535、対話のテーブル
翌朝、リリスに起こされた……
めちゃくちゃ眠い……これ起こされなかったら昼まで寝てただろうな……くそぉ、私はなぜ朝イチなどと言ってしまったんだ……昼でよかったじゃん……
リリスったら朝食まで用意してくれちゃって。絶対私より寝てないだろ……起こすのも朝食を運んでくるのも配下にやらせればいいものを。まあ私達の部屋に来れるのはリリスの特権みたいにところもあるしなぁ。でもありがとリリス。あぁ美味しい……
魔王の館、玄関前。帰りの客で少々混んでいるところに例の三人が縛られたまま横たわっている。なのに服もきれいだし見た目だけは元気そうに見える。ツバすらかけられてないのね。たぶんリリスからめちゃくちゃ拷問くらったって知ってんだろうなぁ……
おっ、その横に立っているのは……
「よお魔王お。朝から出かけるんだってなあ? オレも連れてけよお?」
シュガーバじゃん。昨日は見かけなかったが。もしかしてこいつも拷問に参加してたのかな。こいつえげつない拷問しそうだもんなぁ。適材適所だね。
「構わんぞ。リリスの命令か?」
「いーや? 行きてーから行くだけだあ。悪いかよ? 今日は休みだしよお?」
おお、シュガーバにも休みってあるんだ。さすがの福利厚生だね。リリスやるじゃん。
つーかせっかくの休みなのにわざわざ危ない所に付いてこようとするとは……バカな奴だなぁ。まぁ、面白そうって理由で妻子を捨ててローランドまで来た奴だしなぁ。バカな奴だなぁ。
「悪くないさ。じゃあちょっと待ってな。」
この三人に契約魔法をかけてしまうからな。酷い拷問くらって、もうとっくに心は折れまくってんだろ? かけ放題だろうな。
はい終了。やはり楽勝だったな。二人は明日になったら無差別に暴れること、残る一人にはそれを制圧することを命令しておいた。生きて帰った者ってのは疑われるのが当たり前だからさ。少しでも疑いを減らしてやろうという心意気だね。
だってその一人には今後もスパイとして働いてもらうからな。こちらに定期的に情報を流す手段はないにしても、私やリリス、それからシュガーバには嘘がつけないようにしておいたからね。そのうち活躍してもらおうじゃないの。失敗しても死ぬのはこいつだしね。えーっと、名前は……トカーラね。
「待たせたな。じゃあ行こうか。」
「くっくっく、面白くなってきやがったぜえ……」
暴れに行くわけじゃないんだけどな。
「カース大丈夫? 眠くない?」
「眠いけど大丈夫だよ。さっさと終わらせて帰ろうね。」
だって昨夜は風呂で少ししかイチャイチャできなかったんだもん。
「ピュイピュイ」
「ガウガウ」
コーちゃんもカムイも来てくれると言っている。では総勢五名、プラス三人で突撃といこうかね。村長は寝てるっぽいし。
方角は、だいたい南東だったかな。
到着。飛んでくることを知られたくなかったので手前で降りてわざわざ十分ぐらい歩いてやったぜ。まぁ、この三人が一緒だから意味があるかは怪しいけどさ。
見えた。外でキャンプしてる奴らだ。さすがにもう起きてやがるよね。
「来てやったぞ。隊長と番頭を呼んできな。」
「トカーラ! それにタウリとアハンブもいるぞ!」
「本当に来やがったのか! のこのこと……」
「たった三人だと? しかも一人は女かよ……なめやがって……」
三人じゃなくて五人だぜ? そりゃお前らはコーちゃんもカムイもカウントしないんだろうけどさ。
「うるせえぞテメーら? うちの魔王様がさっさと呼んでこいとおっしゃってんだろうが。テメーら役立たずでもそんぐれーできんだろ。おお?」
シュガーバがチンピラモードだ。いや、これは下僕モードとでも言うべきかな?
「ちっ、弱そうなくせに調子に乗りやがって……」
「てめぇまで偉ぇと勘違いしてんだろうぜ?」
「その前にトカーラたちを放しやがれ!」
やれやれ。賓客に対する態度がなってないなぁ。
「シュガーバ、あいつだけ殺していいぞ。」
「うっは。話せるじゃねえか魔王様あ。よーし、テメーだテメー。殺してやるからちっと来いや。」
シュガーバに弱そうと言った男だ。見た目はゴツくて強そうなんだけどね。シュガーバは細いし。
「あぁん? どこまで調子ん乗ってんだてめぇ? 俺とサシでやろうってか!? 来いやオラぁ! ぶっ殺してやるか、あぁら……らら……ど、どうなっ……ぺぺっぉご……」
おおー。やるじゃんシュガーバ。見事に首が絞まってるね。お得意の伸縮するミスリルの弦か。おっ、倒れた。まだ生きてるんじゃないかな? あ、でもいいタイミングかな。
「シュガーバ、そこまででいい。勘弁してやりな。」
「へへっ、そうですかい? だったら仕方ねえなあ?」
「うっ、げぇえっゴホッガハッ! ぐっ、はぁはぁ……」
君、ツイてるねぇ。呼びもしないのに番頭が来てくれたおかげだぜ。
では、魔力庫からテーブルと椅子をドーンとね。座って話そうじゃないの。
「配下の教育がなってないな。もう少しでそいつ死ぬとこだったぜ?」
「お待たせして申し訳ありません。彼らは配下というよりは一時的に雇い入れてるわけですのでどうしても目が届かないところはございます。重ねてお詫び申し上げます」
これっぽっちも悪いと思ってない謝罪だね。
ふふ。さあ、お話を始めようか。




