492、ドワーフの伝統料理
おお、めっちゃいい匂いだ。アレクが大鍋を浮かせて運んできた。
「お待たせカース。ドワーフの郷土料理『マフェティーガ』よ。」
「おおー! すっごくいい香りだね! 食欲が湧いてくるよ!」
マジでいい匂いじゃん。これどことなく覚えがあるんだよなぁ。何だろう……
「待ってね。すぐ盛り付けるから。」
アレクが手ずから……一番に私に。嬉しいねぇ。
ほほう、ヒイズルの米に、先ほどのドワーフ料理を乗せるわけか。何か見覚えのある見た目だよな……何だっけ、あれは……
「はいカース、お待たせ。」
真っ先に私に料理を運んでくれるアレク。嬉しいなぁ。
「うん、ありがとね。超いい匂いだね。すごい香ばしいし。」
「早く食べてよ。温かいうちにね?」
はは、アレクったら他の人の分は思いっきり無視なのね。ドワーフの女性にお任せってわけか。
「うん、いただくね。」
スプーンで米とドワーフ料理を一緒にすくう。この色……見覚えがある。黄色というか黄土色というか……
すくった分を全部一口で頬張る。
「んんんんん! あえう、んぐっ、アレク! これ!」
マジか! マジかよ! これ、これって!
「どう? 美味しい?」
「めちゃくちゃ美味しいよ! すごいよアレク! これ、最高だよ!」
これ、マジかよ!
これ、カレーじゃん! ずっと食べたかったんだよ! まさかこんなタイミングで! めちゃくちゃ美味い! たぶん現代日本で普通に食べられるカレーとは違うと思うんだけどさ。それでも香辛料とかタマネギがしっかりと効いてるじゃん。ピーナッツの風味もいい! めちゃくちゃ美味い! 米との相性もたまらんぞこれ! まさかドワーフ料理にこんなのがあるなんて……
「そう? よかったわ。実はね、アーニャから聞いてたの。カースが『カレー』って料理を食べたがってるって。だいたいの作り方も聞いてはいたけど材料が足りなくて諦めていたの。いつしか記憶からも薄れていたし。でも、今回長老からドワーフ料理の話を聞いて、もしかしたらって思って作ってみたの。カースのイメージ通りだったか自信はないけど……」
マジで!? アーニャから聞いてた、だと!? 確かにアーニャはカレーを作れると言ってたな……確かあの時は香辛料がほとんどなかったんだったか。
「最高だよ! すっごく美味しい! これもうカレーだよ! 間違いないよ!」
イメージ通りかと言われると違う。違うけど何の問題もない。これめちゃくちゃ美味いもん!
「よかった。カースが喜んでくれて。今後は香辛料の量や組み合わせを変えてあれこれと試してみるわね。」
「うんうん! ありがとね! 楽しみにしてるよ!」
あ、激辛だったらどうしよう……まいっか。その時はその時ってことで。
「うひょおおおおーーーー! これマジ美味いぃーじゃん! アレックスちゃんマジすげぇじゃなーい!」
ジョーの奴も食ってるな。
「ガウガウ」
肉を焼けって? あぁ、そっか。香辛料が効いてるもんな。ちょっと待ってな。
ドワーフの反応は大きく分けて二通り。
静かにゆっくり食べるか、ガツガツと食らいつくか。見た感じ高齢のドワーフは噛み締めるようにゆっくりと食べている。何も言わずに。
比較的若いドワーフはよほど美味いのだろうガツガツと食べている。平和でいいね。いい光景だわ。
「ピュイピュイ」
え、ノミーデスがもうすぐ目覚めそう!? ついにか。コーちゃんの献身的な介護のおかげだね。




