幕間 それは次なる騒動への序章
前話のシルバーさんのはすでに出ています。
分かりましたか?
夜も更けた暗い静な森の中、
夜行性の動物以外全てが眠るそんな森の中を小さな影が走り抜けていく
ガサガサガサガサガサーーーーーーーー
「「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、はあ」」
その何かは息を切らしながらも走り続ける。
息遣いから獣ではなく人、しかも二人分の呼吸が聞こえる
雲が晴れ、月光が暗い森の中を照らし森の中を駆けるそれを映し出す
「はあ、はあ、はあ、んっは、はあ、はあ、はあ」
「はあ、はあ、はあ、はあ」
森の中を駆けるそれはまだ幼い少女とその少女より更に幼い少年であった。
年の程はおよそ十もいかないであろう少女が五つを過ぎた程の少年の手を引き暗い森の中を息を切らせながら走っていた。
まるでなにかから逃げるように
「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、っつきゃあ!!」
「お姉ちゃん!!」
少女の足がもつれ転んでしまう
とっさに少女は少年の手を離したため少年は転ぶことはなかったが、少年はその場で立ち止まる。
「お姉ちゃん大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ、それより早くいきましょう、あいつらに追いつかれる前に」
「うん」
少女は立ち上がり少年の手を再度つなぎ直しまたもや暗い森の中を駆ける。
しばらくして少女が転んだ場所に複数の影が差す
子供ほどのその小さい影と成人男性よりも大きな影が少女が転んだ場所に集まりだした
「ドコイッタ、アイツラ」
影の一人が片言の金切り声で喋った。
「ワカラナイ、ダケドタブン、ソンナトオクジャナイ」
「ナンノコンキョガアル?」
「ミロ、ココノクサヘンダ、マルデナニカガコロンダミタイダ」
「ホントダ!」
「タブンコレハアイツラノモノダ! ムコウニツヅイテイル」
そういって影の一人が少女と少年が走っていった先を指差した。
「イソゲ、コノママダトミウシナウゾ」
また別の影が急かすように言う
その声に反応して周りの小さな影達は声を上げて指差した方向へ進み出した
「全ク、手ヲカケルガキ共だ」
大きな影がそう呟く、その呟きに周りの小さな影達は足を止め大きな影の方を向く
そして
「決メタ、オ前達ガアノガキ共ヲ捕マエロ」
野太いダミ声で話す大きな影、そんな影の言いように周りの小さな影達はキーキー声で抗議するが、大きな影の次の言葉でその声は逆転した。
「ソノ変ワリ、捕マエタガキ共ハ、オ前達の好キニシロ」
その言葉を聞き今度は歓喜の声が夜の森に響いた。
そして小さな影達は先程までとは打って変わりものすごい速さで森の中へと消えていった。
大きな影のそれは、その口をニヤリと歪ませ
「単純ナ奴ラダ」
そういって森の中に消えていった小さな影達を馬鹿にしたように呟いた。
その時、先程まで雲に隠れていた月が顔を出し、月光がその影をはっきりと浮かび上がらせた。
「ギギ! 糞ガキ共、俺達カラ逃ゲ出シタコトヲ後悔シロ!」
月光に照らされたそれは、人では無かった
いや人型のの生き物であった。
月光によって見えたその生き物の最大の特徴はその肌であった。その生き物は緑色の肌をし、ところどころぶつぶつや黒ずみが見え、その体は二メートルはあると見える。そしてその顔はこれまた異様であった、顔の半分ほどの長さの鷲鼻に不揃いの歯、禿げ上がったその頭と大きな目
もしここに彼がいたならこう言っていただろう
ゴブリンと。
大きな影、いやゴブリンはその大きな体にふさわしい太い腕でこれまたその体に似つかわしくない出っ張った腹をかいた後
「行クカ」
そう呟きゆっくりと先程の小さなゴブリン達が向かって行った方向へと進んでいった。
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一方その頃、ゴブリン達がいた場所から少し離れた所に複数の人影があった。
「ん?」
その影の内一人が何かに反応した
「どうした?」
また別の影がそう言う
「何か、悲鳴が聞こえたような・・・」
「気のせいではないのか?」
更に別の影が最初の影の言葉を否定する
その時
「きゃーーーーーーーー!!」
夜の森に甲高い悲鳴が木霊する
「「「「「?!」」」」」
その悲鳴に反応する五人の影
そして一人が呟く
「どうする?」
それは悲鳴が上がった場所へ向かうか否かの問いであった
しかし答えはすぐに出た
「行くぞ!」
力強い答えと共に走り出す一つの影、他の四人の影もすぐさまその後を追いかけ悲鳴が聞こえた場所へと向かっていった
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「いやあーー!! やめて! 離して!!」
少女の悲鳴が夜の森に木霊する
現在、少女は地面に仰向けで倒れていた。少女の頭上には小さな影、ゴブリンがおり少女の手を上げた状態で押さえつけて拘束していた。
少女はそんなゴブリンの拘束を解こうと泣き叫びながら暴れるがゴブリンの押さえつける力は一向に緩まず少女の体が泥だらけになるだけであった。
「うあ、お お姉ちゃん・・・」
そんな少女から少し離れた所に少女の弟である少年が足から血を流して倒れていた。少年の足には短剣が刺さっておりどうやらゴブリン達が少年が逃げ出さないように刺したようであった。
そんな二人を囲むように立っているのは、少女を押さえつけているゴブリンと同じくらいの背丈のゴブリン達、少女を押さえつけているのも合わせて七体いるそのゴブリン達の目には誰がみても分かるような下卑た欲望をにじませていた。
「ギギ! テコズラセヤガッテ!」
一体のゴブリンが少女へと近づきながら悪態をつく。
少女はそんな近づいてくるゴブリンに嫌悪感を隠そうとせず更に暴れ始めた。
「いや!! 来ないで!! 近づかないで!!」
少女はそのゴブリンに対して牽制のつもりなのか、仰向けのまま涙目で蹴りを何度も繰り出していた。しかし距離が足りていないためその蹴りは空を蹴るばかりであった。
そんな少女の必死な姿をゴブリン達はニヤニヤと下卑た笑顔をしながらみていた。
そして
ガシッ!!
「?!」
「(ニタアー!)」
近づいていたゴブリンが空を蹴るばかりでいた少女の足を掴んだ。
少女は振りほどこうと思いっきり足を振るがゴブリンの力は強く、一向に外れる気配が無かった。
少女はもう一方の足でゴブリンを蹴ろうとしたがそれも受け止められ少女はとうとう両手両足を押さえつけられてしまい完璧に身動きがとれなくなってしまった。
「ギギギギギギ!!」
ゴブリンがその醜悪な顔を歪ませ耳障りな笑い声を出しながら少女へと手を伸ばし
ビリビリビリビリ!!
少女の衣服を剥ぎ取った
衣服を剥ぎ取られた少女にゴブリンは更にその醜悪な顔を喜色に歪ませ始めた。
そんなゴブリンの表情を見た少女はこれから自分の身に起こることを想像し顔を青くしながら悲鳴を上げた
「いや!! いやだ!! 誰か!! 誰か助けて!!」
無駄だと分かっていても必死に叫ぶ少女にゴブリンは
「ウルサイ!!」 ゴッ!!
「げほっ?!」
少女の腹を踏みつけ悲鳴をやめさせた。少女は息を全て吐き出し苦しそうに呻きだした。そんな少女の表情に興奮したのかゴブリンの腰布が浮き出しそして
「モウ、ガマンデキナイ」
ゴブリンはその腰布を取り払いその下に隠していた凶悪なそれを少女に見せつけるように出した
「ギギギ!!」
「ひい!」
少女は短い悲鳴を上げそれから距離をとろうともがくが動けない
「ギギギ! ヒサビサノオンナ・・・イタダキマース」
ゴブリンは衣服を剥ぎ取られた少女の股に自身のそれを近づけ少女にいれようとしたその時
ダンッ!!
一つの影が少女とゴブリンの横に降り立った。
急に現れたその人物に驚き動きを止めるゴブリン、そして次の瞬間
ブンッ ゴガッ!! グシャ!!
ゴブリンはその人物がふり抜いた大鎚にその顔を潰され後方へと飛び、その身を木に打ち付けられバラバラとなってしまった。
誰もがその光景に唖然とする中、その人物に続くように四人の人影が現れゴブリン達を襲っていった。
まず初めに犠牲になったのは少女の腕を押さえつけていたゴブリン
彼を襲ったのは先程の人物と同じように飛んできた別の人物、その人物の持つ大斧でその首を刎ねられ絶命
そして残りの五体のうち四体は
「グエ、ギャ・・」
「ゲギャ、ナニモ・・・」
「ギャ・・・」
「タズゲ・・・」
顔や腹を槍で串刺しにされ呻き声を上げた後動かなくなってしまった
「ヒギー?! タ、タスケテー!!」
最後に残ったゴブリンが情けない声を上げながらその場から逃げようと方向転換し走り去ろうとしたとき
「・・・逃がさない」
静かな声と共にいつの間にかゴブリンの前に立っていた人物がゴブリンにかかと落としを決めた。
「グギャッ?!!」
悲鳴を上げ、地面に頭から叩きつけられたゴブリンはその頭をまるでスイカのようにその中身を飛び散らせながらしばらく痙攣したのち動かなくなった。
そんな光景を間近でみていた少女は気力の限界を迎えたのか、少女はふとその意識を落とした。
そんな少女に、先程ゴブリンの首を落とした人影が近寄りその体を抱き上げ
「あらあら、限界だったのね」
まるで母親のように気を失っている少女の頭を優しく撫でた。
そんな少女を撫でる人物に別の人物が声をかけた
「いつまで撫でているのだ? 移動するぞ」
そういったのはゴブリンを串刺しにしていた人物である
その人の言葉に従ってか少女を撫でていた人物は撫でるのをやめ少女を抱き上げたまま歩き出した。
その後ろには先程ゴブリンを大槌で吹き飛ばした人物が少年を抱きかかえ最後の人物が少年に《回復魔法》をかけながら歩いていた。
その時またもや月にかかっていた雲が晴れその人物達の姿が映し出される
その人物達は五人とも女性であった、しかしそれと同時に誰一人人間ではなかった。
まず大槌をもつ黒毛の爆乳の女性と大斧をもつ白毛の爆乳の女性は牛の頭と足を持ちその体は二メートルを超えており、いわゆる牛人と呼べる種族である。
次にゴブリンを串刺しにしていた女性は上半身こそ巨乳金髪ロングヘアーの人間であるが、その下半身は四足の馬のそれであり馬人と呼べる種族。
続いてかかと落としを決めた女性は前の三人と比べ小柄な体格をしているがその手と足は羽毛と鋭い爪を持っていた、この女性のはぱっと見は分からないが鳥人の陸走種であり、走るのに特化した種族である。
最後に少年に回復魔法をかけていた女性はふわふわの髪とその横、こめかみ部分から生えている羊の角、そして羊の足をもついわゆる羊人と呼ばれる種族であった
そんな五人は少女と少年を抱えて夜の森を駆け抜ける。
彼女達は巨大な木が生い茂る森を抜けその先にある巨大な岩壁の前まで来ていた。
そして見つけた、いや見つけてしまった。
岩壁に不自然にポッカリと空いた穴を
五人はそんな穴を前にお互いに顔を見合わせ同時に頷いた後入っていく。
だが彼女達は気付かなかった。
そんな自分達の後ろをつけている集団がいたことを
「グゲゲゲ! 俺ハツイテルゼ」
下卑た笑い声と共に、彼女達が入って行った穴の前に来たのは
先程ゴブリン達に少女達を襲わせた大きなゴブリン。
そのゴブリンは後ろに先程のゴブリン達より多くのゴブリンを引き連れていた。
「ガキ共ノ捕獲ナンザ命令サレタ時ハ面倒ダト思ッタガ、思ワヌ上玉ヲ見ツケタゼ。グギャギャギュ! 今カラ楽シミダ!」
自分が彼女達を絶対に捕まえれる自信があるのか大きなゴブリンは下卑た笑い声と笑みと共にゴブリン達を引き連れ穴の中に入っていく。
だが、ゴブリン達も先程入って行った彼女達も予想だにしなかったであろう。
自分達が入った穴を開けた存在がその先にいることを、そしてそれはとんでもない化け物であると言うことを、それを知ったとき、それはもう取り返しがつかないと言うことを。
彼らはまだ知らない
次話からまたヤシロ達の話に戻ります




