あとは若い(?)二人で…
「―え?」
ペロ
眦に溜まった雫を掬われた。
話が衝撃的すぎて何をされてもうわの空だ。
「誤解されたと思った時は気が気じゃなかった。」
ヒューでも動揺しちゃったりするんだな、とどうでもいい事を考えている。
「―朱吏は、何故泣いた?」
「それは…寂しくて、苦しかったの。」
「ああ。」
「―突然触れなくなったから、うぅ、嫌われたの、かも、って、ずるるる。」
顔全体にキスの雨が降る。鼻水垂れ流しだけど許してほしい。
それにしても引き続き目立ってる。
アグネス諸国でも有名になっちゃうのは勘弁してほしい。が、
うまく纏まってよかったな!お二人さんお幸せに!!とか、何故か拍手喝采だ。
実は隣国のアグネス諸国でも冷徹で氷の貴公子、宰相閣下様は有名だった。
閣下と侍従の少年のような女性とのスキャンダルはこの国にも届いている。
身分違いの恋やらなんとかで注目が集まっていた。だからだろうか、街のやじうま達の視線は温かい。
いい加減居心地が悪くなった頃、お姉様は転送装置の予約を取っていたらしい。
さすがに今日中に帰る事は無理そうなので朱吏がとった宿に泊まることになった。
現在、朱吏の部屋で酒盛り中。
お姉様はマリア・ジョアン・レオナルドゥス(クリストフォルス)、34歳。なので朱吏よりお姉さんだった。
ヒューと同じ銀髪は艶やかに波打って、胸下あたりに朝の小川のように流れている。
肌は大理石のように磨かれていて、目はアメジストみたいに輝いている。
背は170くらい。やっぱり皆さん大きいです。
実はおなかにお子様がいるそうで、転送装置使って大丈夫だったのか疑問だ。
「あの、マリアさん。ヒューと一緒の部屋の方がいいんじゃないですか?」
「お姉様と呼んでって言ってるでしょ? ―部屋はいいわよ一人の方が気楽で。それより折角仲直りしたんだから二人でゆっくりしなさいよ!」
この宿はダビドがお勧めするくらい大人気で、部屋が2つしか取れなかった。
お姉様は何故か気を使って二人にしようとする。
晩酌の酒を片手にもう1つの部屋に向かってしまった。
(…なんで無言?気まずいなぁ。)
先ほどからお姉さんと私しか話していない。
どうしたんだろう?
ゆっくりとロックグラスを揺らしながら俯いている。
私がそっと覗きこむと思いっきり目を逸らされた。
(私、また寂しいみたい。)
胸がキューっとなった。
もう、お風呂入ってすっきりしよう。
はぁー、また少し涙が出た。最近弱いな、私。
何やってるんだ俺は!
また傷つけてしまったかもしれない。悲しそうな顔をしてた。
たった一言いえばいいのに、手は出るのに言葉が出ない。まるで動物だ。
もう決めたじゃないか、傍に置くと。
好きだ、この一言だけなのに!




