熊VS狼&蜘蛛(ついでに山羊)2
「グオッ!! ガア!!」
『殺せ!! 殺してしまえ!!』まるでそう言ったかのように吠える六本ウデの熊もどき(面倒だがらボス熊でいいや)
そしてそれに応えるように俺に向かってくる熊もどき共
その数二十頭、約半分以上の熊もどきが咆哮を上げながら向かってきた
こいつらは全員、俺にその敵意を向けていた
その爪,牙を使い俺を殺そうとその凶器のような巨体を肉薄させてきた
まず〈身体強化〉をし、腕と足に〈魔装〉をかけ準備よし
まずはすぐ目の前まで迫った四匹の熊もどきの首に
「ふん!」
手刀をたたきつける
そして
「ガッ?!」
「グオッ?!」
「ゴッ!!」
「グゲッ?!」
そんな悲鳴と共に首を飛ばされ崩れ落ちる熊もどき達
手刀を的確に首にたたきつけられた熊もどき達はその体と首を両断され息絶える
「まず四匹」
そう言ってヤシロは先程首を飛ばした熊もどき達から次の獲物に目を向けた
「グオアー!!」
咆哮を上げながらその四本の前足のうち右二本を振り上げながら迫ってくる熊もどき
ヤシロはその熊もどきの攻撃を
「ん!」
〈獣化〉で肥大化させた左手で受け止めた
「グオア?!」
驚く熊もどき
しかしそれにより熊もどきには大きな隙が出来た
ヤシロはその隙を逃さず空いた右手を槍のようにし
「しっ!!」
その心臓目がけて突き刺した
ブシュウ!!
そんな音を出し右手はその胸にすんなり入り込みそして
ズドンッ!!
五匹目の熊もどきが崩れ落ちる
「五匹目」
そう呟いた直後
ヤシロの体は後ろから伸びてきた四本の前足に捕まった
「なに?」
そういって体をよじるが抱かれるようにガッチリと捕まっているため動けない
よくよく後ろを見れば他の四本腕の熊もどき達よりも大きい熊もどきがまるで『逃がさない』と言わんばかりにヤシロを締め上げていた
そしてその熊もどきが軽く吠えた後、周りにいた熊もどき達が一斉に向かってきた
「「「「「「グオアーー!!!!」」」」」
雄叫びを上げながら全速力で突っ込んでくる十四頭の熊もどき達
ヤシロはそんな熊もどき達の攻撃を避けるために全力で熊もどきの拘束を解こうとしたが熊もどきの手は緩める気配がない
そうこうしているうちに熊もどき達がすぐ目の前まで迫ってきた
「・・・・・」
ヤシロはおとなしくなった
拘束を続けている熊もどきは諦めたのかと思い、そのまま絞め殺そうと力を入れた瞬間
バチ・・バチバチバチバチ!!!
ヤシロの体から青白い雷が出る
それに拘束している熊もどきが驚いた声を出した
「グオ?!」
そしてその雷を出しているヤシロは静かにその魔法を呟いた
「《雷装》」
その瞬間先程とは比べものにならない電撃が辺りを襲った
ズドーン!! ズドーン!! ズドーン!! ズドドドーン!!! バチバチバチバチ!!!!
それはまるで落雷のように周囲の地面をえぐり放電していった
もちろん先程までこちらに攻撃しようと突っ込んできていた熊もどき達はそれに驚きその手前で急ブレーキをかけ止まる
しかしヤシロを拘束していた熊もどきは違った
拘束するため密着していたためその雷をゼロ距離で受けてしまった
「グギャアアア!!!!!」
そんな悲鳴ともとれる叫び声をあげ感電している熊もどき
放電しているヤシロから距離をとろうとしたのかその四本の前足はすでに離れているが その首にはヤシロの手が伸びておりガッチリとその首をつかんでいた
「おい、逃げんなよ」
そういってヤシロは「逃がさない」と言わんばかりに更に電圧を上げる
バチ!!バチ!!バチ!!バチ!!バチ!!バチ!!バチ!!バチ!!バチチチチチチチチ!!!!!!
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!!
周囲に更に放電による雷が落ちてくるがそんなことはお構いなしにヤシロは電圧を上げる
「グギャアアア ーーーーーーーーー!!!」
その雷を受けている熊もどきの悲鳴が聞こえなくなった次の瞬間
チュ・・ドゴオォォォォォォォォォォーーーン!!!!
転移にも上る雷の柱と爆発が生まれ周囲には爆風が吹き荒れた
「「「「「グオオ?!」」」」」
「「「「「メエアアア?!」」」」」
熊もどき達と山羊達の悲鳴が聞こえる
・・・・・
そして静寂に包まれる草原
爆風による土煙がもうもうと立ちこめる中その土煙が晴れるのを待つ熊もどき達
しかしその土煙が晴れる前に土煙が切り裂かれ
そして次の瞬間
ズシャア!!
何かが着られた音が草原にこだまする
そして切り裂かれた土煙の中からヤシロと黒焦げになった熊もどきであろうものが見え始めた
黒焦げになった熊もどきはその体をほぼ炭化させ煙を立ち上らせ絶命していた
ヤシロはそんな熊もどきに背を向け歩き出す
ザク ザク ザク ザク
草を踏む音がよく聞こえる
しかし真っ直ぐ歩いてくるヤシロに先程まで押し寄せていた熊もどき達は動かない
そして先程迫っていた熊もどきの大軍の前まできた
しかし熊もどきは動かない
そしてヤシロは先頭にいた熊もどきにおもむろに振れた次の瞬間
ズ ズズズズズズズズズズズ ドスン!!
その体が斜めにずれていき倒れていった
その一匹だけではない
それを皮切りに次々と切り崩れて落ちていく熊もどき達
その数十五匹
計二十匹の襲ってきた熊もどき達が全滅した
そしてヤシロをよく見てみればその尻尾が二メートルくらいに伸びて大きくなっており更によく見てみればその表面には氷が纏わり付いていた
「《氷装,アイステール》」
まるで〇ケモンの技みたいなことを言いながらヤシロは真っ直ぐ歩いて行った
その先には六本ウデの熊もどき
アシュラグリズリー 仮称 ボス熊もどき(ヤシロ談)
「グ、グルルル」
ボス熊もどきが唸る
そして
「グロロロロ!!」
更に吠える、それはまるで山羊たちを囲んでいる残りの熊もどき達に命令しているように聞こえた
しかしその熊もどき達は動かない
「グオ?」
ボス熊もどきが戸惑ったような声を出す
「お仲間ならもう動かないわよ」
そんな声が聞こえた
その声の先に視線を向けるとそこには
「だってもう、倒しちゃったから」
先程までいなかった女と黒山羊人がまるで山羊たちを守るようにそのそばに着いていた
「クレア、もういいぞ」
「分かった」
そういって女、クレアは手を胸の前まで上げ
「《傀儡》終了」 パチンッ!!
そういって同時に指を鳴らした
その瞬間先程まで山羊たちの周りを囲んでいた熊もどき達が軒並み崩れ落ちる
よくよく見ればその体には細い糸のようなものが纏わり付いており、その首には絞めれたあとのようなものがあった
「グ、グオア!」
「ヤシロ、後はそいつだけよ」
「おう」
「ガア?!」 ビクッ
そんなヤシロとクレアの会話が分かったのか
ボス熊もどきは その体をビクつかせ、目線をゆっくりと山羊たちの方からヤシロに向け始めた
「さて、やろうか」
そこには圧倒的強者がいた
ボス熊もどきは思った
自分は、なんと小さな小熊だったのだろうと
自分はただあの小さな森の中のちっぽけな王様だったのだと
もはやボス熊もどきに相手を侮る傲慢さはなかった
そしてその目は先程とは違うものへと変わっていた
ボス熊もどきは思った
「これが、俺が求めていたものだと」
長い間、群れの長という熊性の中その心を一度も満たすことがなかったボス熊もどき
しかし最後に自分よりも圧倒的強者に出会ったことによりその満たされなかったものが満ち足りるような気がした
「グルオオオオ!!!!」
吠える、それは威嚇と言うよりも挑戦のようであった
ヤシロはその咆哮に無言で構える
そして
「こい!!」
その言葉を理解したのか、それとも本能なのか
ボス熊もどき、いやアシュラグリズリーは大地を蹴りつけヤシロへと肉薄する
そしてその片腕を真上から振り落とすようにヤシロに叩きつけた
しかしヤシロも負けていなかった
先程とはうってかわるアシュラグリズリーの一撃を冷静に観察し避ける動作に入った
自らの異能である【耐性】のせいか、それとも人狼特有の本能か直感か
その一撃を横に飛び避ける
アシュラグリズリーの豪腕が空振りし地面に衝突する
ズドーーーーン!!!!!
まるで先程の落雷のような大きな音と揺れが起き一面が土煙に隠れた
「ヤシロ!!」
クレアの悲痛な叫びを出すが
ズドンッ!!
ズドンッ!!
連続で響くアシュラグリズリーの豪腕の音が遮り聞こえない
視界はその豪腕によって巻き上げられた土煙によって遮られ見えない
そして
ズドーーーーン!!
そんな大きな音と共に土煙の中から何かが飛び出してき
それは
「ヤシロ?!」
またもやクレアの叫び声が響いた
飛び出してきたのはヤシロであった
ヤシロはその両手をクロスさせ足を踏ん張り地面にレールのような二本の線を引きながら止まろうとした
そして十数メートル後退したところで止まりクロスしていた手を外した
しかし次の瞬間
ズボォッッ!!!
土煙の中からアシュラグリズリーが全速力で駆けてきた
その先にはまだ動けないヤシロ
アシュラグリズリーは十分な速度をつけた己の体を
「グオオオ!!!」 ズドォン!!!
思いっきりヤシロへと叩きつけた
体重約一トン近い巨体が無防備なヤシロを襲った
誰もが潰されたヤシロの姿を想像し目を背けようとしたが違和感があった
アシュラグリズリーが動いていないのだ
もうもうと砂煙が立ち上る中アシュラグリズリーのその巨体だけが見えていたがその巨体は少し小刻みに揺れていた
砂煙が段々と晴れていきその理由が分かった
ヤシロだ
ヤシロはアシュラグリズリーの巨体を抱き込むようにして立っており、その足下は半分ほど埋まっている
信じられないことにヤシロは真っ正面からアシュラグリズリーの体当たりを受け止めきったのである
「グルルル!!」
アシュラグリズリーが唸り更に力を入れる
だがヤシロはピクリとも動かない
アシュラグリズリーがヤシロを動かそうと力を入れている間
ヤシロの方にも動きがあった
「ふー、ふん!!」
ヤシロはいったん息を吐き出し力を込める
そして
「グオォ?!」
アシュラグリズリーが驚いたような声を出しながらその体が宙に浮き始めた
「おらあああ!!!」
そんな雄叫びを上げヤシロは持ち上げたアシュラグリズリーを放り投げた
「グオアアアア?!!!」
更に驚いた声を出すアシュラグリズリー、その高さは十メートル近く出ているだろう
「とう!!」
そんな声を出しながらヤシロがジャンプをし
「とう!! とう!! とう!!」
空中を駆け上がっていった
よくよく見れば足下に氷が出て、それを蹴って飛んでいるのだが端から見れば何もない空中を駆け上がっているように見える
そしてアシュラグリズリーと同じ高さまできたら
「うおらー!!」
「グオアが?!!」
その無防備な腹に、強烈な〇イダー〇ックを喰らわした
ズドォン!!!
《雷装》によって強化した蹴りの威力と重力によってアシュラグリズリーが落ちた地面に大きなクレーターができた
パラ パラ パラ パラ パラ
アシュラグリズリーが地面に叩きつけられ時間差で巻き上げられた石が落ちてくる
そして一時の静寂の後
「グッ、グルルル、グ・・」
アシュラグリズリーが苦しそうに起き上がってきた
先程の蹴りのダメージが大きいのかその口から血を流し、蹴られた腹は焦げて帯電していた
「・・・・・」
このままほっといていてもしばらくすれば動かなくなる
しかしアシュラグリズリーは未だ戦意を喪失しておらず、そのボロボロの体をヤシロへと向けていた
そしてヤシロはそんなアシュラグリズリーに敬意を表して
シャッ!
己の腰に差していた鉈を抜きはなった
そして
「グオガーー!!!」
アシュラグリズリーが最後の力を振り絞り駆けていく
それと同時にヤシロも駆ける
縮まっていく一人と一匹の距離
そして
「グオオ!!」
先に動いたのはアシュラグリズリー
その右の豪腕三本をまとめて殴りつける
しかしヤシロはその攻撃を紙一重で避け
「ふん!!」 ズパンッ!!!
三本の腕を丸ごと切り落とす
「グウ!」
アシュラグリズリーが少しうめきのような声を出したが間髪を入れず今度は左を薙ぎ払うように動かす
「負けるか!!!」
そういってヤシロは空いた右手であるものをつかんだ、それは
ズドン!!
「グオア?!」
それは『魔銃』しかも今まで背中に背負っていた大砲のような大型の魔銃
それを背中から引き抜きヤシロは片手で撃った
そして鈍い音とともに今度はアシュラグリズリーの左側が吹き飛んだ
それでもアシュラグリズリーは諦めない
今度はその口で噛みつこうとしてきたが
ズッ
「グオア」 ブシャーー!
その首に鉈が食い込み容赦なくその命を奪う
アシュラグリズリーは数歩、前に進んだあと
グラ ズドン!
その体が地面に打ち付けられた
その目にはもう命の光はなかった
しかし、その死に顔は まるで「楽しかった」と言わんばかりに満足そうな顔だった




