姉と弟
「やっちゃったな…。」
久々に弟を怒らせた。
昔から構って怒らせるのは好きだったけど、今回は本気で怒ってる。
あの子を本気で好きなんだね、なんか寂しいな。
「はぁ…、噂のお嬢さんを迎えに行きますか!」
少しは反省してるので、忙しい弟に代わってコッソリ迎えに行くつもりだ。
確か、ローレンツの街にも転送装置がある。行ってみますか!
今の今まで聞き耳を立てていた弟達の会話が遠ざかる。
あの子、誤解しちゃってるんだろうな…。
「…マリア姉、神殿行くんでしょ?お供しようか?」
「ステファノ…久しぶりだな~!なに、元気なの??」
「僕は元気だけど貴方の弟がねぇ。」
「ああ…、やっぱり?やり過ぎたんだよ、だからさー」
「いいよ。装置使うんだよね?」
「そっか、もう神官長なのか~。私も老けるわけね。」
ステファノが言うには二人とも鈍くて見てられなかったとか、あり得るわね。
今回は本当に本気みたいだし、シュリちゃんもいい子みたい。
悪い事しちゃったなぁー。
そうこう世間話をして、転送装置を使った。
アグネス諸国に着いてそうそう人だかりがある。
(あれ?こんなにゾフィーの街が賑わってるはずないんだけどなぁ…)
良く見ると見覚えがある女性と明らかに魔力量が高い妖精、高位妖精が輪の中心に居る。
街の人の話を聞いてみると噂の宰相様の恋人が浮気しているという。
ああ、そうか。あの妖精は人間に姿を変えてるので、妖精とは分からないらしい。
一般人は魔力云々習わない。
魔力が元々少ないから使えないという。
魔力が少ないから妖精も見えない。
だから迷信と思っているのだろう。
よく観察していると念話までしている。
シュリちゃんなかなか才能あるな!
もう少し様子を見よう。
いつも興味がわくと、他は後回しになってしまう。
すっかり連れ戻すことは忘れてた。
「マクシミリアンも行くわけ?」
「もって…まさか…」
「そ☆貴方のお姉様もさっき旅立ちました~。」
「俺も使わせろ。」
「はいはい。もう、今度奢ってもらうからね!!」
早くしろ!!
妖精でも許せない!
朱吏にベタベタ触れて…!
せめて一発殴る!!!
自分の事は棚に上げて憤ってます。
漸く転送装置から出ると、姉の怒号が聞こえた。
「私の妹に何してんのーーー!!!」
びったーーーーん
(な、なんだ?何があった!!)
あの姉が妖精を殴ってる…?
昔から魔法の類が好きで結婚する前は研究員だった。
だから妖精は魔力の繋がりがあるから大切に扱う存在だといつも言っていた。それなのに、殴ってる。
ちらりと、妖精がこちらを見た。
!!!!
あの妖精が朱吏の腰のラインを撫でている。
ふっ、と笑い、こちらを見ながら耳に唇を寄せて…!!
わざとか、わざとなんだな!!!!
もう次の瞬間は走り出していた。
***
ダビドお勧めの宿の一室。
あの告白に動揺したものの、初めての国外で疲れたのか、朱吏はガッツリ寝ていた…が
「えええ!!」
「―――なんだ?ん、朱吏?」
何故かダビドも隣で寝ていました…。




