490、合流合力
とりあえず『魔力探査』
大きめの魔力を探す。アレクとカムイが一緒だと見つけやすいんだよな。おっ、地下の方かな?
「それにしてもさぁー、これが王城ってわけぇ? なんかすごくね? うちの王城よりすごくね?」
「同感。内部にまでめっちゃミスリル使ってるみたいだしさ。でも、それももう終わりかな。たぶん維持できなくなるだろうよ。それよりみんなと合流するぜ。情報交換もしたいしね。」
「あの軍勢は無視ぃ? カーちゃんやるねぇ!」
「ここの奴らが何とかするんじゃない?」
私は知らんぞ。後で商王に事情を聞いてもいいけどさ。教会の騎士なんかが何の用なのやらねぇ。
そんなことよりさっさとアレクと合流しよう。ここの内部もだいだい分かるようになってきたし。
慌ただしい城内をさっさと通り抜け、地下へと向かう。
見えた。昇降機があるエリア。
「へー、あれが昇降機ってやつぅ?」
「そうそう。正確には昇降機が昇り降りする立坑がある場所ね。」
昇降機が今あるかどうかは分からないもんな。あちこち壊しちゃったからね。それにしても無防備だな。誰も番してないのか。まあ今となっては警戒する意味もないしね。それより城外の聖騎士どもの方が厄介だろうし。
『浮身』
ゆっくり降りていく。
「これさぁ……画期的でいいけど贅沢すぎじゃね?」
「ん? どこが?」
「だってさぁ、ただの縦穴なのにさぁ、全面ミスリル張りじゃね? どんだけ有り余ってんのよ?」
それはそう。でもそれってここの立坑だけじゃないよね。廊下とか城内ほぼそうじゃん。
「有り余ってんだろうね。鎧に使ってるやつと同じミスリルなのかどうかはともかくさ。おっ、着いた。こっちこっち。」
まあそんな贅沢もこれまでかな。精霊を全解放してしまったら、もう魔力が供給されないわけだしさ。たぶん内部は夏暑く冬寒い地獄絵図になるんじゃない? それとも何らかの魔法効果が付与してあんのかな? 私のシェルターみたいにさ。
「うっへぇ……いきなり地下って感じぃ? こんなとこで働かされてっとはねぇ。でも鉱山よりましじゃん?」
「そうなの? 鉱山なんて行ったことないからさ。」
「そうなん? カーちゃんの父上、マーティン卿ってミネマイン出身じゃなかったっけ?」
知らねーよ……初耳だよ……薄々は気づいてたけどさ。
「だからってわざわざ行くような街じゃないだろ?」
「そりゃそーだ。任務でもねぇーのにわざわざ行かねぇーよなー」
鉱山都市ミネマイン。王都の北東部、ムリーマ山脈の南側にあるんだったな。王国の中でも悪名高い街だ。クタナツとは違った意味で。
父上は自分の生い立ちを話してくれないもんなぁ……母上との出会いだって話す度に内容が違うし。
そりゃあ薄々は気づいてるよ? 父上は鉱山奴隷の子だったんだろ? 演劇を見れば分かるって話だったが。結局見れてないもんなぁ。
「まあでもミネマインも広いしなぁー。比較的まともな鉱山だってあるんじゃん?」
「さあな。それよりそろそろだ。一応みんなに紹介するからさ。」
「いやードワーフ美女との出会いが楽しみだねぇー」
私はドワーフに美女がいるだなんて一言も言ってないぞ……
見えた。広場に集まっている。おっ、アレクも長老もいるじゃん。無事で何よりだね。
「カース!」
「アレク!」
私を発見すると一目散に駆け寄ってきて、私の胸に飛び込んだ。あぁ……いい匂い。
「おかえりカース!」
「ただいまアレク!」
そして人目も憚らずに、熱いくちづけを……
「ちぃーっす! ローランド王国は王国騎士団所属の宮廷魔導士ジョージ・ド・チャルオットでーす。ジョーって呼んでねぇ! 今回はドワーフの皆さんとうちの国の友好のために派遣されたってわけ! よろしくでぇーす!」
「ドワーフ族は長老のチョルビトラウスティだ。長老と呼ぶがいい。ようこそお越しくださった。人間の若者よ」
あっちはあっちに任せておけばいっか。私はアレクの温もりを堪能するのだ。
「ピュイピュイ」
おっ、コーちゃんただいま。あらら、ノミーデスはまだ目覚めてないんだね。でも心なしか顔色がよくなってる気がするね。
「ピュイピュイ」
私の血が欲しいの? いいよ。精霊に人間の血を飲ませてもいいものか分からないけど、コーちゃんが言うなら間違いないね。
「ピュイッ」
痛て、コーちゃんは私の首に噛みついて……血を吸って……
次にノミーデスの口元に牙を差し込んで……少しずつ私の血を流し込んでいる。今度こそ目覚めるか?
いつの間にやらドワーフ達が集まってるじゃないか。めちゃくちゃ心配そうな顔して見つめてるし。その気持ち分かるとも。私だってコーちゃんがそうなったら心配でたまらないもん。
とりあえずアレクと情報交換お喋りしようか。今すぐ目覚めるとは思えないしね。




