珍味の代償
す――――っごい。一番の美人さんでした。
背は事らの世界の人っぽく高い!骨格はしっかりしているけど線は細い。
細マッチョです。それに加えてツンデレ系なんて!最高!!
さっきは子供みたいだったのでドキドキします。
だって突然大人の男の人なんだもん。
荷物かせ!…持つ。とか、赤くなって言われちゃうと、もう!!!
抱きついてイイ子イイ子です!
「や、やめろって!!!」
「いや!はまりすぎちゃうかも!うふふ…」
「気持ち悪!!やめろって!!」
「…ふふふふふ。聞こえません…ふふ。」
バッチリ保護するための観察、という名の盗撮で全て見られていました。
変態っぷりが全面に出てます。
ヒューだけが冷気を発しながら地を這う声で殺す、と呟いている。
他は心配していたのにまさかの映像で遠い目をしています。
「 ―――神殿の転送装置を使わせろ。…迎えに行く。」
「あの高位妖精がいれば大丈夫よ。すぐ帰ってくるわ。」
「しかし!」
「今行ったらまた逃げられちゃうんじゃない☆」
「!――…くそ。」
***
ヒューの葛藤中、朱吏はダビドとアグネス諸国を満喫していた。
ダビドお勧めの酒場で一杯ひっかけている。
言葉の壁は難なくクリアしたらしい。
ま、妖精と喋れるくらいだから大丈夫な気はしていた。
「今日はここの2階に泊まれるようにしといたぞ。」
「なんか色々ありがとう!!なにか、お礼が出来ればいいんだけど…」
「じゃあ、後で少しだけ魔力を吸わして?」
「魔力を吸う?良く分からないけど、危険な感じではないんだよね?」
「勿論!異世界人の魔力なんて珍味だからな!!」
…珍味扱いかい。
「まぁ、色々案内してもらっちゃたし、いいよいいよ~。」
朱吏は軽く請け負った事がベロちゅーなんて知らなかった。
まだ映像を見ていたヒューが殺す、と息巻いていた事は気付かない。
転送装置はアグネス諸国の大神殿にある。
ちょうどパウルスの森を出てすぐの大きな街にあった。ここ、ゾフィーの街だ。
ダビドは度々この街に来ているようで、顔見知りも沢山いた。
そしてなんとこのアグネス諸国は黒髪の人がちらほら居る。
流石に黒目の人は居ないけど、親近感はある。
本当に観光気分だったが、ヒューと別れる間際の事を思い出していた。
ー私、出て行くところだったんだ…。
手荷物は出て行こうと決めた時の全てがある。
このアグネス諸国に住んでしまってもいいんじゃないか?
またあんな苦しいのは嫌だから。
転送装置を使う予約をしに来たが一瞬怯んだ。
ヒューの上に乗ってた女の人が脳裏を横切った。
ステファノやカトリーヌ、フィリップ、一言も伝えず去ることは心苦しい。
受付で戸惑っていると――
ーここに残るか?一緒にいてやってもいいぞ!ー
(え?)
ー考えてる事、ばれてんだよ。そんな男辞めちまえ。ー
(…辞めるとか辞めないとかじゃなくて別にそんなんじゃないの。えっと、異世界人の保護者っていうか、なんというか…。)
ーはっきりしないな!ー
突然、抱きしめられた。
意外に力が強い、加減してくれ。と関係ない事を考えてしまった。
ってちょっと待って!ここ神殿の受付!!!
恥ずかしすぎる!!!
目立ってる目立ってる、右手で背をタップする。
びくともしない~!
ーもう少し煽るか。ー
(何?煽る?何を!!!)
やっと腕の力が弱まったので、少し身体の隙間を空けた。
もう一度、先ほどの”煽る”意味を聞こうと顔をあげた――
ペロ…
(きゃああああーーーーー!!!)
何すんのーー!唇舐められた!!
この野郎!珍味でも何でもここで吸っちゃ駄目ーーー!
あわわわわ、と取り乱していると、
カッカッカッカッ
物凄い焦った足音が聞こえてきて、何故か背後で止まる。
朱吏はダビドに抱きしめられていて何も見えない。
ーやっと来たか。ー
(なに!何が来たの!!!さっきから意味わかんない!!)




