494、アクセサリー談義
この旅の目的の一つはアレクに贈る指輪を探すことだからな。ドワーフの職人ならいい感じの指輪ができるんじゃないだろうか。
金属部分はミスリルで宝石にドワーフの宝玉を一部貰うとかさ。
「じゃあさ長老、一つ頼みがあるんだよね。実はさ…………」
ドワーフ職人の腕を発揮しておくれ。
「…………というわけなんだけど、どう?」
「おお、おお! お任せくだされ! 我らの総力を挙げて! 極上の装飾品を作ってみせますぞ! そうなると……皆の者! ここにある全ての道具、機材を集めておくのだ! 全てだ! 全て持って帰るからの!」
「おお!」
「うおお!」
「任せてください長老!」
「やってやるぞ!」
「我らの腕を見せてやる!」
指輪だけでいいんだけど……まあアレクのためのアクセサリーならいくらあってもいいかな。そうなるとミスリル以外の金属も欲しくなるよなぁ。何か珍しい金属はないものか……
「長老、ついでに聞くんだけどさ、指輪の素材におすすめの金属ってない? あ、もちろんメタリックサンドスライムメタル以外でね。」
「ふぅむ、そうさなぁ……魔物素材以外であれを上回る金属か……ちと覚えがないのぉ……」
むしろ今聞いて気づいたぞ。無理に金属にこだわる必要はないよな。魔物素材でもいいじゃん。そもそもメタリックサンドスライムメタルだって魔物素材みたいなもんだし。ミスリルと純度の違いはあるだろうけど、成分はほぼ同じはずだよな?
「じゃあさ、ドワーフの故郷の周辺って紅蓮獅子は多い? 毛皮が真っ赤でやたら強い魔物。」
「お、おお紅蓮獅子のことかの? もちろんよく見かけたものだが……」
「そいつらの素材で何か指輪に使えそうなものってない?」
強靭な魔物素材はアクセサリーにも装備にも有効ってのが定番だしね。
「そうさなぁ……腰骨の一部に金属にも似た性質を示すものがあるかの。叩けば伸びるし燃やしても灰になることもない。磨けば光り輝くという面もあるしの」
「いいね。じゃあぜひ、そいつから指輪を頼むよ。楽しみにしてるからね。あ、狩るのはうちの狼ちゃんに任せればいいからさ。」
紅蓮獅子はほんの昨日まで魔力庫に入ってたんだけどなぁ。バルバロッサのおばさん領主にあげちゃったからなぁ。でも、まだおばさんの驚く顔を見てないんだよなぁ。置きっぱなしにしてきちゃったもんな。
「ほほ、紅蓮獅子を容易く狩る、か……カース殿は友まで只者ではないのぉ」
「まあね。カムイは最強のフェンリル狼だからね。さあ長老、先のことは気にしないでさ。目の前の美味い料理を食べようよ。せっかくのドワーフ料理なんだからさ。」
「おお、それもそうよの。我の記憶とはずいぶん違うが、記憶よりえらく華やかな味わいだのぉ。いやぁうまいうまい!」
記憶と違うんかい……まあそりゃあ仕方ないよな。なんせ二百年以上前の記憶だろ? そりゃあ違っても不思議はないだろうさ……




