488、チャルオットの功績
領主おばさんが待つ部屋へと案内された。確かここは執務室だったか。
「魔王様をお連れしました」
メイドさんの声に合わせて扉が開いた。
「おおカース、呼び立ててすまぬな。もう出立するとはいささか早すぎぬかえ? 早い男は嫌われるそうじゃぞ?」
うるせぇよ。この下ネタ王族め。
「あっちはあっちで心配事があるもので。少しでも早く戻りたいんですよ。それで、宮廷魔導士の方はどなたか同行されますか?」
「うむ、しばし待つがよい。今呼んだゆえの。実を言うと妾も同行したいところなのだがの。残念ながらそのような暇はないわえ。ヤリマダ半島を掌握するだけでもまだまだかかるわえ。」
むしろヤリマダ半島を掌握できそうなだけでも充分すぎるだろ。領土が何倍に広がるんだ? たぶん十倍とかだろ? そりゃあ手が回らんわな。
「おめでとうございます。ご領主様の功績は絶大ですね。」
「くくく、それ即ちそなたの功績でもあるのじゃぞ? 南のヤシ領やカラバ領とも上手く付き合う目処が立ったことも含めての。」
えーっと、ヤシ領って確かジジイがいる所だよな? 武器を返すから宝石を寄越せって約束してたような気がする。で、カラバ領はシュガーバの所だよな? 良質な香辛料がたっぷりゲットできるね。
そこまで調査が済んでるのか……やり手すぎる。ところで上手く付き合うって……それ支配するって意味だよな?
「いつの間にやら版図がえらく広がりましたね。そこまで含めたらかなり広いでしょ? 宮廷魔導士さん達は大忙しじゃないですか。」
「ふっ、すでに兄上に増援を頼んではおるのじゃがの。あちらはあちらで手が足りぬらしいの。やれやれじゃの。」
あぁ……そりゃそうだ。ヒイズルは併呑するしローランド王国を縦断する大動脈はできるし、手が足りないにも程があるだろ。国王も大変だよなぁ。なんせ今ってフランティアが王国の中心になりかねない時だもんね。下手すりゃ王都が取り残されるよな。もしもフランティアが中心となると王都ってめっちゃ辺境だもんなぁ……そりゃあ手が足りんだろ。国王も踏ん張りどころだよなぁ。頑張って欲しいね。
「というわけでカースよ。今回同行させたいのはあやつのみじゃ。」
領主おばさんが指差す方を見ると……
「あぁ、チャルオットさんですか。いいんですか? 一人だと大変でしょうに。」
私は全然構わないけどさ。チャラくても頼りにするぜ?
「なぁに構わぬさ。チャルオット! お前の活躍に期待しておるからの!」
「はっ! 必ずや朗報をもたらしてみせます!」
「そう気負わずともよい。そなたが集めたカラバ領の情報には助けられたからの。今回もじっくり情報を集めてこい。期待しておるぞ?」
「はっ! かしこまりました!」
そういやそうだったな。カラバまで送ったのは私だもんな。きっちり仕事してたんだねぇ。チャラく見えてもやっぱ宮廷魔導士なんだよなぁ。やるね。
「じゃあ領主様、この度はありがとうございました。ドワーフ達はまた迎えに来ますので。」
「うむ、早く迎えに来ぬとこの地に居着いてしまうぞ? 再会を楽しみにしておるからの。」
「ありがとうございます。行って参ります。」
それならそれで構わないんだよね。ドワーフ達が幸せならそれでいいさ。
では行こうか。この分なら日没までには着きそうだな。
ジャンに見送られながら飛び立った。置き去りにしちゃった気もするが人間の街をじっくり学ぶ機会だしね。少し待っててね。




