489、意気投合
道中は意外とチャルオットさんとの会話が盛り上がった。ちなみにフルネームはジョージ・ド・チャルオットと言うらしい。だからジョーと呼んでくれと言われてしまったよ。だから私もカースと呼ぶよう伝えたところ……
「うぇーいカーちゃーんノリいいじゃなーい! で、どうよ? お嬢様へ贈る指輪の目処はさ?」
あら? この人ってこんなキャラだっけ? この前カラバまで送った時はもっと違った気がするが……
「いやーそれが中々なぁ。アレクに最も似合うのは金緑紅石とは思うんだけどさぁ。それって芸がないじゃん? 他に何かあればいいんだけどなぁ。」
「金緑紅石ってあれじゃん? 昼と夜で輝きが違うんだろ? しかもえらく高いって話じゃん? あんなの贈ったらどんな女も落とせるぜうひょー!」
本当に大丈夫か? 激務で心が壊れかけたりしてない? 船の中での懲罰もかなりハードだったしさ。
「宝石も悩みどころだけど指輪の金属も悩んでるんだよなぁ。順当にいけばオリハルコンを使う予定だけどさ。もう少し何か珍しい金属があればいいんだけどなぁ。」
「おいおいおーい! オリハルコンなんて珍しいにも程があるぜぇー! 基本的には王族か王族から下賜された者しか身につけられないんだからさぁー!」
「まあね。でもそれって逆に言えば王族は身につけてるし他に何人も身につけてるってことじゃん? もっとこう、アレクしか持ってないような金属とか宝石とか欲しいんだよなぁ。」
我ながら無茶なこと言ってるけどさ。
「んー……そんな心当たりなんかないしなぁー。おとぎ話の世界なら婚約魔鋼なんてのもあるけどさぁー」
「あー、何かで読んだことあるわ。一度溶かして成型したら二度と加工できないんだっけ? だから結婚の約束として一生添い遂げる覚悟を示すとかってやつ。そんなもんがあるなら欲しいけどね。」
おとぎ話だもんなぁ……ミスリルもオリハルコンも普通に溶かせるしね。
「西の大国由来のおとぎ話だっけー? 世界は広いよなぁー」
「そうなの? 大昔は何回か船が来たことがあるらしいし意外と実在したりしてな。」
西の大国、フェンダー帝国か。少し気になるけど、まあ行くことはないだろうな。今のところ興味が湧かないし。
「それにしてもカーちゃんさぁ、めっちゃくちゃ速くない? どんだけ飛ばしてんのよ?」
「そう? 暗くなったら嫌だからさ。少し急いでんの。」
アレクが心配ってこともあるしね。なんせ敵陣のど真ん中みたいなもんだし。商王達は逆らえないにしてもどんなアクシデントがあるか分かったもんじゃないからな。
「こんだけの速さで飛んでんのに中々着かないもんだねぇー。どんだけ離れてんのよ?」
「さあねぇ。王都から山岳地帯ぐらいあるかもね。」
なんとなくの体感だけどね。
「めちゃくちゃ遠いじゃん……それ歩いたら一年以上かかるんじゃね?」
「たぶんね。まあ、だから急いでるんだけどさ。」
飛べば直線で行けるってのも大きいよね。歩きだったらどんだけ遠回りをさせられることか。本来なら南の大陸は極力歩き旅をするはずだったのだが……
「おっ、そろそろかな。」
現在は砂漠の上空を飛んでいる。ここって多分セティアン砂漠だよな? だとすると商都は近いはず。
「もう!? まだ三時間ぐらいしか経ってなくね!? カーちゃん魔力大丈夫なん!?」
「あー大丈夫。たくさんあるからね。おっ、砂漠を抜けた。そろそろだわ。」
商都の手前には二つほど街があったな。上からだと分かりやすいはず。おっ、見えた。
「へー、砂漠ばっかかと思ったら意外と栄えてんのな。ん? あれ何ぃ!?」
見えた。商都の尖塔だ。
「あれが精霊を閉じ込めてたっていう尖塔な。今ごろ必死に解放してる頃だろうよ。」
残り二日。計算上はすでに三割近くの精霊が解放されているはず。
「ふぇー、精霊を閉じ込めて神に見捨てられるって頭おかしいよなぁー? そのせいで魔力が回復しないってマジ最悪だぜぇー?」
「ん? あれは!」
王城が取り囲まれてる……
「んー? あれってセティアニアの騎士なん? 駱駝騎士とかっていうやつ?」
『遠見』
「いや……あの鎧はたしか聖騎士だったか。ほれ、あの教会の騎士どもだよ。」
「へぇー、教会も勢力があんのねぇー。何事だろうねぇ? 商王に対する反乱にしては動きがないしー?」
そう。取り囲んでいるだけで攻撃している様子は見えない。何らかの理由でプレッシャーかけてんのか?
エンゲージメタル(別名チタニウム銀)はこちらの作品にも出てきますが、本作との関わりはおそらくありません。
『異世界金融外伝 〜クールなエルフがデレる時〜』
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