502、釘刺しカース
交渉が終わったらしい。結局全員残留することにしたそうな。正気か……もしかしてワーカホリックってやつ? まあ自分で決めたことなんだろうから口を挟む気はないけど。
何でも条件に、作業時間の半分はドワーフが開発したい物に使うって項目があるらしい。故郷に帰るよりここで作業をした方が効率がいいってことなんだろうか? やっぱワーカホリックだわ。精霊の魔力はもう使えないって分かってんだろうか? 私は説明してないが全ての精霊が解放されたのは見ただろうに。まあいいや。あ、辞めたくなった時はどうするか決めておかなくていいのか?
「俺が口を挟むことじゃないけどよかったのか? 部屋とか給金とか大丈夫なの?」
「うむ。住居に不満はない。水と食料がこれまでの三倍あればそれでよい」
「給金など貰っても使い道が思いつかぬわい。そんなことより『究極の職人』になるためにはここの設備は悪くないからの」
「然り然り。もっとも今の環境でもちと魔が足りぬがな。道具も精度がいまいちよの。一から見直す必要があるな」
ワーカホリックの上にストイックなの? 究極の職人って何だよ……
しかも精度が足りないってどんだけ仕事熱心なんだ……そもそも何作ってんの? ま、まあいいや。そのあたりは楽園に来てくれるドワーフから聞けばいいし。
「じゃあ商王様、こいつらのこと頼むな。俺は明日にでもいなくなるからさ。」
「うむ、それは朗報だな。さっさと消えてくれ」
正直だなぁ。契約魔法が効いてるもんなぁ。あ、そうだ。
「一応忠告しとくわ。カーサと仲良くな。ドワーフを上手く使いたいんならカーサを蔑ろにしない方がいいぞ?」
「ちっ、仲良くだと? できるはずがなかろう……むしろ今すぐ殺してやりたいわ。さっさと殺しておくべきだったな」
正直だねぇ……
「まあ、そりゃあ好きにすればいいんだけどさ。カーサは俺の友達だからな。理不尽な理由で殺したらこの城が更地になるぞ?」
「ふん、今更アヤツを殺して何になるというのだ。心配せずとも手出しなどせぬわ。」
まあ、確かにじいちゃんを殺しておいたら私と接触することもなく精霊を解放することもなかったんだろうね。でもたぶん私がやらなくてもいずれこのシステムって限界が来てたはずなんだよね。神の怒りに触れるとか精霊が反乱するとかってありそうなんだもん。
まあ健全な国家運営で一から出直せばいいじゃない。魔力には困るだろうけどミスリルには困ってないだろ? 加工できるかどうかはドワーフ次第だろうけどね。がーんば。




