの追いかけっこで空を駆けるためにつくった氷の足場の魔術を思い出し少し減速して地面に落ちていった。











▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


そして(現在)


俺達の目の前には緑色の肌をした鷲鼻の人間(?)みたいな生き物たちと犬を二足歩行させたような生き物たちがいた。


そんな両方の生き物たちは全員こっちを見て呆けたような顔をしながらまるで時間が止まったかのように動かない、。


・・・・・・いやん俺すっげえ注目されてる、はずかちぃー





そんな馬鹿みたいなことを考えていると緑色の肌をした方。

周りが腰布 棍棒の中一体だけロングソードの奴がハッとしたかのように声を上げる。


「キサマア! ドコカラ湧イテキタ!!」


耳障りなキイキイ声でしかも怒ったような口調でそう言うロングソード野郎


「湧いてきたもなにも、パラシュートなしのスカイダイビングよろしく崖落ちてきたんだから落ちてきたならまだしも湧いてはないぞ」

「ソウ言ウ意味ジャネエ!!!」


俺の軽い冗談に緑色の顔を真っ赤にしそうな程怒りをあらわにするロングソード野郎。

というか、冗談も通じないのかこいつ。只でさえ残念な存在なのが更に残念になったぞ。



(ちょんちょん)

「ん? どうした ノア?」

「ヤシロ、この緑色の生き物はゴブリンです。しかも人語を理解しているところを見るにホブゴブリンなのでしょう。

それと、そこのロングソードを持っている奴が言った湧くというのは『どこから現れた』という意味だと思います。」

「いや、分かっているから。ただ、冗談が通じるか試しただけだから意味が分からなかったていうわけじゃないから。」


俺の言ったことを真に受けたのか、俺のピンと張った三角の耳に口を近づけ補足するノア。その隣ではクレアが顔を背け口元を手で抑え肩を震わせていた。更にその膝の上ではサクラとモミジが不思議そうな顔をして目を背けるクレアを見上げている。





・・・・・・クレア、お前一応分かってただろう。何でノアに教えなかったの?



そしてサクラとモミジ!!

は、 やっぱり可愛いなー! うん、その仕草写真に収めたい。というか動画でとっていたい。




そんな阿呆なことを考えていると


目の前にいたロングソードを持つホブゴブリンが俺の背中にいる者達・・・・・・正確にはクレアとノアに気付いたかと思うと、なにを思いついたのか口の端を上げニヤニヤしながら声をかけてきた。


「ギャギャ! オイ!ソコノ犬野郎!」

「ん? 犬?・・・・・(くるっ)おーい呼ばれてるぞそこの犬の人」

「チゲーヨ!! ソコノデケーオ前ダヨ! ソウ!オ前ダヨ」


何だよ、犬野郎ていうから後ろの犬みたいな人達だと思うじゃん。しかも俺、狼だから犬じゃねえし。


「チッ! マアイイ、オイ!ソコノオ前ソノ背中の女共ヲ置イテイキナ!ソシタラ命ダケハ助ケテヤラア」


・・・・・・・・・・


「ツイデニソコノ小ッコイヤツラモモラッテヤ「黙れ」アッ?」

「黙れ、もしくはその汚い口を一生開けるなといったんだよ、聞こえなかったのか?この生ゴミ色野郎」


静かに、そう静かに目の前のホブゴブリンにそう言うヤシロ。

その声音は抑揚がないが聞く者によれば恐怖を与える程の静かな威圧が込められている。


しかし目の前のホブゴブリンはそれが分からないのか、はたまた分かっていてやっているのかヤシロに向けてまるで愚者を見るような目で見てくる。


「ソウカ、ソンナニ俺達二殺サレテエノカコノデカ犬ガ・・・・・ナラオ望ミ通リ殺シテヤラア!!」


そう言いながら周囲のゴブリン達に合図を送るホブゴブリン。

それと同時に周りのゴブリン達が動き出す。ゴブリン達は各々の得物である棍棒やさびた斧、折れた長剣などを振りかぶり目の前にいる巨大な狼を殺しクレア達を奪おうとする。


ゴブリン達は自分達が負けることなど全く想像していない。彼らの中では既に目の前の巨狼を殴り殺しその背に乗る二人の美女を自らの欲望の赴くままに蹂躙し悲しみと絶望の顔を見ることに興奮していた。


金切り声を上げ早くも喜悦の笑い声を出しながらヤシロ達に群がろうとする数十匹のゴブリン達。

そして先頭のゴブリン達とヤシロとの距離があと少しというときにそれは起こった。





パキッ






その(異常)はあまりにも小さく、ゴブリン達もそして耳のいいはずのコボルト達でさえ気付かない。唯一それに気付いたのはヤシロの背に乗る二人、クレアとノアのみである。


そしてヤシロを知る彼女達はこれから目の前に迫るゴブリン達の末路にほんの少し、うじ虫程度の同情をした。










そして次の瞬間








パキンッ!











そんな冷たい音と共に一瞬にして、ゴブリンもろとも景色が凍った。





いや詳しくは()()()()()()()()()()ゴブリン達が迫り来る姿勢のまま凍っていた。





パキッ パキッ パキッ パキッ


そんな渇いた音と共にゴブリン達に向かって歩き出すヤシロ、そして一番先頭にいたゴブリンの目の前に行き




ペチン



自身の前足で氷の彫像と化したゴブリンをまるでデコピンのように軽く叩いた。


その瞬間





ピシッ!  ピシピシピシ!


ゴブリンの氷像にひびが入り始めそして




バキンッ!!


ゴブリンの氷像が粉々に砕け散った。


しかしそれだけでは終わらない


バキンッ!! バキ バキ バキ バキ バキンッ バキンッ!!


一体の氷像が壊れたのを皮切りに次々と氷像となったゴブリン達がキラキラと氷の破片をまき散らしながら壊れていく。そして数秒後には一番先頭にいた十数体のゴブリン達が原形も残さず氷の破片となって消えていった。






先程まで生きていたゴブリン達が氷の破片となったその光景にヤシロの後ろにいたコボルト達は皆一様にその顔に驚愕の表情を浮かべ目の前にいる巨狼を見る。

そしてコボルト達は皆息を飲んだ、先程まで四足歩行であった巨狼は立ち上がり二足歩行となるところを、そしてその場にいる全てのコボルト達は同時に思った、目の前にいるあの巨狼は人狼だと。しかしコボルト達の中には不思議と恐怖はなかった。そのかわり憧れににた何かがコボルト達の中に芽生えていた。













そんなコボルト達の変化に気付かずヤシロは二足歩行となって未だ残っているゴブリン達に近づく。


そして次のゴブリン達の前でヤシロは止まりその右手を《獣化》により倍以上の大きさに肥大化させ振り上げる。

















 そのゴブリン達は先程砕かれたどのゴブリン達より悲惨であろう。

何せ半端に近づきすぎたため体は動かないがその意識ははっきりとしているのだから。 そして彼らはヤシロが振り上げた腕によって生きたままその体をバラバラに砕かれた。 ゴブリン達は砕かれた自身の体の痛みを幻視し叫ぶが、その叫ぶ口でさえ凍らされているので彼らは無言のまま少しづつその命の火を小さくしていきやがて死んでいった。




 そしてしばらくして残ったのはあのロングソードを持ったホブゴブリンのみであった。そのホブゴブリンにヤシロはゆっくりと近づいていく。

 そんなヤシロにホブゴブリンは先程とはうってかわってまるで猛獣の前にでも放り出された小動物のように震えている。

そんなホブゴブリンは足下が完全に凍っている以外は薄らとその体が凍っている状態なのでその気になれば逃げれるだろう。しかしホブゴブリンは先程自身の仲間たちが慈悲も無く無惨に砕かれたのを見、ホブゴブリンの頭の中にはどうやって目の前の人狼(悪魔)から逃げられるのか、その頭を今までにないほど使いそれだけを考えた。











だが、それはあまりにも遅すぎた。





パキッ



その音はホブゴブリンの耳に異常にすんなりと入っていった。最早死神の足音と錯覚してしまいそうなその音にホブゴブリンは震えながらその首を上げる。いや上げてしまった。




そしてホブゴブリンは後悔した。過去の自身の浅はかな行動と言動を。そして現在自身を見下げる黒い人狼の顔を見たことを。





ヤシロのこの時の表情はヤシロ自身ですら分からない。

いや、多分目の前にいるホブゴブリンですら分からないであろう。

無表情なのかはたまた憤怒の表情なのか。


ヤシロの今の表情はその場にいた誰もが分からないだろう。只唯一分かるのはその時ホブゴブリンを見るヤシロの目は()()()()()彩られていたということだけである。


そしてホブゴブリンを前にしたヤシロは肥大化させた腕を真っ直ぐ振り上げる。そしてそれと同時にその腕に《雷魔術》を纏わせ始めた。




バリ! バリバリバリバリバリバリバリ!!!!







辺り一帯を照らすほどの雷が振り上げたヤシロの腕に帯電していく。





ホブゴブリンはそんな光景に絶望の顔を浮かべながら声にならない叫びを上げている。

ホブゴブリンは自身が生き残るためヤシロに訴えようとした命乞いの言葉は最早意味をなさないことをヤシロの目を見て直感的に感じたのであろう。それでもホブゴブリンは死にたくない一心で声を出そうとするが自身の意思に反し声は全く出ない。


それでも足掻こうとするホブゴブリンは次の瞬間。






ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!



雷を纏わせたヤシロの拳によってその身を雷で焼かれた。


「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


声にならない叫びを上げながらその身を雷で焼かれるホブゴブリン。その状態は数秒続いた後ホブゴブリンを焼いていた雷は自然に霧散した。そしてその後に残ったのは黒く炭化したホブゴブリンだったもの。しかしそれも不意に吹いた風によってボロボロに崩れ去り風に舞っていく。


こうして先程までここにいたゴブリン達は一匹残らずその体ごと存在を消された。






そしてそれを行った張本人(犯人)はというと。


「うん、スッキリした!!」


この場にこれほどといっていいほど似合わない爽やかな笑顔を人間形態になって浮かべていた。



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