479、商王の執務室
内側から扉が開く。商王がどんな顔するか……
「き、キサマ!?」
「やあ商王様。ご機嫌いかがだい? お仕事ご苦労様だな。まあ食えよ。美味い酒も付けてやるぜ?」
あの表情を見るに、本当に私達の動向は掴んでなかったらしいな。泳がされてる可能性も考えてたのに。
「き、キサマぁ……よくも暴れまわってくれたな! 一体何が目的だ! ええい何をしておるか! さっさと制圧せよ!」
「はっ!」
「はっ!」
『氷塊弾』
「ガウガウ」
護衛の騎士、一人はアレクの魔法で、もう一人はカムイの頭突きで吹っ飛ばされた。
「さあ商王様。お話ししようか。」
『麻痺』
首から下が動かないようにしてやろうかと思ったのに、効いてない……ちっ、魔道具か。カムイ、やれ。
「ガウガウ」
「くっ、何を……」
魔力刃で斬りつけまくり。一秒間に何回斬ってんだろ。加減しろよ……まだ死なれちゃ困るからな。おーおー、年季を感じる重厚な机があっさりと細切れになった。さすがの切れ味だ。
体感にして十秒、ついに防御の魔道具が壊れた。商王の服が何ヶ所か千切れている。よしカムイ、そこまでにしときな。
「ガウガウ」
そしてカムイは奴の真後ろに回り込んだ。正面は私、右にアレクで左はコーちゃんだ。
「会いたかったぜ商王様よ。うちのお嬢様がお前のために料理を作ったんだぜ? この国では味わうことなどできないほど豪華な料理をな。後で食わせてやるからあれこれと素直に話してもらうぜ?」
本当は私が食べたいんだけどね。
「な、何を話せと言うのだ……」
『麻痺』
今度は効いたな。怪しい動きなどさせないぜ?
「手を動かすんじゃねえよ。お前が動かしていいのは口だけだ。では約束しようか。こちらの質問に正直に答えな。そうすればお前に危害は加えない。」
「ふ、ふざけるな……セティアニア商国商王たるこの身に……生かしておいてやろうと思ったが、こうなったら容赦せ『風斬』んがっああ!」
口しか動かせないくせに偉そうに。
「俺の話が聞こえないのか? だったらそんな耳はいらんな? 次余計なこと言ったらもう片方の耳も斬り飛ばすぞ?」
アレクなんかナイフ抜いちゃってるし。アレクの美貌に冷徹な表情、ゾクゾクしちゃうね。
「わ、分かっがあああっあがががががあ!?」
よっしゃあ! バッチリ効いた! これで情報抜き放題だ! さあて何から聞こうかな。
「尖塔に囚われてる精霊を解放する方法は? もちろん全てな。」
「くっ……鍵を開ければいい……」
「全員まとめて解放する方法はないのか?」
「な、ない……一つずつ鍵を開けるしか……」
マジかよ……
「分かった。それは後でお前にやってもらうとして、次だ。精霊を閉じ込めてるあの楕円の金属球は何だ? どう考えても人智の及ぶレベルじゃないぞ?」
「霊縛檻と言う……原料は混じり気のないメタリックサンドスライムメタル……そこに我ら王族が力を注いで加工を施したものだ……」
マジで!? 手作り!?
「ならば二百年前にこのノミーデスを捕まえたのは誰の仕業だ?」
「我がセティアン家の祖先だ……セティアン家ではこの力が最も強い者が後継となれる……」
マジか……個人魔法みたいなものか? それが精霊にも通用するってぶっ壊れ性能じゃん……そりゃあ神も怒るかもなぁ。
さて、他に聞くことは……正直たくさんありすぎて何から聞くべきか分からないんだよなぁ。あ、先に確認しておこう。
「追い詰められた時の切り札なんてあるのか? お前らみたいな奴って周りを巻き込むことなんて何とも思ってないじゃん? 盛大に自爆とかしそうだし。」
「あ、ある……ぐぅっ、精霊から吸い上げた魔の力を暴走させて……あたり一帯を灰燼に、する……」
やっぱあるのかよ。やっぱこいつら系って外道だよなぁ。
「で、それはどうやって発動させるんだ?」
「くっ、制御室に立ち入り、魔の循環回路を一部遮断すればいい……」
ほっ。遠隔では無理ってことだな。ひと安心。
「他に切り札はないのか? 懐にある武器とかさ。」
「こ、これは、切り札というほどではない……ただの魔矢だ……」
と言われても分からないけどね。丸裸にして武装解除させたいところだけど……仕方ない。私がやるか。こんな時にシュガーバがいれば便利なのになぁ。あいつどこで遊んでやがるんだろ。何が悲しくておっさんの服を脱がさないといけないんだか……
「くっ……何たることを……」
「お前が何を隠し持ってるか分かったもんじゃないからな。とりあえず脱いどけ。」
はぁ、疲れた。さすがに下着までは脱がす気はないぞ。ふんどし的なやつだけどさ。ケイダスコットン製か? 贅沢な奴め。
さて、尋問の続きといこうか。




