526、唐突なヒイズル行き
意外にもスムーズに海岸まで帰ってこれた。さて、アレク達の暴れ具合はどうかな? 見た感じは静かだが……
なるほどね。静かなのは海岸付近だけか。ちょっと陸地に入ると篝火だらけ。めっちゃ警戒してんじゃん。
「待て! お前ら何者だ!」
「そういうお前こそ何者だ? ちなみに俺らは番頭の賓客なんだがな。」
「あぁん番頭だぁ!? あのローランド野郎かよ! ちっ、ムカつくぜ!」
んん? その言い方をするってことは……
「お前はメリケインの者なのか?」
「当たり前だ! 大海の覇者メリケイン連合国の民に決まってんだろうが!」
『麻痺』
「が……あ……」
アレク達がすでに何人かキープしてるかも知れないけど一応ゲットしておくかな。
『浮身』
「連れて帰るのかの?」
「まあね。情報源は多い方がいいじゃない?」
「それもそうだの。」
『隠形』
さて、アレクの待つミスリルボードへと飛んでいこう。お土産付きで。
「お帰りなさい。思ったより早くて嬉しいわ。」
熱い抱擁。嬉しいお出迎えだねぇ。
「ただいま。こいつはお土産ね。おっ、二人捕まえたんだね。」
「ええ、指揮官クラスらしいわ。さすがに六等星は違うわね。」
「お前らご苦労。よくやったな。じゃあ帰ろうか。今夜は少しばかり忙しくなりそうだからな。」
「あら? まだ何かするの?」
「うん。ちょっとヒイズルまで行ってこようと思ってさ。」
「はあぁ!? 魔王お前何考えてんだ!?」
バクティクラッシュの奴が大きな声を出す。そりゃあ私だって変なこと言ってる自覚はあるよ。
「とりあえず帰りながら話すわ。といっても、もうすぐ着くけどな。」
だってぶっ飛ばしてるから。
「げっ、マジかよ……」
「何か調べることでもあるのかしら?」
さすがアレク鋭い。
「そんな感じ。調べるというか話を聞くというか。」
予定では二ヶ所だが……
「カースは本当に忙しいわね。で、どこに行くの?」
「オワダ商会と天道宮かな。ちょっとクワナにも聞きたいことがあってさ。」
オワダ商会も大きさは小さくとも全身アイリックフェルムの船を持ってるからな。どこで作ったとかシャイロック商会に関する話が聞けそうだからな。
クワナにはメリケインとの付き合いについて。国交がどうなってるのかも含めて聞いてみたいからな。
「天道宮って、そこ確かヒイズルの王宮だろ!? 正気かよ……」
「ヒイズルの天王、じゃなかった天公クワナはダチだからな。お前も行くか?」
「い、いや、さすがに勘弁しろや……ぜってぇ行かねぇ……」
「そいつは残念。天公クワナはちょっと前までノルドフロンテで冒険者やってたんだけどな?」
こいつらとは話が合いそうな気がするね。
「マジかよ……どうやったら冒険者が天公なんてもんになれんだよ……」
やっぱ天王の息子に生まれることじゃないかな?
「生き残ることだろうな。あいつはあれでも過酷な生き方してきた奴だからさ。」
「そ、そりゃそうだな……」
「それよりアレクは行くよね? フェリクスはどうする?」
「もちろん行くわよ。」
「儂はやめておこう。先程の飲み残しの続きを飲りたいからの。おおそうだ。ついでに捕らえた者から話を聞いておいてやろうではないかえ。」
村長ぁ……サービス良すぎるぜ。めっちゃ助けてくれるじゃん。
「悪いね。助かるよ。こいつ以外にも五、六人ほど来てると思うからさ。気が向いたらついでに頼むよ。」
「かかか。気が向いたらの。」
まぁ村長がやらなくてもリリスがやってくれるだろうけどね。でも村長が相手なら勝手に心を読んでくれるだろうけど、リリスだと凄惨な拷問されそうなんだよな。追手たちドンマイ。
「ガウガウ」
あ、そう……お前も来ないのね。もう腹がへったのかよ。まぁ行って帰るだけだからいいんだけどさ。
「ピュイピュイ」
さすがコーちゃん。来てくれるんだね。信じていたとも。
「ピュイピュイ」
あ……精霊の味がする酒が飲みたいのね……生産量少ないらしいから、あるかどうか分からないよ? あとさすがにその村には寄らないしね。クワナに聞くだけ聞いてみるからさ。
そりゃあ私だってあれはまた飲みたいさ。ヒイズルの北西へグリッチ領はツーホ村、アキツホニシキの特等純米生原酒だったな。ローランドにはない味わいだもんなぁ。
「じゃあちょっと行ってくるからさ。リリスによろしくね。」
「うむ。カース殿も大変だのぉ。気をつけての。」
まったくだ。本当なら明日からスペチアーレ男爵のところでのんびりするはずだったのにさぁ。まったく、許せんな。
ヒイズルでバッチリ裏取りしてやるぜ!




