彼女との日々
彼女と会った次の日。
僕はいつも通り、少し早い時間で目が覚めてしまう。
まだ朝の五時。
しかし外では小鳥が泣いている。
昨日は、少し遅く帰ってきたためまだ少し眠い。
僕は洗面所に移動する。
両親はまだ起きていないため、静かだ。
いつもの習慣で歯を磨き、顔を洗う。
まだ時間が早い為、僕は部屋に戻って本を読むことにした。
そろそろ、親が起き始める時間だ。
ガチャ
起きてきた。
多分母親かな。
朝食をつくるため、少し父親よりいつも早く起きる。
朝食ができるまで、まだ僕は本を読むことにしよう。
少ししてから、僕を呼ぶ声がする。
「光、ごはんよ。」
母親だ。
リビングに行ったら、父親も起きていて、もう朝食をとっていた。
朝食が終わり、両親は仕事に出かける。
僕は夏休みのため、学校もなにもない。
そのため親は今日の食事代を置いていってくれた。
「いってくる。」
そうして二人は出て行った。
僕は昼の時間までまだ本を読むことにした。
部屋はクーラーで涼しい。
外の音も少なく、時計とクーラーの音くらいしかしない。
気づいたら、もうお昼だった。
さっき朝食食べたばかりなのに。と思ったが
どうやら体は正直で、腹の虫がなっている。
冷蔵庫の中身を見たが、僕はそこまで料理は上手くない。
むしろ下手だ。
食材を台無しにしてしまう。
「何もないのか...。気分転換に外食でもしようかな。」
親からもらったお金を持って、外にでる。
近くのコンビニもあるが、やはりたまにはファミレスとかに行きたくなる。
僕は商店街にある、いささか有名なファーストフード店に入ることにした。
「...あ。」
「あれ!光じゃん!」
匠だった。
見るところ、女の子2,3人と一緒のようだ。
僕は挨拶をかわし、一人席に行く。
いや、行こうとした。
「まてまてまて!一緒に食べるだろそこは!」
「邪魔しちゃ悪いから僕はひとりで食べるよ。」
「まーたひとりかよー。たまにはいいじゃん!な?」
「そこまでいうなら。だけど食べたらすぐ帰るよ、僕は。」
結局一緒に食べることになった。
女の子達は、少し派手め。
可愛いとは思うものの、そういう対象ではない。
あまり僕にはそういう感情は持ち合わせないし。
僕をよそに、女の子や匠は話し始める。
匠は、僕がにぎやかなのが好きじゃないのを知ってるため
無理に話題を振ってこない。
正直助かる。
「あのー、なんで、えーと...」
「光、望月光。」
「光君は何も話さないの?」
「あ、こいつは結構人見知りなんだよ!緊張してるだけだから。」
さすが匠、ナイスフォロー。
一人が好きなんだ、と言ったらなんて反応をするだろうか。
変わってるとか、いわれるのかな。
まぁ、それはそれでいいけど。
他人になんて言われようが僕は気にしないし。
そうこうしている内に、みんな昼食を食べ終わっていた。
僕はお金を置いて、帰ろうとする。
「あ、光。ちょっとトイレ行こうぜ。」
匠がそう言ってくる。
なにかあるな、と思い
一緒にいくことした。
「悪いな、無理に誘っちゃって。あいつらと別れたらまたメールするわ。後で合流できたらしよう。」
「別に気にしなくていいよ。たまには悪くないっていうのは間違ってないし。」
そのまま僕はその店から出ることにした。
「さて、どうしようかな。」
とりあえず本屋に入ってみることする。
一冊だけ、気になる本を買って帰ることにする。
なんだかんだでもう7時くらい。
いくつかある本屋に行ってたから、結構時間がかかってしまった。
家に帰り、買ったばかりの本を読むことに。
気づいたらもう夜だ。
本は時間を忘れさせてくれる。
親が帰ってきた。
僕は先にお風呂にはいることした。
早く彼女に逢いたいって思って。
夕飯を食べ終わり、僕はすぐに外に散歩しにいく。
今日も満月。
きっと彼女はいるだろう。
不思議だけどそんな感じがした。
いつも歩く散歩コースではなく、僕は一直線に
あの公園に向かうことにする。
逢いたい気持ちがすぐに分かる。
「...逢いたい?なんで僕はそんなこと思っているのだろうか。」
彼女のことを僕は何も知らないのに。
逆に、何も知らないからこそひかれるものがあるのだろう。
僕って単純だな。
「...いた。」
彼女は昨日と同じように、月を見ていた。
昨日見たばかりの光景。
しかし今日は違ってた。
昨日、彼女を泣いていた。
しかし今日は泣いていない。
しかもどこか嬉しそうな顔。
笑っているわけでもないけど、不思議とそう思ってしまった。
「今日も、来てたんだね。」
「私もここ、好きになったんだもの。」
「そっか、また満月だ。」
「そうね。綺麗。」
そして僕らはまた月を見る。
話している時間より、月を見ている時間のほうが長いなんて
なんか笑えるな。
でも、落ち着く。
彼女といると、まんざら夏休みも悪くないと思える。
むしろ、ずっと夏休みでもいいと思ってしまう。
これは恋なのかな?
それとも僕の勘違い?
そんなことを思っていたら、彼女が口を開く。
「私、あまり人と話さないから、友達がいないの。」
「僕も話さない。おかげで友達も一人くらいしかいないよ。」
「だから、私と友達になってほしい。」
「こうして一緒に話したり、月を見ていてほしい。」
「僕も思ってた。君ともっと話がしたい。だからこちらからもお願いをするよ。」
「ありがとう、光。」
「ううん、こちらこそ。」
少ししか話してないけど、僕は満足だった。
彼女と友達になれたから。
彼女と別れ、僕は帰る。
別れるとき、
「また明日。」と言われて、少し胸がくすぐったい。
笑みがほんの少し、もれてしまう。
家に帰り、寝ることにした。
「...また明日、か...。」
それから、僕は毎日のようにその公園に行った。
彼女に逢うために。
ただ、彼女と一緒にいたい。
それだけを思って。
それからというもの、いつも夜に公園にいき
彼女と話していた。
いつのまにか、彼女のことが気になっていた。
これが恋なのかは分からない。
だけど、他の女の子には絶対にない気持ち。
この夏が、終わらないことを願ってた。
毎日毎日、彼女と逢っていたけど、いつも会話は少ない。
だけどそれでもよかった。
それだけで良かった。
幸せだったから。
もうすぐ、夏が終わる。




