499、カースとチャルオット
現在の時刻はだいたい夜九時ぐらいらしい。ジョーが外に出て確かめたそうなので正しいのだろう。
「いよぉーうカーちゃん! なんか久しぶりじゃね? 元気してたん!?」
せいぜい一日ぶりじゃない?
「元気に決まってんだろ。そういや聞いたよ。商王とディナーして地図見せてもらったんだって? やるじゃん。」
「へへっ、まぁねー。これでお手柄間違いなしってわけよぉー。まっ、帰り道はちょいと大回りして地図が正しいのか確認する必要はあるけどさー」
やるなぁ。ジョーってチャラそうに見えて仕事できるタイプだなぁ。サボりと女遊びさえしなければ……
「ん? 地図って見ただけなんだろ? それで確認とかできるのか?」
まさかジョーって見ただけで覚えられるタイプ!?
「もっちろんできるよぉー? 『記憶』の魔法を使ったからさぁー。後は覚えてるうちに書き写せばいいってわけ。なかなかやるだろぉ?」
すげぇな……そんな魔法があんのかよ。
「驚きだよ。ジョーはすごいな。やったじゃん。」
「へっへぇー、これなら胸張って帰れるぜぇー。まあさぁ、カーちゃんがめちゃくちゃやってくれたおかげなんだけどなぁー。話しやすいことこの上なかったよぉー?」
それはあり得るな。商王だって内心はもうボロボロだろうしね。精霊パワーがゼロになったわけだし、明日からはどうやって王宮を運営していくことやら。じいちゃんと力を合わせて……とはならないだろうなぁ。むしろ逆恨みしてそうだし。
「そいつはよかった。ところで外を囲んでた聖騎士どもはどうなった?」
「そいつらまだいるしー。王城を封鎖するのが目的かと思ったらぁー、どーもドワーフ狙いなんじゃね? 確証なんかないけどさぁー、他に考えられなくね? ここの騎士どもが放置してんのも怪しいしさぁー」
「それ、あり得るな。それなら明日商王に用があるからついでに聞いてみるわ。」
なんせ私の質問に正直に答える契約魔法が効いてるからな。
「さっすがカーちゃん! 昨日聞けばよかったんだけどさぁ、さすがにそんな余裕なくてさぁー」
「いやいや、地図を引き出しただけでも上出来じゃん? やったな。」
「あ、それでカーちゃんに謝らないといけないことがあるんだよね。先に言っとくけど殺さないでよ?」
なんだそりゃ? どんな酷いことをやらかしたんだ……
「殺すわけないだろ……で、何?」
「カーちゃんのお父上、マーティン卿のことを奴隷階級って言ってしまったんだよね……も、もちろんそうじゃないことぐらい分かってるよ? その、商王の心を折るために必要だったもんでさ……ごめんねカーちゃん」
「さすがにそんなことで殺すわけないだろ……見ず知らずの奴が言ったんならともかくさ。まあ、要は交渉に必要な文言だったんだろ? それなら別にいいさ。」
謝ってるしね。父上の身の上は私だって正確には知らないんだよ。薄々分かってはいるけどさ。演劇を見れば分かるって聞いたけど、結局見ずに王都を出てしまったもんなぁ。アレクと結婚ともなるとはっきり聞いておくべきなのかねぇ。私が聞かなくてもアレクパパもアレクママも知ってそうだけどね。
「カーちゃぁーーーーん! ごめんねぇ! そしてありがとぉ! やっぱ魔王と呼ばれるだけあって器がでけぇーよぉ!」
それ魔王関係なくない?
「いいさいいさ。それより晩飯にしようぜ。いい匂いが漂ってるじゃん?」
ドワーフが料理をしてるのかな? 先日のアレクの料理と同じ系統の匂いだ。同じやつかな? めちゃくちゃ腹がへってきたぞ。丸一日以上何も食べてなかったわけだしね。さっきは結局スープも飲まなかったしさ。
「今夜はドワーフちゃんが料理してくれるんだってさぁー。アレックスちゃんが姿を見せないし? 中でお楽しみかぁーい? んん?」
「いや、ずっと寝てたもんでさぁ。そんな余裕なかった。お楽しみは今夜かな。」
「くうぅーー! 俺も今夜はドワーフ美女と! やってやるぜぇー!」
同意は得ろよ……
そして翌日。進路を決めてない二割のドワーフを連れて商王の所へ向かう。昼前か、今の時間だと執務室だろうか?




