↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2796/3373

506、血醸之星

長老に続いて私達も中に入る。奥は当然ながら真っ暗……


「ごほ、いかんいかん。忘れておったわ。誰か『雷灯(ライトウ)』を持ってくるのだ。確か荷物の中に入っておるだろう」


「心得た」


ライトウ? 気になるな。懐中電灯的な魔道具かな?


「長老、持ってきたぞ」

「うむ、すまぬな。さて……」


おっ、光った。見た目は懐中電灯と同じだけど範囲が広いな。前方全てが明るくなってる。いいもの持ってんじゃないの。


「ごほ、待たせたのカース殿。こちらじゃ」


長老の後に続く。内部は結構広いな。岩山の中を蟻の巣みたいに道が通ってるのかな。蟻の巣と違うのは水平や垂直がきっちりしてるとこだろうか。道もまっすぐだし。おっ、階段まである。降りるのか。


「ごほ、カース殿、覚えておられるか? 先ほどの話を」


「どれのこと?」


長老とは結構喋ってるからな。どれのことか分からんぞ。


「ごほ、あれを譲ると言ったではないか」


「あー、地上の星だっけ? でもドワーフの大事な宝なんだよね? 別にいらないよ?」


好意で言ってくれてるのをいらないと言うのは心苦しいが、そこまで欲しくないのも事実だしなぁ。赤い宝玉だって話だし、アレクに似合いそうなら検討の余地はあるんだよね。


「ごほ、カース殿のお気持ちは嬉しく思う、が……我らとてこれほどまでに助けてもらい、何の礼もせずではこの先生きていけぬではないか。ここは我らの顔を立てると思って受け取ってはいただけぬか? おそらくは、役に立つと思うしの」


そこまで言われちゃあね……役に立つかどうかはともかくさ。


「分かったよ。ありがたくいただくね。」


「ごほ、ありがとうなカース殿。皆の者もよいな? そしていつの日か、我らドワーフ族が完全復活できたなら……カース殿から血醸之星(ちじょうのほし)を買い戻すのだ!」


「おおーー!」

「我らの価値を示すのだ!」

「宝玉に勝るほどの魔道具を作ってみせるぞ!」

「ここから新しいドワーフ族の歴史を始めようぜ!」


もぉー。だったらくれなくていいのに。ドワーフは誇り高いのね。精霊のために文句も言わず二百年間働き続けるぐらいだし、一度決めたら突っ走る性質なんだろうか。すごいね。


階段を降りたら今度はまっすぐ。岩山の体積以上に広そうだな。地下だってどんだけ深いことか。そんな通路の壁を、長老が撫でながら歩いていく。愛おしそうに。


「ごほ、この先にある礼拝室はの、精霊や神々に祈りを捧げるための場所での。小さな頃は入るのが恐ろしかったものよ……」


礼拝室が? どんな雰囲気なんだろうね。まさか真っ暗だからってことはないだろう。


「ごほ、それがまさか、この歳になるまで足が遠のくとはの。我らの不義理にケルニャータ様がお怒りになられても不思議はないの……本日より再び祈りを捧げねばの……」


鍛治と武器の神ケルニャータか。ドワーフに落ち度はないよね。そもそもケルニャータは別に怒ってないだろうし。


「ごほ、さあ着いた。どうぞカース殿も入られてくだされ」


「うん。お邪魔するね。」


へぇ。室内はほんのり明るいじゃん。これどうなってんの? そしてこの雰囲気……確かに子供には怖いかもね。何と言っていいか分からないけど、魔力的な重圧を感じる。かといって魔力が濃密に充満しているわけでもない。これが神威ってやつなんだろうか? 私だって神とはそこそこ縁があるんだけど、よく分からないな。


「ごほ、カース殿。あれをご覧くだされ」


部屋の奥には祭壇がある。その中央に見えるのが……宝玉、血醸之星ってわけか。神代文字に似た字が記されている。


「あれが血醸之星(ちじょうのほし)だね。渋い、いい色合いしてるね。」


濃いワイン色? えんじ色? そんな感じの赤だ。それにしても大きいな……直径一メイルはあるんじゃない? 渋い色合いがアレクに似合いそうではあるけど、使い道がないぞ……楽園かどこかに飾っておくぐらいじゃない? 割ってアクセサリーにするにはもったいないし。


「ごほ、カース殿、しばしお待ちを。この宝玉の真の力をお見せした上でお渡しするでの」


「真の力?」


ただきれいなだけじゃないってことか。


「ごほ、皆の者。今日までよく苦役に耐えてくれた。カース殿が助けてくれなんだら今でも、この先もずっと解放されることはなかっただろう……一族がそんな目に遭ったのはひとえに、我の力不足だ。ふがいない長老ですまぬ。罪滅ぼしにはとても足りぬが……せめて最期は一族のために、次の族長はバルダーボールドビン、おぬしだ。ジャンビョルンゲイルと上手くやりながら一族を導いてくれ」


え、何これ……遺言!?


「長老……分かった。もう二度とあのような目に遭わぬよう……我ら全員……力をつける。必ずだ」


あ、よく見ればバルダじゃん。私が初めて出会ったドワーフの。私の服装に関心バリバリだったよね。


「ごほ、カース殿。カース殿がこの地に現れたことは神のお導きとしか思えぬ。そなたはまさしく神子なのだろうの。本当にありがとう。今後……何十年かに一度、再び訪れてくれるとありがたい……」


「いいよ。」


宝玉を買い戻すってんなら来てやらないとなぁ……


「ごっほ……ありがとうカース殿。もし、もしも、この礼拝室を埋め尽くすほどの魔道具や宝玉が用意できたなら……買い戻させてやってくだされ……」


「いいよ。」


「ごふっ、ありがとう……では、バルダ……カース殿への説明は任せたぞ……皆の者、天上宮(ヴァルホル)で待っているぞ!」


長老は左手首を掻き切り……その血を血醸之星(ちじょうのほし)にかける。


「ごっほ、ごほ、か、カース殿、こちらへ……」


長老が呼んでいる。


「ここに触れてくだされ……ごっごほっ……」


宝玉のど真ん中を手の平で触れる。上から長老の血が、流れ落ちてくる。


「ごほ、その、まま……」


「長老!」


「うご、くでない……」


今ならポーション使えば……

しかし、長老はもう……覚悟を……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ドワーフの方が誇り高いですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。