351、地下室のメロディ
さて、この男が喋れるように麻痺を一部解除してやるかな。この部屋のおかげで魔力は止めなくてもよさそうだし。
おっ、ダミアンもラグナも降りてきたな。
「あん? グルコンじゃねーか。こいつ一人だったんか?」
「見た感じはな。他に誰もいないかは確認してないぞ? 魔力探査できないしさぁ。だから俺とラグナで探すとするさ。ダミアンはその間こいつの尋問でもしてな。」
「探すっつってもボスさぁ。あの扉しかないじゃないかぁい?」
そんなことぐらい分かってるってんだ。
「隠し扉とかないのか?」
「デフロック兄貴からは聞いてねぇな。つーか魔力が使えねーってのも知らなかったぜ。もっともおめーにゃ関係ねぇみたいだけどな。」
「じゃあラグナは隠し扉の確認な。あの扉は俺が行く。」
「分かったよぉ。まっ、アタシの目はごまかせないからねぇ?」
意外とラグナってそういうとこ目ざとそうだもんね。
では私は唯一の扉へ。おっ、鍵はかかってない。兄ちゃんいるかい?
「死ねぇえ!」
『麻痺』
女だ。横から短剣でざっくり来た。もちろん効かないけど。私の左から、いきなり心臓狙いとは手慣れてるのかねぇ。
カウンターで顔をぶん殴るついでに麻痺をかけてやったけど。不意打ちするんならもっと静かに素早くやれよな。
ふーん、この部屋は狭い割に物が多いな。タンスっぽいのからただの木箱まで。ぱっと見この姉ちゃんしかいない、ってことはドストエフの奴はどこかに隠れてるってことか?
『風斬』
居ないじゃないか。部屋の中の物を全部ズタズタにしたってのに。
「おーいダミアン、そいつ何か吐いたか?」
「いや、まだに決まってんだろ。一分も経ってねーじゃねーか。おぉ? ミレーヌかよ。そいつまでここにいるってことは兄貴の奴も近くにいそうなもんだがなぁ?」
「ねーぇダミアン? ここぁ早く出た方がよさそうだねぇ? なーんか危ない香りがするよぉ?」
おや、今日のラグナは冴えてるのか? 私には分からないが。
「おーし。そんなら話ぃ聞くのは出てからにすっかよ。カース、先に出てこいつらを引き上げてくれや。」
「おっけーぃ。」
なんせ梯子で上下するような通路だからな。人間一人で通るのが精一杯。誰かを負ぶっては通れないもんな。上から『浮身』を使おう。
あれ?
「おーいダミアン、上の扉閉めた覚えあるか?」
「あぁ? いーや、ねーぜ?」
そして開かない。ふーん、このパターンね。とっくに履修済みだっつーの。どうせ地下室を水攻めするんだろ? 遅い遅い。やるならダミアン達が降りてきた時点でやらないと。しかも一気に満タンにするぐらいの勢いでさぁ。
『金操』
ほい開いた。ふーん、重い物が乗ってたわけじゃなくて鍵をかけた感じだったのね。丸ごと捻り壊してやったけど。
そして、居たな兄貴。ようやくご対面だな?
「こ、この、化け物が……」
ふふ、褒め言葉だと受けとっておくよ。




