黒山羊さんの謝罪と山羊たちのこれから
首から血を流し絶命しているアシュラグリズリー
それをヤシロは一瞥したあと、後ろを向き歩き出す
向かう先は、クレアのいる山羊たちが肩を寄せ合っている場所
そこには、いつの間にかボスがおり鼻先で生き残った喜びを分かち合っているようであった
「お疲れ様」
そんなボス達の様子を見ていたら、いつの間にか近くまで寄ってきていたクレアにそう言われた。
その顔は安心したという表情であった
「クレアもお疲れ様」
ヤシロはそう言い片手を上げクレアの頭をなでる
クレアは静かに目をつむり、頭に乗っているヤシロの手のひらの感触を味わっていた
「あのー」
そんな声がきこえる
声の聞こえる方に目を向けると、そこには先程の黒山羊人がいた
ヤシロはクレアをなでるのをやめそちらを向く
それに続いてクレアも黒山羊人の方に目を向けると
「何だ?」
ヤシロは特に何も考えず返事をする
黒山羊人はおずおずという感じで猫背になっており、両手を胸の前まで持ってきて、その両手の指を離したりくっつけたりを繰り返しながら、視線をこっちに向けたりそらしたりを繰り返していた
ちなみに両手を胸の前まで持てきているのでどうしてもその向こう側にあるものに目がいってしまう
現在その豊満なものは包み隠さず、また両手で押さえられていてもはみ出ているのでなんとも眼・・イデデデデ!!!
そんなアホなことを考えていると、隣に立っていたクレアに足を踏まれた。
抗議しようとクレアの方に視線を向けたが・・すぐに戻した。
だって、すんっごい良い笑顔だったのに
その目全然笑っていなかった。 すごい怖い
そんなアホなやりとりをしていたら
「すい、ませ、ん、でし、た!!!」
黒山羊人が途切れ途切れの謝罪をしてきた、しかも
「じゃ、ジャンピング土下座、だと」
助走なしのジャンピング土下座で
「メエ!! メエエ!!!」
「だっ、だって、兄、さん、の、友達、が、人狼、だ、なんて、聞い、て、ない」
「メエエ、メエア」
「『察しろ』、って、無理、同族、だと、ずっと思って、た。
教、え、て、くれ、れば、いい、のに」
「メッ!! メエア! メ!」
「メエア、メッ、メエア」
「なら、兄、さん、姉、さん、私、に、もし、も、好き、な、人、でき、たら・・・」
「メッ?! メエオ!!!」
「メエア~」
「メエエエエエエエ!!!!!」
「話、そら、さ、ない、で!!」
目の前でそんな会話(?)が繰り返されている。
先程ジャンピング土下座をしてきた黒山羊人
たしかノアと呼ばれる彼女は、現在草原のど真ん中で正座をし、ボスとその姉さん(初めて乳をもらった山羊がボスの嫁さんだった)に説教(?)されていた。
・・・なんか話が変な方向に行ってるみたいで時折ボスがこっちに憎々しげな表情を向けてきている
ちなみに黒山羊人のノアさんは現在、簡易であるが上にタンクトップのような服と太ももの半分程の丈のズボンを着ている
眼福だ・・・イダダダダダ!!! クレアさん?! その手はそっちに曲が・・ぎゃああああ!!!!!
思考を読んだのか、クレアは自然にヤシロの両手を後ろから掴み
背中から生やした爪で足をロックした
その姿は知っている人ならば分かる〇ロ・〇ペシ〇ルそのものであった
しばらく、ヤシロの悲鳴が聞こえたあと、クレアは満足したのか解放した
「イテテ、なんで〇ロ・スペ〇ャ〇?」
そんなもっともな疑問を呟きながらも立ち上がるヤシロ
どうやら【耐性】はまたもやいい仕事をしたようで、あの大技を受けても特に大きな怪我をおっていなかった
「バカなこと考えなければこんな目に遭わないの」
そう言うクレアは、少し怒ったような口調だった
「すまんすまん、イテテ・・・・」
「・・・・(見たければ私に言えばいいのに)」
「ん? 何か言ったか?」
「別に・・」
なんか変なことが聞こえたが俺の空耳であろう
ちなみに、サクラとモミジはボスの群れの子山羊たちと遊んでいた
「ううきゃー!!♪」
「ウあーあ!♪」
「「「メエー~♪」」」
今は楽しく鬼ごっこをしているようで、サクラとモミジが鬼なのか〔獣化〕して子狼状態で走り回っていた
・・・・端から見たら狼が獲物追いかけているみたいに見えるな
そんな子供たちを、俺達とボスの群れの母山羊達がみまもっていた
ちなみに雄達は周囲を警戒しているため、子山羊たちと母山羊達を守るように集まっていた
そうこうしているうちに、子山羊達とサクラ、モミジは眠くなったのか、草原の真ん中で重なるように眠ってしまった。 かわいい
その姿を見ながら隣ではクレアが高速で編み物をしていた。
よく見てみれば、どうやら糸に色を塗って編んでいるらしく、いわゆるタペストリーのような仕上がりであった。
ちなみに柄は、子山羊達とサクラ、モミジ2人が重なって眠っている柄であった。
正直、本当にもう一枚作って欲しいと思った
そうこうしているうちに、ノアさんへの説教が終わったのか
ボスと姉さんがこっちに向かってきていた
ノアさんは長時間正座をしていたためか、足が痺れてひょこひょこと歩いていたが
「メエア!」
「え? 姉、さん、ちょっと、ま、ちえあ!!」
何を考えたのか、姉さんがノアさんの足を鼻先でツンツンしていた
変な悲鳴を上げるノアさん
しかし姉さんはそんなのは、お構いなしにノアさんの痺れている足をツンツンしていた
おい、旦那、お前の嫁さん、妹いじめてんぞ。
そんな感じの視線を送っていたら、ボスが諦めたような表情をこっちに向けてきた。
ああ、言っても無駄なのね。
俺はその視線でなんとなく察した。
「うう、お姉、ちゃん、ひど、い・・・」
姉さんの、足ツンツン、から解放されたノアさんが、涙目で抗議ていたが、当の犯人である姉さんは、特に気にもしていないようであった
ちなみに姉さんは今
「メエアメ、メエ メエア?(うちの義妹が早とちりしてしまってごめんなさい、あなたと子供たち 大丈夫だった?)」
「ええ、大丈夫です、彼女の攻撃はほとんど当たってませんから」
クレアに謝罪をしていた
というか、なんか普通にクレアも山羊と会話している
何でだ?
「それより、ボス、お前これからどうするんだ?」
ボス達の謝罪が大体終わってから、俺は何気なくボスにそう聞いた
「? メエア?(? これからってどうゆうことだ)」
ボスは、質問の意味がよく分かっていないのか、逆に聞き返してきた。
どうゆうことって・・・・
「いや、この草原だよ。一応熊共は片付けたけどさ、派手にやったせいか、かーなーり血の匂いがこびりついてるんだけど。
しかも、地形もあちこちボコボコになってるし」
現在草原には先程まであった熊共の死体はなかった。
一応、ノアさんの説教中に片付けたのだが、いかんせん体がバラバラだったり、黒焦げだったりしていたもんだから辺り一面血の海だった。
今は地面を掘り返したりして見栄えはよくなったが、それでもしばらく放置してしまったので辺り一面に血の匂いがこびりついてしまった。
「たぶん、このままじゃまた別の肉食獣がやってきそうなんだけど。俺もずっと、この草原にいるわけじゃないし」
「メエ・・・・、メエア(ああ・・・・、そうか)」
ボスはそう呟いてしばらく考えた
その間、話が聞こえたのか、姉さんや他の山羊達も集まりだして話し合いだした。
そして、結論が出たのか
ボスが答えた。




