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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第7章

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523、バンダルゴウのシャイロック商会

伝令に走った奴が戻ってきた。意外と早いじゃん。


「船長が連れて来いとのことだ。営倉にな」

「ふふふ、そいつはいい。喜んでご招待してやるぜ。来い!」


聞こえたぜ。営倉だと? 舐めてやがるな。私はともかく村長をそんな所に入れさせるわけにはいかんだろ。適当なところで暴れてやろうかな。


『カース殿よ、ちと落ち着け。えいそうとやらが気になったでの。とりあえずそこまでは大人しくしておこうではないかえ』


村長ったらどんだけ私のことを観察してんだよ……


『分かったよ。じゃあ営倉に入るまでは大人しくしてるよ』


「もたもたするな! さっさと歩け!」


うるせぇなこの野郎……ケツを蹴りやがった。私のドラゴントラウザーズは『防汚』が付いてるから汚れることはないけどさぁ。ムカつくぜ。




「入れ! ここで大人しく待ってろ!」


ふぅん……これが営倉ね。わずか一畳ってとこか? 一人用だろうに村長と二人まとめて入れやがった。やれやれだ……あー臭っせ。


『浄化』


「付き合わせて悪いね。五分待って来なかったら出ようよ。」


「かかか。それも良いのぉ。ふぅむ、これがえいそうか。人間はこのような所に同族を閉じ込めるものなのだの。」


「どうなんだろうね。騎士団の詰所なんかには牢屋があるけど、あれはもっと広いんだよね。」


そういや国王の船『ゴッデス・アレクサンドリーネ・マーティン』にも営倉ってあるのかな? 私が知らないだけでありそうな気もするなぁ。でも不祥事をやらかした宮廷魔導士は甲板でマストに縛られてたし。今度聞いてみようかな。


「しかしカース殿よ。このような狭い場所に肩を並べて座るのも、ちと面白いと思わぬか? 得難い経験というやつだ。儂は初めてだわえ。」


さすが村長。懐が広いなぁ。


「そういえばフェアウェル村にはこんな所ってないの? 昔のダークエルフの村にはあったじゃん?」


「おお、独悔房(どくかいぼう)か。うちにもあるぞえ? もっとも最後に使ったのはいつかも思い出せぬがの。」


おお、あるんだ。確か魔力を封じた上で閉じ込められるんだよな。脱出不可能じゃん。


「思い出せないってことはフェリクスは入ったことないの?」


「かかか! あるわけなかろう。これでも若い頃から真っ当に生きておるからの。おっ、来たようだの。」


本当かぁ? 天才化け物ハイエルフを誰が閉じ込められるのかって話な気がするぞ……

それより、意外と早いな。五分ちょいってとこか。


ん? いかにも海の男って感じの奴と、小太りの男? どことなく商人風だな。


「お初にお目にかかります。魔王カース・マーティン様とお見受けいたします。私バンダルゴウはシャイロック商会の番頭アバーリオと申します」


マジで商人でやんの。しかも私のこと知ってんのかよ。知っててこの扱いとはねぇ?


『風斬(かざきり)』

『金操(きんくり)』


縄を斬り、鉄格子の鍵を開けた。私のことを知ってるならこのぐらいのことは見せてもいいだろう。デモンストレーションも兼ねてね。


「俺のことを知ってるならよくこんな扱いできるな? もう少しで船ごと沈めるとこだったぞ?」


「なっ……」

「ど、どうやって……」

「こいつ……」


商人以外は驚いているようだ。平然としてるのは商人と、船長もか。


「申し訳ございません。この目で確かめるまでは確信が持てませんでしたもので。何せ巷には魔王様と似たような服装をする輩が未だ後を絶ちませんので」


「ふーん? まあいい。ではここに来た理由は聞いてるな?」


「はい。魔王様の配下である冒険者に手を出してしまったことですね。謝罪申し上げます。しかしながらこちらの事情もお聞き届けくださいませんか? やぬを得なかったのです」


ほぉう? 死体を埋葬もせず海に捨てるような奴らがねぇ……


「聞くだけ聞いてやる。」


「ありがとうございます。そもそも先に手を出したのはそちらだと聞いております。上陸したこちらの者に何を思ったか攻撃をくわえてきたと。それでやむを得ず反撃した次第です。ですがその死体を適切に埋葬せず、怒りに任せて処置したことについてはこちらの手落ち。そちらに関しては謝罪申し上げます」


『本当のようだの』


マジかよ。だが、こいつ『聞いている』って言ってたな。自分の目で見たわけじゃないだろ。小賢しい手を使いやがって。

六等星ともあろう冒険者が目先の小銭欲しさにわざわざ人間を襲うわけないだろ。しかも金持ってるかどうかも分からない得体の知れない奴らなんかをさ。


「言い分は分かった。なら当事者と会わせてもらおうか。隊長とか言ったな。あいつらなんだろ?」


「かしこまりました。しかしこの時間です。昼間からずっと警戒し通しで疲れ切っております。明朝でもよろしいでしょうか?」


あからさまな時間稼ぎか。それがどっちに有利になるか……今ごろはもうアレク達が暴れてる頃だろうし。まぁ構わんだろう。


「いいだろう。ではそれまでお前の話を聞かせてもらおうか。なぜバンダルゴウの商会が東の大国と組んでいるかも含めてな。場所を変えてじっくりとな?」


「かしこまりました。では応接室にご案内いたします。そこで一献酌み交わしながらご説明させていただきます」


言葉尻は丁寧なんだけどなぁ。でも商人って奴は油断も隙もないからな。わざわざ営倉に案内したのだって立場をはっきりさせて主導権を取ろうとしたんだろ? で、今度は豪華な応接室で持ち上げて気分良くさせてコロコロ転がしてやろうってか? 私はともかく村長がいるからね。まず無理だろうよ。せいぜい美味い酒でも持ってくるんだな?

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一筋縄ではいかない相手かな。
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