503、旅立ちの朝
さて、そうなると後はドワーフ達を目当ての場所に送ってやらないとな。一応今日はお別れ会でもやって明日出発ってことでいいだろう。ここから直接旅立つドワーフもいることだし。
そうなると……退職金が必要だな。すっかり忘れてたわ。これは商王に苦情を言わねばなるまい。
よし。ゲットしてきた。一年あたり宝貨一枚ってことで手を打った。てことは長老は二百枚以上もらえるってことだよな。なんせドワーフ達の自己申告だし。そもそも年数を数えてるのも長老ぐらいだし。今回も契約魔法を使ってやったから商王は支払いから逃げられないぜ? しかも明日までに。
ちなみに故郷へ帰る組は退職金を半分は宝貨で、もう半分は現物でってことになった。砂漠のど真ん中に帰るわけだし食糧だって必要だもんね。
盛大に飲み食いした翌日。王城の中庭にて。
「ごほ、カーサよ。世話になったな。人間も捨てたものではないのだな」
「ひょひょひょ、チョルビ長老よ。こちらこそ長年セティアニアのために働いてくれてありがとうだの。意に沿わぬ形ではあったがこうしてそなたと友誼を結べたこと、神とカース殿に感謝しておるの」
長老とじいちゃんの間に友情が生まれてる……何があったんだろう……
「ごほ、うむ。まさか生きて帰れることになろうとはな……」
「ひょひょ、今生の別れとなろうが……そなた達の幸運を祈っておるからの」
「ごほ、カーサ、我が友よ。忘れぬぞ。忘れぬからな」
「チョルビ……」
「カーサ……」
おお……抱き合っている。ジジイとじいちゃんで。でも、なんかいいな。少しグッとくるよ……
「おい魔王、どのぐらいで帰ってくるんだよ?」
おっ、久々だね。マックレスが吟遊詩人モードじゃないとは。じいちゃんがあっちの方にいるからだろうな。
「たぶん夕方までには戻ると思うぞ。それがどうかしたのか?」
距離的には大したことないけど、正確な故郷の位置が分からないからさぁ。見つけた後も多少は復興の手伝いしてやりたいしね。
「いや、セティアン砂漠に行くって聞いたからよ……どんだけ時間がかかんのか気になってな。むしろ生きて帰ってこいよ?」
「問題ないさ。夕方までのんびりしとくといいさ。」
うーむ、マックレスにも飛んでいくって話はしてあるんだけどなぁ。やっぱここらの民にとってセティアン砂漠は危険の象徴なんだろうか。シュガーバだってセティアン砂漠に行くぐらいなら殺してくれって言ってたし。
「ここんとこのんびりしっぱなしなんだけどな……」
そうか? 結構ハードな展開もあっただろうに。
「はは、まあいいじゃん。それより先輩はどうするんだ? どっか行く?」
「ああ、決めたぜ。ローランド王国って言ったな。そこの王都に連れてってくれよ」
マジか。思い切ったな。
「オッケー。じゃあ出発前にあちこち挨拶に寄ったりするだろ? どこに寄りたいかまた考えておいて。帰ってきたら聞くからさ。」
「あっさりかよ。海の向こうですげぇ遠いって話だったのによ。へっ、楽しみになってきたぜ。おお、そういえばドワーフも数人ほどローランド王国の王都に行きたいらしいぜ?」
あらま。本当に思い切ってんなぁ。まあ、楽園に行くよりはだいぶ近いけどさ。
「マジかよ。じゃ、そのあたりもセティアン砂漠から帰ったら相談しようぜ。どうせあっちの大陸に戻る予定だしさ。」
バルバロッサにいるドワーフの子供達のこともあるしね。もしかして忙しくなってくるのか? まあ、のんびりやれば良いよね。
さて、セティアン砂漠へ出発だ。




