新たな居場所と満月
かなり遅れてしまい申し訳ありません。
ざわ ざわ ~~ ズ~リ ズ~リ
ざわ ざわ ~~ ズ~リ ズ~リ
ざわ ざわ ~~ ズ~リ ズ~リ
風に揺られ、葉が擦れる音と、何かをひこずる音が周囲に響く中、ヤシロ達は目的の場所まで歩いていた。
トンネルを抜け約一日、彼らはその間休憩を入れながらずっと歩き続けていた。
「ふあー ねえ、まだつかないの?」
クレアが少し眠そうな目をしながら聞いてきた
「んんー、 多分後少しだ」
「後少しって・・・、 もう一日近く歩いてると思うんだけど」
「そうだな、 まあ俺が全速力で一時間くらいだから歩いてだとこれくらいじゃないか?」
「どんだけ遠くに引っ越し先構えたのよ」
そう言って、クレアは俺の背中の上で仰向けに寝転がった。
移動している間、クレア達はずっと俺の背中で周囲の警戒をしてもらっていた。
歩いていないのでそこまで疲労はないとは思うが、やはり周囲の警戒をノアと交代でずっとしていたためか、少しおつかれ気味だ。
ちなみにノアは先程まで起きていたが、今はクレアと交代で俺の背中でサクラと寝ている。
ノアはサクラとモミジに好かれたらしく、特にサクラは凄く懐いていた。
そしてモミジは今クレアと一緒に起きている。でもちょっと眠いのか、頭がふらふらして あっ、今クレアに抱っこされた。
そんな感じで俺は現在森の中を歩いて行っている。
「しかし、距離を教えていなかった俺も悪いけどさ。
後ろのこれ、どうなのよ?」
俺はそう言って後ろを振り返る。
そこには
「ぐー~ ぐー~ ぐー~」ズ~リ ズ~リ!
いびきをかきながら眠るボス、その後ろには山羊達が疲れた様子で座っていた。
彼らの足下には巨大なソリがあり、それを引いているのはもちろん俺だ。
《氷魔術》で足下を凍らせ、その上にソリを乗せ滑らせながら移動している。
何故こんなものがあるかというと、本来は長旅に慣れていない子山羊と若い山羊達を乗せるために作ったのだが。
いつの間にかボスも乗っており、しかもそのままずっとソリの上でいびきをかいている。
(他の山羊達は休憩したらおりて歩いたりしている)
つーかそろそろ起きろよな、他の奴らお前のこと凄い目で見てるぞ。
特に姐さんなんか怒って・・・やだ、あの顔なに?
無表情・・、いや、もともと山羊の顔って無表情なんだけど、雰囲気がものすごい怖い。
まあとりあえず、ボスを起こすことにしよう。
「おいボス、いいかげん起きて歩いたらどうだ」
俺はソリの上でいびきをかくボスに声をかけた。
しかし帰ってきたのは
「ぐうおーーーーーーーーーーーーーーーー~~~~~~~~~~~~~~~、が」
凄く長いいびきだけ、起きる気ゼロだな。
そんなボスの態度に我慢の限界なのか、乗っていた山羊達のその顔には青筋が見える気がした。
特に姐さんなんか氷の微笑を浮かべている、 やだ、怖い。
仕方ない、あれやるか。
俺は素早くクレアにアイコンタクトを送る。
クレアは俺の視線に気づき静かに頷いたあと、寝ていたノアを起こし耳打ちをした。
ノアは寝ぼけた表情でクレアの耳打ちを聞いた後、カッと目を開いたかと思うとサクラを起こさないようにそっと抱き上げた。
その間クレアは後ろのそりに移動して何やら作業をした後、姐さんに向けて何かを言い、俺の背中に戻りノアと自分の体に何かを巻き付けていた。
クレアはその後すっかり眠ってしまったモミジを抱き上げ
「いいわよ」
合図を出した
「んじゃ、行くか」
俺はクレアの合図とともに、四肢に《雷魔術》をかけ。
そして駆けた。
ゴオオオオオオオオオッ!!!
風を切る音を出しながら全力疾走をする。後ろではソリが地面を滑らず半ば滑空するように宙に浮いていた。
そしてソリの上に乗っている山羊達は、普通なら風に煽られ吹き飛ばされるのだが、平然とソリの上に座っていた。
よくよく見れば山羊達の周りには氷の壁が出来ており、それにより風圧が減少されているようであった。しかもその体には安全を考慮してかクレアの糸で作られた縄がまきつけられていた。
一頭を除き
「メエエエエエエエエエエエ?!!!!!!!(ぎゃあああああああああああ?!!!!!!!)」
風を切る音に負けないほどの絶叫がソリの上から聞こえてくる。
誰であろう、ボスである
ボスだけが氷の壁の外側におり、風圧をもろに喰らっていた。
そのため現在ボスは氷の壁に、まるでキリスト像のように風圧で貼り付けにされていた。
「メエエエ!! メエエエエエエ!!!(止めてええ!! 誰でもいいから止めてええ!!!)」
必死に懇願するボス、しかしヤシロは
「あっ?! 何だって?! もっと早く?! よっしゃー!任せな!!」
わざと聞き間違えて更に加速していった。
「メエエエエエエエ!!!!・・・・・・(ぎゃあああああああ!!!!・・・・・・)」
そうして、ボスが風圧に押しつぶされ声を出せなくなっても、目的の場所まで、ヤシロはノンストップで走り抜けていった。
ちなみに、クレアとノアはモミジとサクラを抱っこしたままヤシロのふわふわなたてがみに埋もれながら、風圧をしのいでいた。
ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!!ダッ!! ダッ!! ダッ!! ダッ!! ダッ!!(ズドン!) たっ!(ズドン!) たっ!(ズドン!) たっ!(ズド!)たったったったった(ズーーーーー!)
ゆっくりとハイスピードから減速していくヤシロ。
その後ろではソリが音を立てながら数回はねた後、ゆっくりと地面に落ちひこずられ始めた。
「よし、休憩!・・・、って、さすがに無理か」
そう言って振り向いた先では、
「「「「「メ・メエ・・・メエエエ」」」」」
青い顔をした山羊達が、ソリの上でぐったりとしていた。
「大丈夫か、あいつら?」
だいたい群れの三分の一程だろうか、主に年を取っている山羊達のほとんどが青い顔をしていた。
しかしその反面、若い山羊達は平気そうで特に子山羊達などケロッとしている。
ガッ!!
「ん?」
音のした方に視線を向ける。そこにはフラフラながらも、力強く立ち上がったボスがこちらを睨んでいた。
「おお、大丈夫か、ボス?」
「メエエエ、メエエエア!! うぷっ(大丈夫なわけ、ねえだろうが!! うぷっ)」
そう叫びながら顔を青くするボス、どうやらかなりつらいご様子。
「おいおい、向こうで吐けよ」
「メエエオ(誰のせいだと)」
「起こしても起きなかったお前が悪いんだろうが、傷も治ってるのにずっと寝ていやがって」
「メエオ、メエエオメエ うぷっ・・おええええええええ!(だからって、何で俺だけ うぷっ・・おええええええええ!)」
「おわ! 汚え!!」
ボスが吐いた、まああんだけ揺れてしかも風圧ももろに喰らってたからな。大変だなー(棒)
しばらくボスは胃の中の物を全て吐き出すくらい出した後、またもやこちらを睨みつけ
「メエ、 メエエエ・・・(てめえ、 許さねえ・・・) 「そんなことより後ろ見てみろ、バカ」 メエエエ・・・エ?!(なんでだ・・・よ?!)」
なんかアホなこといっているボスが後ろを見た瞬間一気に黙った。
そこには
「メエエ、メエ?(許さねえ、じゃないでしょ?)」
鬼がいた。
いや鬼のようなオーラを放つ姐さんがいた。
「メ メエオ、メ メエエ(か 母ちゃん、で でも)」
「メエ、メエエエアオ!メエエエ メ エ オ!!(あんたが、寝過ぎてるからなったんでしょうが!ヤシロくんのせいにするんじゃ な い の!!)」
「メ ぎゃあああああ!!!(ま ぎゃあああああ!!!)」
おお、姐さんがボスを逆さまに。 てか、あれってロメロスペシャル?!どうやってやってんの?!
しばらくボスの悲鳴が周りに木霊する。 うるさいな。
「ヤシロ・・・ヤシロ」
「うん?」
背中に乗っているクレアが声をかけてきた
「どうした?」
「そろそろ移動しましょう。サクラとモミジが周りの煩さにぐずりそうになってるから。」
そう言って振り向けば、難しそうな顔で身じろぎしながら眠っているサクラとモミジが見えた。
確かに、ボスの悲鳴がうるさい。そろそろ動くか、でもあの二人は。
そんなことを考えていると背中のノアが
「姉、さん、先、行って、るから、それ、終わ、ったら、後か、ら、きて」
ざっくりと言ってきた。
おお、ノアさんさらっと言いますね。
そんなノアの声に姐さんは
「メエ、メエエエ、メエオ(わかった、先行ってて、すぐ追いつくから)」ぎりぎり
ボスに技をかけながら答えてきた。
いいの?こっち向いてSOS出している山羊ほっといて? えっ? 姐さんに逆らえるかって?・・・・ボス、すまない後で骨は拾ってやる。
俺達はそうしてその場を離れていった。
しばらくして後ろからズタボロになったボスと、それを引きずってきた姐さんをソリに乗せて、歩くヤシロがいた。
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
ズ~リ ズ~リ ズ~リ ズッ
ソリを引きずる音が止まった。
「よし、ついたぞ。ここだ」
目的地につき、背中に乗っていたクレアとノアを降ろしてそう言った先には
「ヤシロ、これ、いつ立てたの?」
「ん? ここを見つけたその日だけど、えっ? 何かだめだった?」
「いやいやいや、たった一日で。 こんな家が建つかいな!!!」
しっかりとした二階建ての日本家屋があった。
「どうやって建てたの、この立派な家?!」
「えっ、手作りだけど」
「手作りで出来るか! つか一日でも絶対出来ないよこれ!」
「参考書があったから、それを見て作ったんだけど」
「参考書?」
「そう、えーっとたしかここに・・・」ガサゴソ
あれ? おかしいな? たてがみの中に入れといたのに。
「・・・ヤシ、ロ、もし、か、して、これ?」
「ん? ああ、それそれ・・何でノアが持ってんの?」
「枕、代わ、りに、使っ、てた」
「枕の代わりにしないでよね」
そう言って、俺はノアから一冊の本を受け取った
「えっと、『東の国々の建築集』?」
クレアが本のタイトルを呟いた
「そう、この本の建築集にさ、俺の故郷に似た建物があったからそれを参考にして建てたんだ。超スピードで」
「へえ」
「まあ、途中で作り方の分からない物があったからまだ未完成なんだけどな」
「そうなの? 何が作れなかったの」
「それは見てからの方が早いから、とりあえず中に入ろう」
俺はそう言って家の玄関を開けた。
まず1階、というか一日で作った物だから間取りは簡単であるが、1階は三分の一程が土間で土足で上がれる場所、残り三分の二ほどが地面より一段高くなっており土足厳禁となっている。
一段高くなっている場所から先は木のふすまで仕切られておりその先にはと階段と大きな部屋しかない、ちなみに炊事場は昔の古民家のように広い土間にある。
続いて二階は廊下と三つの部屋という簡単な間取りである。
そうやって家の構造を簡単に説明した後クレアが質問をしてきた。
「で? どこが未完成なの? ぱっと見大丈夫そうだけど」
「ああ、それは二階の方だよ、見れば分かる。」
そう言ってヤシロは二階へと上がりそれにつられてクレアとノアがサクラとモミジを抱っこしたまま上がっていく。(山羊達は土間で休憩中)
「ここだ」
俺は一つの部屋を開けて中を見せた。
「ん? どこも異常ないように見えるけど」
確かに中は普通の木の床の部屋だ、建物も問題ない。だがこの部屋、いや 全ての部屋には足らないものがある。
「住む分には問題はないんだけど、これは俺のこだわりでさ、作りたいんだけど作れなかったんだ。」
「何が作れなかったの?」
「畳」
そう確かにこれだけなら普通にすんでもいい、だがしかし!
日本人として、これは、畳は外せないのだ
「「畳?」」
「そう、草を編んで作る物なんだけど・・・あったあった、これこれ」
そう言って俺は二人に『東の国々の建築集』の畳のページを見せた。
「作ろうと思ったんだけど、俺の今のこの手じゃ無理だからその時は諦めてたんだ。だけど今なら。」
そう言って俺は《人化》を始めた。
ゴキッ!! バキッ!!
体を作り替える音とともにヤシロの体からものすごい音が響く。
そして数秒後。
「ふう、うまくいった」
そこには一人の男が立っていた。
顔立ちは人間の頃のヤシロを少し大人っぽくし、身長も170から180を超えるほど伸びている。
しかしその姿は人間とは全く違った。
ヤシロの両耳は人間の耳ではなく、狼のように尖ったふわふわの耳があった。そして下半身も尾てい骨らへんからモフモフの大きな尻尾が生えていた。
「耳と尻尾はどうやっても引っ込まねえなあ、まあいいとりあえず作るか」
そう言って振り向いた瞬間
「あら、ヤシロ《人化》そんなにうまくなったの。あっ、畳作ったんだけど敷いてくれない?」
傍らに畳を作り上げそんなことを言うクレアがいた。
「早っ!! いつの間にってかまだ数秒しか立ってないんだけど!!どんだけ早く作り上げたの!!」
「数秒もあればこんだけ作れるわよ、私の早編み嘗めるなよ♪」
その後、残りの二部屋の畳も作り、敷いていくうちに、外はいつの間にか暗くなっていた。
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
「ああ~、疲れたー!」
俺は一人しかいない部屋で大きな声を上げた。
全ての部屋の畳を敷いた後、俺は一仕事として山羊達に雨風をしのげる小屋を作ることになった。何故かというと、山羊達が全員屋根のある場所で寝たいと言い、土間だけじゃ足りなくなり急遽小屋を作ろことになった。
その後近場で湧いていた温泉に行ったり、そこにクレアとノアがサクラとモミジを連れて乱入したり。ボスが怒り狂いながら突撃してきたり、そのボスを姐さんが絞めたり、いろいろとあった。
そして今の状況である。
「本当、今日はいろいろあったな」
俺はそう呟いて窓の外を見た。
そこには大きな満月が輝いているだけで、静な夜であった。
「しっかし、きれいな月だな、狼の遠吠えでも聞こえそうだ。・・・・・・・・そういや、俺 人狼だったな・・・・、吠えてみようか。」
そんなアホなことを考えていると、不意に部屋のふすまが少し開かれた。
「ヤシロ、起きてる。」
「クレアか? 何のようだ?」
「ノアもいるんだけど、入っていい?」
「いいぞ」
ふすまが完全に開き、クレアとノアが一緒に入ってきた。
「二人とも今日はありがと・・・!」
俺は入ってきた二人の姿にかたまり言葉を失った。
「どうしたの、ヤシロ? 何でかたまってるの?」
「どう、し、たん、です、か?」
そう言う二人の姿はいつもと違っていた。
二人は、薄い白い浴衣を着ており、その薄い生地が二人の体にピッタリと張り付いていた。はっきり言ってエロい。
「な、なななな何だその格好!」
俺は反射的にそう叫ぶ。
そんな慌てた様子の俺とは反対に二人は不思議そうに首をかしげ。
「何、か、おかし、かっ、たで、しょ、うか?」
「東の国々では寝るときこのような服を着るって書いてあったから作ったんだけど、何か変?」
「い、いや、何でもない、すまない取り乱して」
俺は二人の言葉を聞いて少し落ち着いた。
しかし内心は「何で! つかエロい!」とぐちゃぐちゃであった。
そんな俺の内心を他所に二人はヤシロの目の前に座った。
「んで、いったい何のようだ?」
俺は内心を悟られないように、少しぶっきらぼうな言い方で二人に聞いた。
「ああ、私はノアの付き添いとこの浴衣を届けに来ただけ、はいこれ、ヤシロの分」
「あ、ああ、ありがとう」
「ほら、ノアちゃん、言いたいことがあるんでしょ?」
そう言ってクレアがノアを小突いて喋るように促した。
ノアは少し身じろぎしながら、意を決したようにその頭を下げだした。
「この度は私の家族達を救い、それと同時ににこのような素晴らしい場所へ連れて来ていただきありがとうございます」
そう言ってノアは深く深く頭を下げ
「そして私がしてしまった罪に関しては、誠に申し訳ありませんでした。」
最終的に土下座をしてきた。
「ちょ、頭上げて! 俺はそんなの望んでないから、それに言ったでしょノアの判断は間違いじゃないって、俺だって家族が傷つけられると思ったら、同じことをするしさ、だから気にすることないって。」
俺はそう言ってノアの頭を上げるように促した。
顔を上げたノアの目尻には涙がうっすらとにじんでいた。
「ふふ、だからいったでしょう。ヤシロは気にしないって。」
「ハイ・・」
クレアが小さく笑い、つられてかノアも小さく笑った。
俺はそんな二人を見て自然と一緒に笑ってしまった。
しばらくして三人して笑ったあと、クレアが浴衣を着るように促してきた。
「それじゃあヤシロ私のあげた浴衣着てみてちょうだい」
「え、今から?」
「そう、今から。どこかきついとこがないか調整するためにね。」
「分かった、といっても羽織るだけだけどいいか?」
「いいわよ」
そう言って俺は今着ている服の上着を脱ぎ浴衣を羽織った瞬間
「うお?!」
急にバランスを崩し倒れてしまった。
「イテテテどうして急に、ん? 何だ、手がうごかかない」
「ふふふふふふふ」
「クレア?」
クレアが急に笑い出した。どうした、そんなに俺が転けたのが面白かったのか?
そんなことを考えていた次の瞬間。
パサッ
「?!」
クレアが急に着ている浴衣を脱いだ。浴衣の下は何もはいておらず、まさに生まれたままの姿でクレアはそこに立っていた。
「ク、クレア何して・・」
「何って、決まってるでしょナニよ」
「いやいや!!、どうして!」
困惑する俺にクレアはその体を俺の上に乗せながら耳元で囁くように言った。俺の体に柔らかい感触といい匂いが漂ってきた。
「今日はね、満月でしょ、満月はね私達の本能を昂ぶらせるの。だから私達を鎮めて。」
いつもより色っぽい声でささやくクレア。ん? 私達?
パサッ
先程と同じように布が落ちる音が聞こえた。
目を向けた先にはクレアと同様に生まれたままの姿で立っているノアが写った。
そしてノアもクレアと同じように俺の上にその体を乗せてきた。
「ハア ハア」
熱い吐息を吐きながらこちらを見つめるノア。
そして次の瞬間。
「ん!」
「んん?!」
無防備な俺の唇に自分の唇を重ね合わせた。
そして数秒続いた接吻から唇を離すノア、その唇の端からは透明な糸が引いていた。
「ふふ、それじゃあヤシロ夜はまだまだこれからよ、たっぷり楽しみましょう」
そこから先は想像に任しておこう。
ただ、その夜は甘い声が聞こえ、朝まで続いたという。
その頃とある学校では
ガバッ!!
白「ん~、実亜お姉ちゃんどうしたの?」
実「今、大神君の悲鳴が聞こえたような」
白「気のせいじゃないの?」ごそごそ
実「何だろう、何かイライラする」
白「実亜お姉ちゃん、大丈夫?」
一人の女子生徒が何かを受信していた。




