蜘蛛の名は
辺り一面に肉の焼ける美味しそうなにおいが充満する中
ヤシロは目の前の女に警戒の目を向けていた、そんな中当の本人は
「ほんとおいしいわねー」
のんきだった
「いや、本当に誰だよ、何で普通に俺たちの焼き肉食べてんだよ」
そんな突っ込みが聞こえていないのか
いまだ「おいしい、おいしい」といって焼いていた肉をどんどん食べていく目の前の女
そんな姿に未だ警戒をするヤシロ、そしてちょこちょことお肉を食べている桜と紅葉
そんなちょっとしたカオスな状況は目の前の女の言葉で一旦終わりを迎えた
「むぐむぐ ごくっ そんな警戒しないでよ これ食べ終わったら話すから
それよりも今は食べましょ、というかもうお肉がないんだけど」
そう言われ鉄板の上を見てみた
そこにはもう焼いていたお肉の姿がなく油だけがジュージューと音を立てているだけだった
目の前の女は「焼かないの?」と聞いてきた
そんなのんきな言葉と表情に警戒していたのがバカらしくなったのか
ヤシロはいまだたくさんあるイノシシの肉を切り出し鉄板の上で焼いていった
また辺り一面に良いにおいがし出した
目の前の女はそんな焼いた肉を見ながら「まだか!まだか!」と言いながら待っていた
その八つの目には期待しか見られずこちらへの害わ見られなかった
三十分後
鉄板にかけてあった火はけされてその近くのは巨大な動物の骨が積まれていた
あの後八メートルあったイノシシの肉は、ヤシロと目の前の女がちょうど半分くらいの比率で食べきった
両者ともどこにそんなに入るのか分からないが二人とも体型に特に変化がなく「少々腹が出た?」くらいであった
「はー、おいしかった、ごちそうさま」
そう目の前の女が言い、ヤシロは膝の上におなかがいっぱいで眠ってしまった桜と紅葉を乗せ再度同じ質問をした
「でっあんた誰なんだ?」
その質問に女は六本の腕を順々に伸ばした後、姿勢を正して答えた
「あら?ごめんなさい、ご飯をごちそうになったのに名乗らなくて
私の名前はクレア、こう見えて人蜘蛛なの、この森に住んでいるわ」
そう言ってクレアと言った女種族は人蜘蛛・・・人蜘蛛?
「あっ、今「人蜘蛛なのに何で足が蜘蛛じゃないんだ?」って思ったでしょ」
まるでこちらの思考を読んだかのようにクレアはいった
確かに俺の中でのアラクネは蜘蛛の体から女の上半身が生えた姿を想像するが、目の前のクレアの足は昆虫のような甲殻が太ももから足先まであるが人間のように指がある
そして続けてこういった
「私は、人蜘蛛だけど変異種なの」
聞けば彼女は蜘蛛から存在進化した人蜘蛛の変異種で、本来足が蜘蛛のはずが逆に手が六本で足をあわせて八本らしい、そのせいで同時に進化した同族から煙たがれて、この森まで逃げてきて暮らしているらしい
そんなクレアのすこし重い過去話を聞いた後、今度は彼女が質問をしてきた
「あなたは誰なの?人狼のように見えるけど流暢に言葉しゃべって子供育ててるけど?」
「俺の名前は ヤシロ、元人間の人狼だよ。
一週間前に人狼に咬まれて人間から人狼になったんだよ。
ちなみにこの二人はサクラとモミジ、元狼人の子供で捨て子だけど今は俺が親代わりで育てている」
そう言い、自分の事とサクラとモミジのことを紹介程度で話した。
そうしたらクレアは何故か驚いたような顔をして口を開いた
「えっ、本当に人狼なの?というか一週間前は人間だったって、しかもその子達も元狼人って
どうして意識があるの?普通元人間の人狼って本能丸出しのけだものなのに・・・」
けだものって・・・
そんな風にすこし混乱しているクレアを落ち着かせた後、人狼になった経緯と何で意識を失っていないのかを話した
数分後
「なるほど、一緒にいたお仲間を助けるために囮に・・・
しかも、異能のおかげで存在進化したと」
「まっ、だいたいそんな感じだ」
クレアの理解とのみ込みが早くて助かった
まあ、おおざっぱに説明すると
俺たちは遠い国の出身で
学生と呼ばれる学者の卵であるときこの大陸に転移
転移した先は右も左も分からぬ見知らぬ森
なんやかんやで探索中に人狼に遭遇
そして囮になり咬まれたが自分の異能である『耐性』により人狼の呪いを克服
しかしこのままじゃ帰れないので人化を完全に習得するまで森の中で暮らしはじめた
その過程で桜と紅葉を拾ってそして今に至ると
まあ、嘘は言っていない
「しかし大変だったねー、いきなり訳も分からない場所に放り出されてしかも事故とはいえ人狼にもなっちゃって」
「いや、俺は異能のおかげでこんな状況にも動揺していなかったからな。
まっ、そのおかげで人狼になっても普通に受け入れれたし、それに人狼の体の方が以外と使える、人間だったときよりもいいかもしれないと思ってるからな。」
「前向きだねー」
そんな和やかな雰囲気を出しながら二人は話していた
そんな中ヤシロは不意に疑問に思ったことがあった
「そういえばクレアは人の言葉をしっかり話せるけど、元は蜘蛛のモンスターなんだよな?どこで言葉をおぼえたんだ?」
そんなヤシロの疑問に、クレアはこういった
「ああ、それはねこの本を読んで言葉を覚えたんだよ」
そういってクレアは一冊の本を取り出した
・・・・・・どこから出した?
そう思いながらよくよく見てみれば、彼女の腰にはウエストポーチが巻かれておりどうやらそこから取り出したようだ。
でもさ、どう見てもウエストポーチと本のサイズが全然違うんだけれど
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まあいいか、深く考えないようにしよう。
「これはね、『誰でもできる魔術の書』って言ってね、
魔術の適正と属性、そして使い方について書いてある本なんだ
私はこれを読んで人の言葉を覚えたの」
そういって本をパラパラとめくるクレア。
何でもこの本、この森に入って死んでしまった人の持ち物らしい。
その人は商人だったのか、大きめの馬車に乗りこの巨大樹の森を突っ切って次の町に行こうとしたところ肉食のモンスターに襲われ亡くなったのだそうだ。
当時まだ存在進化前ばっかだったクレアは、散らばっていたこの商人の荷物を回収し巣まで持ち運んだときにこの本を見つけたらしい。
人型になったことで少々頭が働くようになったのでこの際に文字を覚えることにしたらしく少しづつ勉強をして文字を覚えていったそうだ。
理由としては「人の言葉を知っておけば何を言っているのか分かるし身の危険が減らせるかも」と思って始めたらしく、かなり苦戦をしたが今ではすらすらと読み書きができるようになったと嬉しそうに話すクレア。
そんな彼女にヤシロは
「へー努力家なんだな」
と、本気で感心したようにつぶやいた。
その言葉が聞こえたのかクレアは「そんなことないよ」とすこし照れながらうれしそうにはにかんだ。
ちなみに魔術もしっかりと覚えており、また魔法も覚えているため、彼女曰くかなり強いらしい
そんなとき、ふとクレアが
「ヤシロも魔術覚えてみませんか」
そう言ってきた。
それに対して俺は
「いいの?」
「いいですよ」
その時俺は鳩が豆鉄砲喰らったかおをしていたそうだ。
そして俺、大神 社はクレアに魔術を教えてもらった




