1節
山城の家の近くには、結構大きな公園がある。
その公園のシンボルともいえる大きな桜の木の下に、人影があった。
「・・・みっけ」
天神川若菜。この公園から少し行ったところにある、お嬢様学校の生徒である。
なぜ彼女がここに居るかというと・・・
「ちゃんと治るといいんだけどな・・・大丈夫か?」
そう、山城を待っていたのだ。
「ちょっと木原のおじさんのとこ行って、気を紛らせますかねぇ・・・え?」
「やっほー」
「やっほー・・・じゃねえよ!なんで変なアピールした上にいきなり声掛けてくるんだよ!?」
駄目だ、いま関わると無駄に時間を食われるだけだ、と判断した山城は、適当にはぐらかしてその場を立ち去ろうと考えていた。
しかし。
「・・・離さないんだゾ☆」
山城はふと右腕の方を見たところ、
天神川が山城の腕をがっちり抱きしめていたのだ。
「あの・・・当たってますっ・・・当たってますから・・・!」
「新なら別にいいもん」
ちょっとよこしまな事を考えてしまいそうになった山城だったが、必死に別の事を考えようとする。
(素数を数えるんだ素数・・・素数って何だったっけ?)
ここまで来たときにはもう手遅れ。天神川も、こちらを向いて待ち構えている。
いよいよ天神川の腕が体の後ろに回る。
「ここは公共の場だからやめよう、な?」
だがしかし。
天神川には聞こえていない。
そして山城は天神川と接吻を・・・




