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ヴォロネジ会戦④

南部の戦い(第四装甲軍vsステップ戦線軍)




第四装甲軍左翼(第48装甲軍団)VSステップ戦線軍右翼(第5親衛軍)


第四装甲軍中央(SS装甲軍団)VSステップ戦線軍中央(第1親衛軍)


第四装甲軍右翼(第3装甲軍団、第24装甲軍団)VSステップ戦線軍左翼(第60軍)

【1943年5月17日 南部攻撃部隊 第四装甲軍】


さかのぼること二日前。

第四装甲軍麾下の各部隊はステップ戦線軍への総攻撃を開始していた。

主攻は左翼の第48装甲軍団。284両のパンター戦車を擁す第10装甲旅団を中心に、1100輌の戦車・自走砲を擁している。

同軍団はベルゴロド=ヴォロネジ街道に沿って進撃。クルスク街道との分岐点であるゴルシェチノエを目指す。


ゴルシェチノエを獲れば北に進んで第二装甲軍と包囲網を形成することも、東に進んでヴォロネジを落とすことも、南東に進み中央部隊や右翼部隊と連携して敵左翼を挟撃することも出来る。


第48装甲軍団の側面には左から順にSS装甲軍団、第3装甲軍団、第24装甲軍団が展開。

これらの軍団は東から介入してくるであろう赤軍予備兵力を封じ、逆に予備兵力を右側面にひきつける役割を持つ。

そして、第48装甲軍団の突破が失敗した時には主攻へ化けるだけの戦闘力を保有している。


総合的にみて第四装甲軍の戦闘力は第二装甲軍をはるかに凌ぎ、赤軍の対戦車縦深防御を撃破可能な十分な量の火砲と支援航空機を持ち合わせていた。

故にその進撃は北部の第ニ装甲軍と比べると順調に進んでいた。



「GD師団(第48装甲軍団)がグブキンの制圧に成功」


「第3装甲師団(第48装甲軍団)、スタールイオスコルにむけ進撃を開始しました」


「SS装甲軍団、アレクセーフカ市の掃討完了」


「第24装甲軍団、ヴォロネジ=カメンスク街道へ進出」



第四装甲軍司令部には次々と朗報が飛び込んできていた。

GD師団は攻撃開始からわずか3時間で最初の関門コロチャを抜いた。

コロチャには第67親衛狙撃師団が立てこもり、無数の対戦車砲を揃えて待ち構えていたが、GD師団は過剰なまでの戦力集中でこれを叩き潰した。


まず師団司令部に無線誘導された地上攻撃機と急降下爆撃機の一群が突破区画を徹底的に叩いた。

わずか25キロの突破区画に400機もの地上攻撃機が殺到、地上の対戦車防御組織を火力でねじ伏せていく。

中でも高性能小型爆弾を周囲にまき散らす新型対人爆弾「SD1」「SD2」が猛威を奮い、密集した対戦車砲陣地を一瞬で薙ぎ倒した。

航空攻撃だけで40%以上の火砲を破壊し、反撃にでてきた戦車群も対戦車攻撃機が追い散らした。


空軍が十分な打撃を与えた後、GD師団は榴弾とロケット弾の豪雨をお見舞いし、450両もの戦車をわずか3キロの突破幅に集中。

強引に突破して陣地帯への侵入をはたし、部隊を左右に動かした。

赤軍の縦深陣地群は縦軸の防衛線を連鎖させたものであり、横からの攻撃には弱い。

弱点を巧みに突いたGD師団は突撃工兵と火炎放射戦車を使って、掩蔽豪や防御拠点を丹念に潰していき、防衛線の割れ目を拡大。

防御体系全体を機能不全に陥らせた。


コロチャを守る第67親衛狙撃師団は蹴散らされ、攻勢は軌道にのった。

ベルゴロド=ヴォロネジ街道にはコロチャ、グブキン、スタールイオスコルと3つの大要塞地帯が並び、ゴルシェチノエの障壁となっている。


3日目の今日、GD師団がグブキンを奪取。街道沿いの赤軍兵力は三分の二が崩れ去り、残る障壁はスタールイオスコルのみ。

中央のSS装甲軍団、右翼の第3装甲軍団、第24装甲軍団もそれぞれの目標を奪取し、第四装甲軍はまるでフランス戦のような進撃ぶりで赤軍の縦深陣地群を引き裂いていった。



【1943年5月17日 南部作戦集団 ステップ戦線軍】



ステップ戦線軍は危機的状況を迎えていた。

第48装甲軍団の攻撃対象となった第5親衛軍は戦線を無茶苦茶にされ、孤立した抵抗火点だけが各地に散在している。

街道沿いを守っていた諸兵力はそのほとんどが殺され、捕えられ、傷つけられた。


ファシストの進撃は至って順調で、味方の防御陣地帯は次々と抜かれている。

なんとしてもこの勢いをくじき、防衛線を立て直さなければならない。

幸いなことにステップ戦線軍は前線より後方が厚く、北のヴォロネジ戦線軍よりも戦略予備軍が充実している。

ステップ戦線軍司令官イワン・コーネフ大将は予備兵力を矢継ぎ早に投入していくことを決めた。

司令部には最高総司令官代理ワシレフスキー上級大将もきていた。


「スタールイオスコルを抜かせてはならん。死守するのだ同志」


「大丈夫です最高総司令官代理閣下。第74親衛狙撃師団に対戦車旅団3個、砲兵師団2個、戦車旅団2個を送ります。さらに第5戦車軍を第5親衛軍戦区に動かし、第48装甲軍団を食い止めさせます」


「機甲戦はかえって危険だろう」


「同志ヴァトゥーチンとも相談したのですが、戦車は埋めようと思います」


「なるほど。防波堤代わりというわけか」


裁量権を与えられたとはいえ、ファシストとの機甲戦は余りに代償が大きい。

機甲部隊による反撃は無駄な損害を招いていた。

そこでコーネフとヴァトゥーチンは戦車を埋めて砲塔だけを残し、トーチカとして使うことに決めた。

砲火の壁を作ってファシストを止めるのだ。

無論、機甲部隊からの反発は大きかった。機動力がうりの戦車を固定砲台として使うなどナンセンスだと。反撃用の機甲兵力を壁にするなどとんでもないと。

しかし、戦略的観点でみればヴォロネジ戦線軍もステップ戦線軍も足止め役に過ぎない。他戦域には攻勢用の戦略予備軍が多数控えている。

最高総司令部から攻勢の号令がでるまでは、全ての予備兵力を壁として使い、ひたすら消耗を強いさせるべきだった。


ワシレフスキーはコーネフの決定を快諾。北のヴァトゥーチンも同様の処置をとり、赤軍は徹底して守勢にまわることに決めた。



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