325、一生しゃぶり尽くしたいフォーク
さて、何から聞こうか……
「お前フォークって言ったか。誰に頼まれた?」
「ラルゴって奴だ」
ん? ラルゴ? スサイエをじとーっと見てみる……
「ち、違う! 絶対俺じゃねー! 知らねーって!」
そりゃそうだ。こいつはついさっき領都に来たばかりなんだしさ。ちなみにスサイエはさっきまで裏口で待っていたらしい。アレクが騎士団に行くまでね。
「まさかだけど……ラルゴってここの会長の兄……か?」
「そうだ」
えぇ……意味が分からん……
どうなってんのこれ?
「理由は? 人質なんかとってどうする気だったんだ?」
つーか、こいつらもよくこんな無謀な計画で動きやがったよなぁ。
「マイコレイジ商会を乗っ取るためだとよ。リゼットは甘いから人質がよく効くって言ってたぜ……」
ますます分からん……何を考えてんだ?
こんなことしなくても成功は目前だったろうに。
「お前ら……リゼットは辺境伯三男ダミアンの妻って知ってんだろ? それなのになぜこんな無謀なことしたんだ?」
「当たり前だろ。この件が上手くいきゃあ……ラルゴは俺らに逆らえねぇ。一生しゃぶり尽くせるんだからよ……」
あー。なるほどね。すごく納得した。ラルゴが何を考えてこんなクソ依頼をしたかはともかく、受けたこいつらにしてみれば美味すぎる依頼だわな。
マイコレイジ商会ほどの大店の会長の弱みを握ったとなると一生遊んで暮らせるもんな。マジで。こいつらが無茶やらかしても不思議はないわなぁ。
「お前に依頼した奴がラルゴ……リゼットの兄ってのは間違いないんだよな?」
「当たり前だろ……でなきゃ誰がこんなやべぇ仕事するってんだ。まぁ勝算は高ぇと思ってたんだが……まさか魔王なんてモンが出てくるとはよ」
「リゼットがダミアンの妻ってことぐらい知ってんだろ? なら魔王がダミアンのダチってことぐらい知ってるよなぁ? よくもまあこんなことやらかしたもんだぜ。」
「そ、そりゃ、もちろん知ってるに決まってんだろ。でも今魔王は領都にいねぇって聞いてたしよ……」
ふーん。その程度の情報は持ってやがったのか。
「で、お前らどこのモンだ? 冒険者か?」
「ちっ、サヌミチアニの七等星だ……ラルゴからぁ美味い汁を吸わせてもらったもんでよ……」
またサヌミチアニかよ。フランティアの西の果て。あそこには馬鹿な奴らが集まってるのか? まあいいや。
「では最後だ。ここの制圧に成功したら合図を送る予定だったんだろ? どんな合図だ?」
「ジーナを走らせる。ここの裏口から出てまっすぐ百メイル。それだけ進んだら戻るだけだ……」
てことは……思いっきり監視されてんじゃん。つまり、こいつらが失敗したことはもうバレてんだろ。なんせ従業員は庭に避難させたし、こいつらも庭に転がしてるし。
「ジーナってのはあの女の子か?」
「そうだ……」
やるだけやらせてみるか……だめ元で。
村長に頼んで元気にしてもらった。ついでに私に絶対服従するよう契約魔法もかけた。
では、走ってもらおうかな。
戻ってきた。
さあ、後は監視役がどう判断するかだな。どうか仕事を適当にこなす不真面目なタイプでありますように……




