154、奇跡のポーション
おおっ? 今のところ無臭だ。まだ蓋を開けただけだけど。
「むっ、これは……」
村長が柄の長い柄杓みたいなもので酒を汲み、匂いを嗅いでいる。あれってワインレードルって言うんだっけ? 分量は半口分ってとこかな。
「うぅむ……何の味もせぬ……しかも……」
おおっ! もしかして成功!?
「しかも?」
「尋常ではない回復量だ……カース殿、飲んでみるがよい。」
マジか。やはり大成功か?
「どれどれ……」
マジだ。無味無臭。そして……わずか半口で魔力全快だ。
やったぜ。これマジもんのネクタールだろ。しかも以前のやつより高品質。でも一応確かめておこう。私やアレクにとっては問題ないことだけど……
「おーいサンドラちゃーん。これ飲んでみないー? 無味無臭で飲みやすいよ。」
もし本当にネクタールなら、あの副作用があるはずだが……
「えー? 本当にぃー?」
でもサンドラちゃんは飲むよね。分かってるんだから。好奇心には勝てまい?
『水操』
半口だと多そうだからビー玉サイズで。
「くんくん……そうね。匂いはないわね。色だって透き通った薄緑できれいだわ。じゃあ飲んでみるわ。カース君お願い。」
そう言ってあーんと口を開けた。それは乙女の開け方じゃないぜ。かなり酔ってるな。
はい、あーん。
「んがっぐっ、ぐ、ぐっ、ぐっ、ぐぼおっ、おおおっ、ごぼおおおおおお……」
うーむ。やっぱこうなったか。ごめんねサンドラちゃん。
胃が空っぽになるだろって勢いで吐いている。乙女の尊厳が消し飛んでしまうかな?
「むぅ? これはどうしたことかの? 儂が飲んでも何事もなかった、いやそれどころか恐ろしく魔力が漲ったのだが……」
「これさ、勝手に『ネクタール』って呼んでるんだけどね。なぜか僕やアレク以外が飲むとこうなるんだよね。その代わり体調はすごく良くなるけど。むしろ村長が平然としてるのが不思議なんだけど。」
仮説としては個人の魔力量上限を無視して回復するから? 回復ってより供給過多? でもそれだとアレクが平然としてた理由にはならないんだよなぁ。コーちゃんとカムイも平然としてたっけ。
「ほう。そういうものか。ふぅむネクタールとの。不思議な響きよのぉ。どれ、そなたも飲んでみぬか?」
おっ、これは初の試みだね。ドワーフのフレッグか。
「うむ。話は聞いておった。さても奇妙な飲み薬のようだな。いただこう。」
村長がワインレードルに半口分ほど汲んで渡す。さあどうなる?
「ふむ、確かに臭わぬな……うっぐぅ……げおぼほぉぉおおおおおお……」
だめか。ドワーフはエルフほど魔力量がないことも関係してんのかな。
『浄化』
さっきから通算四人も吐いたからね。きれいにしておかないと。
「カース、私はサンドラちゃんを寝かせてくるわね。」
「あ、悪いね。ありがとね。」
やはりアレクは気が利くねぇ。スティード君とセルジュ君がまだ気分悪そうにしてるからかな。ならば、ついでに……
「スティード君もセルジュ君も口開けてよ。これ飲みやすいから。」
「だ、大丈夫なの……? サンドラちゃんが……」
「カース君がそう言うなら大丈夫だよ……たぶん……」
『水操』
ビー玉サイズをプレゼント。これで明日には体調万全さ。
すっきり吐いて、いい夢見てね。
「ぐぇぼおおおおおおお……」
「あごぉおぁおおおおお……」




