340、結婚式の流れ
ふぅ……アレクは寝てしまった。激しくいい汗かいたもんね。
さあ、浴室へ行こう。スティード君はまだ入ってるかな? 一時間ぐらい経ってるもんなぁ……
「あー! カース君遅いよぉー!」
ほっ、いた。あらま、カムイを手洗いしてくれてるの? 悪いねぇ。ちなみにアレクには浄化をかけておいたけど。
「いやぁごめんごめん。ちょっとアレクが離してくれなくてさ。あ、カムイを洗ってくれてるんだね。ありがとね。」
「ガウガウ」
おいこら。洗ってもらっておきながら贅沢言うな。
「ん? カムイは何て言ったの?」
「スティード君の洗い方が力強くて気持ちいいんだって。だからすすぐ時は繊細な指遣いも堪能してみたいって。」
あながち嘘でもない。意訳すればそんなもんだろ。
「ガウガウ」
なに? ブラッシングは私にして欲しいって? この甘えん坊さんめ。まあ待てよ。上がってからな。
「失礼いたします。旦那様、エールをお持ちしました。スティード様にはお代わりでございます」
さすがはダムートン。タイミングいいね。
「おお、ありがとな。もう休んでいいからね?」
「ありがとうございます。いただきます」
「ガウガウ」
お前もか……
「ダムートンごめん。カムイが何かミルク系が欲しいって。」
「これは私としたことが。失礼いたしました。すぐにお持ちしましょう。ちなみに冷たいのと温かいのではどちらがよろしいですか?」
「ガウガウ」
「冷たいのでお願い。」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
まったくもう。お前は贅沢な奴だぜ。
「よーし、じゃあ流すよ。目をつぶってね。」
「ガウガウ」
スティード君が甲斐甲斐しい。なのにカムイの奴ったらもっと丁寧に洗えと文句を言ってる。つくづく贅沢な奴だなぁ。誰に似たんだ?
ふはぁ……それにしても我が家の湯船っていいよねぇ。石造りの贅沢なやつ。温度も適温だしさぁ。ふぃー、いい気持ち。冷たいエールも最高だね。
「ガウガウ」
乾かしてブラッシングしろ? おいおいカムイ、ちょっと待ってくれよ。私今入ったばっかりなんだぞ? ほれ、お前も浸かれよ。一緒にあったまろうぜ?
「ガウガウ」
仕方ないなって? このやろ、いいから来い。湯船でモフモフさせろこの野郎。
ふぃーー……いい気分……
バタバタした数日だったけど、どうやら上手いこと治まりそうだしね。この分なら心置きなくソルダーヌちゃんの結婚式にも出席できそうだね。
えーっと、今日は二十七日で明日から三日ほどリゼット達の護衛をして、四月一日が結婚式だったな。本当はそれまでにアレクの新しいドレスを何着か作る予定だったんだけどなぁ。
でもアレクのことだからソルダーヌちゃんが霞んでしまわないように、なるべく地味なドレスで出席するんだろうなぁ。ほんっといい子なんだから。
「ねぇスティード君、四月一日ってスティード君の初出仕の日でもあるけどいきなり王太子殿下の結婚式なわけじゃん? 新人の近衞騎士ってどこに配属されるの?」
「あー、その日は僕ら全員観客だよ。近衞騎士の制服を着て、会場のあちこちに散らばることになってるんだよね。特に指示されてはないけど、不逞の輩を威圧する任務だったりするんだよ。」
「へー、そうなんだ。がんばってね!」
「あはは、そんなの仕事のうちに入らないよ。王太子殿下の結婚式なんだから怪しい人なんて一人もいないって。」
一理あるね。王都での王族の支持率ときたらとんでもないもんね。たぶん百パー近いんじゃないかな? 私の感覚だけど。
それだけに油断は大敵だと思うけど……まっ、スティード君が油断してるわけないもんね。いくら口ではこんなこと言っててもさ。
「あ、ちなみに当日ってどんな感じなの? どこに来いとか聞いてなくてさ。」
招待状に書いてあった気もするんだけど覚えてないんだよね。アレク任せだし。
「えーっとぉ……まず初めはローランド神教会の大聖堂からじゃなかったっけ? いや違う、王城から大聖堂までパレードがあるんだよ。それで大聖堂での儀式が終わったら今度は闘技場までまたパレードだね。着いたら披露宴だったかな。盛大なパーティーになるみたいだよ。」
「へぇー、そうなんだ。なんだかすごそうだね。」
ローランド神教会の大聖堂は行ったことがないんだよなぁ。場所はたぶんアレクが知ってるから大丈夫とは思うけど。
「現国王陛下が王太子時代に王妃様と結婚式を挙げられた時もかなり盛り上がったらしいからね。警備も頑張らないとね!」
「それで、その後は?」
「また王城までパレードだよ。王城では有力貴族を集めてダンスパーティーだからそこまで行くと僕らは関係なくなるよ。王太子殿下ご一行が王城の正門をくぐったら僕らの初日は終わりかな。」
なるほど……私とアレクには長い一日になりそうだ……
「大変そうだね……気をつけてね?」
「うん、ありがとね。たぶんたた遠巻きに付いて歩くだけになるとは思うんだけどね。」
あ、エールがなくなった。でもさすがに今からダムートンを呼ぶのは気が引けるなぁ。水でいいや。あぁー……うっめ。この冷たさときたら……たまんないね。
「ぷふぅーー。カース君お代わり!」
まだ飲む気か……いいとも。魔力庫の中の適当な酒を……しっかり冷やして提供しようじゃないの。
「おいっしい! これすっごく美味しいよ! カース君も飲んでるぅ!?」
「飲んでるよ。冷たくて美味しいよね。」
スティード君が飲んでるのは王都で買った酒。私のは水だけどね。美味いことに違いはないさ。
ふーぅ、そろそろ上がろうかな。カムイのブラッシングもしないといけないしね。スティード君もふらふらじゃないか。今なら私でも勝てそう?
ふふ、今日もいい一日だったなぁ。
明日はスティード君を王都まで送って、昼からはダミアン達の護衛か……
あ"ーー喉の渇きで目が覚めてしまったけど……まだ朝だろ……
もう少し寝よ……
ん? やけに外が騒がしいようだが……
仕方ない。ちょっと起きるか……




