お姉さまと出て行く女
「う…」
重たい…なんだ、前にもこんな事が…
(!!!)
ヒューは飛び起きた…が起きれない。
どうやら誰かが身体に跨ってる。
「おはよ!久しぶり~!」
「!!!」
「お・は・よ・う」
「ああ、おはよう…どうしてここに?というか退いてくれ。」
「安定期になったからこっちに帰って来たの。」
退いてという言葉はスルーされた。
安定期といっても身重の体だ、無理強いは出来ない。
「それで?愛しの彼女は?一緒に住んでるんだってねぇ~。まさかあんたがね~。」
「うるさい。もう帰ってくれ。朱吏が起きる。」
「何それ!!紹介くらいしなさいよ!!未来の姉よ??」
(未来の姉……気が早いな。)
と、言いつつ想像して顔を赤くしてたら黙認したようなものだ。
「今度な。もう今日はこれから仕事だ。」
そうこうしてたら朱吏に目撃された。
せめて姉に、上から退いて貰っていたら話は変わってきたかもしれない。
後の祭りだった。
やはり宰相補佐官は来ていない。
来ないなんて初めてじゃないか?
やっぱり朝の事が原因だな。ああ、もう。本当なら仕事なんてやってられない!
一人でどこに行ったんだ、しかし行けるところは少ない。
あちらの世界になんて帰ってないよな、それじゃあ手が出せない!
後でステファノが顔を出すはずだ、その時相談してみよう。
***
朱吏は真剣に悩んでいた。
引っ越す事と職場を変える事、ヒューから離れた方がいいと思った。
彼の傍は居心地が良すぎた。直ぐにでも行動に移さないと離れられなくなる…
(住民登録から少し時期が延びただけ、本当は一人で生きてたんだよね。大丈夫、出来る。)
「ちょっと、ホントに引っ越すの?仕事も?僕はやめた方がいいと思うけど。」
確かに…引っ越しはともかく、宰相補佐官はすごく楽しかった。
元々経理も秘書も経験がある。補佐官にはぴったりな資格を持っていた。
他の仕事となると、異世界の知識が生かせれば何とかなりそうだ。
「いいの。もう決めたんだ。有難うステファノ。」
ステファノは馬乗りになった女を知っていた。
そういう事をするのは彼女しか居ない、彼のお姉様だ。
安心させようとネタばらししようと思った。
だけど朱吏はその前に頭を切り替え冷静に未来を見据えていた。
(ほんと浮上するのが早い…タイミング逃しちゃったよ…。このままいくとマクシミリアンは狂っちゃうな…その前に報告してシュリちゃん止めないと。ホント困った姉さまだよ。)




