学校Side 戦闘
探索を開始してから約一時間
探索隊の一同は何事もなく森の中を進んでいた
「しっかし広い森だな、こんだけ歩いても全然景色が変わらねー」
そんなことをつぶやく大河に天川先輩は注意した
「油断するなよ、この森にはモンスターがいるんだ周囲に気をつけて進まないと足下をすくわれるぞ」
「了解です、でも今のところおかしな変化はみられませんよ?」
「橘 大河君、ここは地球と違うのですよ、特に何もなくとも周囲に警戒をした方がいいんですよ」
そんな大河の言葉に注意を促したのは丑崎先輩
大河に暗に油断するなと言った
こんな具合に探索隊は少しずつだが森の中を歩いて行った
途中木に生る果物や茸等食べられそうなものを採取していきながら一同はある場所を目指していった
「あと少し先に行ったところか天川」
「ああ、あと少しだよ瓜田」
「瓜田先生と呼べ!」
「瓜田先生あまり大声で叫ばないでくれないでござるか?
もしあのときの人狼が襲いかかってきたら大変でござるから」
「なんだ康太、びびってんのか?」
「違うでござるよ、今回は前回と違い新規の者もいるのでござるよ
いきなりあの人狼の相手はつらいと思うのでまずは肩慣らしをしないとでござる」
「は!確かにな、まっとりあえずあそこに行ってから考えようぜ」
「無駄話をするなっと、着いたぞ」
そういって着いた先は少し開けた場所であった
そこは前回の探索にいた九人にはとても見覚えがある場所だった
「ここがそうなのですか?」
「そうだ、ここで俺たちは人狼に襲われた」
丑崎先輩の質問に瓜田先生が答えた
そうここは瓜田先生にとっては忘れられない場所
本来なら守るべきはずの生徒に守られその生徒を置いて逃げ帰ってしまった場所
普通ならもう二度と来たくないと思うここに探索隊はきた
理由は
「ここにベースキャンプを?」
「そうだ、ここを遠征拠点としてこの森を探索する」
遠征拠点を作るためである
いちいち学校から探索をするのでは非効率と言うことがあり遠征拠点を作りそこから数日掛けて探索をするという案により、ちょうど良い場所としてここに決めた
場所がいいという理由もあるが第一次探索隊の九人にとっては苦い思い出のある場所
そんな場所に拠点を貼るというのはかなり酷に思われたがこの場所を提案したのはその九人である
曰くほどよい距離に川もあり立地的にも最高である
そして何より自分たちはもう過去を悔やむようなことをしたくないという決意の表れであった
「それじゃあ、ここにテントを張る
緑川、雲井頼む」
「「はい!」」
瓜田先生が二人に指示を出した
「それじゃあ四火っち骨組みお願い」
「わかった、〈心中棒〉」
緑川がそう言った後地中から長さ五メートルほどの大きな木が生えてきたその木は枝も葉もない丸太のようである
そんな大きな木が一本生えてきてその周りを少し小さな、といっても三メートルほどあるきが六本生えてきた
緑川 四火の異能は《樹木魔法》その名の通り木を操る魔法である
木の大きさ形、太さは込めた魔力により自由自在しかも一時的だが魔力だけで木を作ることもできる
今回は地中にある木の根っこを操り木を生やした
「それじゃあ雲井さん後はよろしく」
「りょーかい!〈糸化〉! か~ら~の、〈布化〉!」
今度は雲井が異能を発動した
近くにあった木に手を置いたかと思ったらその木が端から糸となっていく
その糸が今度は空中で編まれていき最終的には大きな布となっていた
雲井 笛留の異能は《裁縫》
この異能は生き物でなければ何でも糸にできしかもそれを布に変えることもできる
ちなみに布にした後も服にしたり布団にしたりと布製品なら何でも作れる
そうこう言っているうちにできあがった大きな布の形が変わっていく
「ほい、完成!」
そう言って雲井はその布を先ほど緑川のはやした木の上に掛けていく
そしたらなんと言うことでしょう、先ほどまで何もなかった場所になんと立派な巨大なテントが
その光景に瓜田先生は満足そうに頷き
「よしこれで拠点の大本はできたな
後は中の補強をして今日は終了だ、探索はまた明日だ」
「よしじゃあ、緑川補強の木を出せ」
「天川先輩、僕の異能は木を生やすことですよ、木材は作れません」
「はは、冗談だよ
それじゃあ近くの木い切って木材にするぞ!」
「「「「了解!」」」」
そしてメンバーで手分けして木を切っている中、不意に大神 白が反応した
「何かきます」
それにつられ天川、戦国、丑崎、瓜田、橘姉弟、遅れて他のメンバーも動きを止めた
「これだけ派手なことしたんだ、来るのは分かってたさ」
「無駄口を叩くな、来るぞ!」
「もう、前回のような油断や失敗はせぬぞ」
白の言葉に天川、瓜田、戦国の順で答えた
そして次の瞬間森の中から姿を現したのは
「「「「「プギーーーーー!!!!!」」」」」
体長二メートルほどの大きなイノシシであった
その数見えるだけで数十頭
その目は敵意にあふれ天川達をにらみつけいつでも攻撃できように身構えている
天川達も瞬時に陣形を組んだ
天川、戦国、丑崎、大河といった前衛が前に出、非戦闘員や後衛が前衛に守られるように展開した
「行くぞ!!」
「「「おう!!」」」
天川のかけ声とともに両者動き出した
まず最初に攻撃を行ったのはイノシシたちその巨体に似合わない素早い突進で目の前にいる者達を吹き飛ばそうとした
しかしその突進は途中で地中から生えてきた木によって阻止された
突進を阻止されたその隙を突き前衛の四人は各自イノシシに各々の武器を振るった
「でりゃーー!!」
「ぷぎゃ?!」
天川 竜牙がイノシシの一体に殴りかかった
普通ならば分厚い皮膚に守られているイノシシに殴りかかれば逆に自分にダメージが返るのだが現実は違った、殴ったイノシシは手が当たる前に吹き飛ばされ顔がへこんでいたどう見ても即死だろう
よく見れば殴った天川の腕は透明な腕のような膜に覆われていた
天川の異能は【龍気】
それは、龍のような体を魔力によって作り纏うというもの
しかし燃費が悪く腕一つ纏うだけでもかなりおなかが減るらしい
「ふん!!」
「ぷっ! ズシャ!!」
次に仕留めたのは戦国 康太
目の前のイノシシは縦に真っ二つになっていた
しかし戦国の武器は木刀、どうやって堅いイノシシを切った
その答えは戦国の異能【武士】
この異能は刀状の武器であれば本物並みの切れ味を再現させるという
しかも思い入れがあるほどその切れ味も増していく
「でりゃー!」
「はー!!」
「「「ぷぎあーー!!」」」
丑崎 恵と橘 大河が二人で一気に三体のイノシシを仕留めた
二人の異能は似ており丑崎は【闘士】大河は【戦士】
シンプルが故に強く能力は戦闘中の身体能力向上、武器の強度向上などである
ちなみに丑崎は金属バットを、大河は薪割り用の両手斧を武器にしていた
そうこうしているうちにイノシシたちはどんどん数を減らしていった
そんなとき事態は変わった
「ぷごーー!!」
「なっ?!後ろから!しまった!」
別のイノシシの集団が逆の森から出てきた
どうやら本命は後ろのメンバーのようだったが時すでに遅し
前衛組はテントからかなり離れていた
やられるそう思ったとき
「うらー!!!!」
「「「ぷげー!!」」」
後ろに残っていた瓜田先生がイノシシに体当たりをした
体当たりを食らったイノシシは吹っ飛ばされ後ろに続いていた仲間を巻き込みながら木に激突をし動かなくなった
「うちの生徒に手えだすなや」
「「「ナイス瓜田先生」」」
瓜田 源三 異能は【頑強】
その名の通りからだが頑丈になり力が強くなる
シンプルだが強力で汎用性も高い
そんな風に不意打ちを潰した後急に巨大な泣き声が聞こえた
「ブゴオオオオオオーーーー!!!!!」
そんな声とともにさっきとは比べものにならないイノシシが全方位の森から現れた
そしてその後ろから他のイノシシとは比べものにならないほど巨大なイノシシが出てきた
「ぶごお!」
「おいおい、あれがボスか?!冗談も大概にしろよ」
そのイノシシは体長五メートル程牙も大きく太く鋭い印象を持っていた
ぱっと見動物ではなく怪獣だろと思うほどに
その場にいた全員が死を覚悟したが次の瞬間その覚悟が無意味だったと知った
「〈範囲拘束〉」
「「「「「「ぶぎゃ?!!」」」」」」
「「「「えっ?!」」」」
「姉ちゃん?!」
周りを囲んでいたイノシシたちが地面から出てきた少し透明な鎖に縛られた
ボスも合わせて百体ほどの数が身動きができなくなっていた
「面倒なんでこいつら全員拘束しました、このまま殺しますか?」
そう言って何でもないかのように橘 実亜は質問をした
「あ、ああ、とりあえず、頼む」
「分かりました」
半ば放心している状態で瓜田が答えた
実亜はとどめの魔法を静かに唱えた
「〈絞殺〉」
その言葉とともに拘束していた魔法の鎖がイノシシたちを締め上げ初め、そして
「フ・・「ゴキンッ!!」ガッ!」
そんな鈍い音と短い悲鳴とともに
イノシシ達はその首を絞められ骨を折られ死んでいく
しかしボスのイノシシだけはその分厚く硬い皮膚に阻まれなかなか骨が折れず苦しそうな顔をしながら術者である実亜を睨んでいた
それに対し実亜は面倒くさそうな顔をし
「いい加減に死ね」
「ゴ!」 ゴキンッ!!
そうつぶやいた後ボスの首から鈍い音が響きボスは動かなくなった
「ふー、これで終わりましたね」
そんな事を呟きながら実亜はメンバーの方に向き直る
その先では全員が唖然とした表情で立っていた
そして
「凄い」
誰がつぶやいたか分からないがその感想はその場にいた全員の言葉を一言で表していた
そのまましばらく全員が呆けて動かなかった
それもそのはずだろう先ほどまで死を覚悟さえた相手があっさりと殺されたのだ、動揺するなという方が難しい
だがそれはこの状況を作り出した人物の一言によって引き戻された
「いつまでぼーっとしているのですか、早くかたづけますよ
飯田さん白鳥さんてつだってください」
「は、はい!」
「わ、分かりましたわ」
彼女に呼ばれて出てきたのは二年の飯田 花と三年の白鳥 麗香
ちなみに彼女達は最初の探索隊のうちの一人である
そんな彼女は近くのイノシシに近寄り手を置いた
「それじゃあ、〈解体〉!」
そうつぶやくと彼女の触れていたイノシシは光り次に瞬間には肉、骨、皮とパーツごとにきれいに解体されていた
二年三組飯田 花 調理部である彼女の異能は【解体】
その名の通り解体する異能であるちなみにこの【解体】先ほどのように生き物だけではなく場合によっては建物などの物にも応用することができる
そうこうしているうちに彼女の手によってどんどんイノシシが解体されていく
「さてと、それじゃあ白鳥さんお願い」
「まかせなさい!〈道具箱〉!」
そう叫んだ彼女の後ろの空間に穴が開いた
「それじゃあ皆様、解体した物をどんどん入れてください」
そういって先ほどまで散らばっていたイノシシの肉や骨を次々とその穴に放り込んでいった
三年一組白鳥 麗香の異能は【空間収納魔法】
空間に穴を開けその中に物を入れられるという魔法
その収納量は本人の魔力に比例するが現在彼女は一トン以上の物を収納することができる
しかし生き物は収納することができない
数分後百体以上いたイノシシはすべて白鳥の〈道具箱〉の中に収納された
いきなりの戦闘ではあったが負傷者、脱落者も出ず一日目は終了した
後一話学校サイドが続きます
その次はまた主人公サイドに戻ります




