495、お役御免
腹が満たされたのだろう、ドワーフは一人、また一人とそこらで横になっていく。私もそろそろ眠いんだよな。
「いよーぅカーちゃん! これからどうすんのぉー?」
「特に何もしないぞ? 全ての精霊が解放されたのを確認したらドワーフ達を行きたい所に送るだけだな。」
ジョーの奴、酒臭いな。私は出してないから……自前の酒か。いいなぁ。私も飲みたいってのに。
「じゃあドワーフ美女を口説いてもいいよなぁー? ひゃっはぁー!」
「い、いいんじゃない?」
こいつ正気かよ……ドワーフ女性が数十人いるのは分かる。分かるけど……野郎どもに対してえらく少ない……でも美女か? 筋肉質で背が低くて顔がやたら濃い……何歳なのかさっぱり分からんぞ……みんな同じ顔に見える……野郎どもと違って髭が生えてないから女なのは間違いないだろうけど。
「……そろそろオレはお役御免ってことでいいな……?」
おっ、トーアじゃん。結局最後までやってくれちゃって。真面目か。
「おお、いいよ。ありがとな。おかげでおじさんは無事だったわ。」
ついでにマックレスも。
「……そこそこ稼がせてもらった。この際だから他に仕事があるならやってもいいが……」
「うーん、特にないけどな。むしろいい機会だからおじさんの親衛騎士にでもなっちまえよ。たぶんおじさんが次の商王になりそうだからさ。」
「ひょっ!? か、カース殿、そ、それは……」
「……ふむ、しがない殺し屋 が商王の親衛騎士か……悪くないが性に合わんな……」
「それは残念。たぶんこんな機会もうないぞ? まあ殺し屋やってた方が儲かりそうだけどさ。」
「……オレもそう思う。特にこれからは荒れるだろうからな……稼ぎ時だ……」
間違いないね。商王の権威が落ちまくるだろうからな。教会が王城を囲んでるのも案外そのあたりに狙いがあるじゃないだろうか。教会のトップは商王になれなかったセティアン家の奴って話だし。
「お前に連絡つけたい時はどうしたらいい?」
たぶんもう用はないとは思うけど、一応ね。
「……ガリオウに言うといい。セティアン家からはしばらく離れるからな……」
沈む船には用無しってか。それでもまだセティアン家には財産がどっさりありそうだけどね。教会の奴らも実はそれが狙いだったりして?
「分かった。ここを出る時には言えよ。送っていくからさ。」
なんせ私かアレクが魔法を使わないと地下からは出れないからな。いや、ジョーもいるか。まあどちらにしても、あの立坑を素手で登るのは中々難しそうだからね。ツルツルしててさ。
「……分かった。別に急いではいないからな。ドワーフ達が出る時でいい……」
「分かった。たぶん二日後だろうな。それまでのんびりしてるといい。」
「……ああ」
このタイミングで何やら襲ってきたら嫌だなぁ。まあこれだけたくさんドワーフがいることだし戦力に問題はないかな。
私ものんびり過ごすとしよう。魔力も血も不足気味だからな……
さて、シェルターに戻って風呂に入りたいところだが……ノミーデスが離れない。ドワーフに嫉妬されたら困るぞ。




