女嫌いと行き遅れ
「ん…」
寝苦しくてヒューは起きる。
何かが纏わり付いている。
そうだ朱吏だ。
昨日は手が外れなくて止む得なく…
「っ!!!!」
(こ…どもじゃない??)
夜着が大きかったのか、胸元が露わになっている。
そこにはこちらの女性に比べてはささやかな胸がみえていた。
寝顔は30代には見えない位、愛らしいくぷっくりしている。
唇は艶があり綺麗な桜色で、鼻は低くもなく高くもない可愛らしい。
濡れたような緑の黒髪は朝の光を浴びても夜の空のみたいだ。
こんなに女性にしか見えないのに、何故気付かなかったのか。
それは、相変わらず口を全開で涎を垂らしているからだろうか。
朱吏の腕はヒューの背に回され、はっきりと括れたウエストと、
ハリのある腰は、ヒューに密着している。
(…まずい。)
そう、ヒューは焦っていた。
明らかに密着し過ぎである。
朱吏は寝ぼけて、抱き枕にしていた。
若いころから無表情でも一応モテるし、一夜限りも多々ある。
宰相になる前からも…だけど女性は苦手である。
香水も化粧の匂いも嫌いになった。
顔と地位と名誉、財力。そればかり。
それだけ、上辺だけ見てる女性が後を絶えなかった。
朱吏はどの女性にも当てはまらない。
だから、余計まずいと思った。
早く離れなければ…
あんな思いするのは嫌だ。
信じてから裏切られるのはもう沢山。
朱吏を起こさないよう、そっとベッドから出た。
***
「どうしたの?朱吏ちゃんとなんかあった?」
城に着て早々ばれた。
朝の光景が目に焼き付いて離れない。
やはりステファノは知っていたのか?
はぐらかされたけど朱吏自身には聞いてないらしい。
「顔赤いけど急展開?な訳ないか。ふふ」
「からかうな。何もない。」
何もないが…何もないんだ…そう何もない…
「あらら。思考の渦に入っちゃった。それにしても…顔真っ赤だよ?って聞いてないね。」
そういえば、女性とは知らず男性物の下着を渡してしまった…
ああ、なんてことだ。朱吏はどう思っただろうか。
これを機会に服を新調しておこう。
しかし女性の服など分からない、誰かに相談するべきか…
煩くて敵わないが久々に幼馴染に連絡を入れるか。
悶々と悩んでいるが、結局朱吏を構う方向に。
あんなに距離を取りたがっていたのに全然気づかない。
***
その頃マクシミリアン・ヒュー・レオナルドゥス邸では…
「あれ?もう仕事行っちゃったの?…ま、いっか。」
朱吏は爆睡中だったので、一緒に寝ていた事も覚えていない。
相変わらずな朱吏でした。




