邪魔者と二人
夢なのか?
そうだよな…あの忌々しい過去の夢…
いつも見る夢。
真っ暗な闇の中、きつい口紅の色だけが浮き上がる。
徐々に沢山の白い手が俺の腕に絡みついてきた。
あなただけ、なんて嘘だ。胸糞悪い。
それが優しいキスで、光さす場所で終わるはずがない…。
***
ああ。朝か。
鳥の囀りが聞こえる…
なんだ…?柔らかいし温かい…
ん?
ああ。朱…
(!!!!)
なんてことだ!今度は俺が抱きしめている!
これじゃあ、まるで…!
「……お早う。」
(やっと…ちゃんと起きたよね?もう寝ぼけてないよね??)
ぎこちないが何とかあいさつを交わす。
「ああ。お早う。」
………。
ど、どうするべきか…
腕を外す機会が…。
完全に目が泳ぎ、少し汗ばんできた。
もう無表情ではない。
「ぷっ…」
「???」
「顔…赤いです…。」
「っ!!!!」
もう、駄目だ。
彼女と居ると心臓が止まる。
疲れなくなっても重傷だ…。
傍からみたら新婚夫婦のようだが二人はまったく気付かない。
***
「…で、何処に行ってたんだ?」
宰相の部屋で男二人…
ヒューとフィリップだ。
ヒューは結局朱吏の周りが気になるだけだが
気づいていない…
「ああ、昨日はステファノさんと飲みに行った。」
「は?」
(昨日こいつは朱吏を…)
「あれはマクシミリアンさんの背中押すために…あ、言っちゃまずかったんだ!!あはは」
こいつ…
わざとじゃないのはわかる、わかるが…
イライラするな……
「あの時」
「え?」
「途中まで送った時は…」
「ああ、泣いてた。最初は押し殺してたけど。最初は良かったんだけど…最後は鼻水凄くて見てられなかったっす。」
「…。」
30代ってこんなものなのか?
いや、朱吏だけだよな…。
嫌ってた女性らはこんなんじゃなかったはず…
コンコン
「入れ。」
「失礼します~。」
(!!!!)
「朱…「朱吏さん!!こんちは~。今日は元気みたいですね!!」
(フィリップ…)
「あ!こんにちは。昨日は有難うございました。」
「朱…「いえいえ!…お?なんかいい匂い…」
(フィリップ…もういい帰れ!!!)
「お昼まだですか?作ってきたんですけど
一緒にどうですか?」
「やった!!頂きます!!!」
「…。」
(あ、あれ?機嫌悪…)
「ヒュー?」
「っヒュー????」
「え?」
何この感じ…ステファノさんもこんなだったような…。
「…。」
ちょっとちょっとちょっと!!!
なんでヒューが赤くなってんの!!!
目を反らすな!!!
え、意味わからない…。
「ミドルネーム呼び合う仲なんですね!!!」
「っ黙れ!!!!」
「なに?ミドルネームまずいの??ちょっとぉ~!!!!」
数分後
ぎゃああああああああ………
ミドルネームは夫婦や恋人同士の呼び方だ。
朱吏はやっと知った。
艶やかなショートの黒髪を振り乱し、ガシガシ掻いて取り乱している。
年齢などを含め、この態度が余計子供を彷彿させる。
(でも今更…ヒュー以外呼べないし分からない…。迷惑この上ないよね…私こうゆう常識ホントない。)




