472、張り切るアレクサンドリーネ
さて、腹は落ち着いた。上階のドワーフも気になるが、私は商王を狙おう。ドワーフの子供達だって気になるけど後回しだな。
「アレク、今から商王を狙おうと思うんだけど一緒に来てくれる?」
「もちろんよ。カースの身は私が守るわ。」
「ふふ、ありがとね。」
本当はカムイだけを連れて行きたいところだが、ここは総力戦だ。私とアレク、コーちゃんとカムイで向かおうではないか。例外として土の精霊も一緒だけどさ。こいつの身はコーちゃんに任せるしかなさそうだしね。
じいちゃんの身はトーアが守るだろうし。おまけでマックレスも守ってくれるはず。ドワーフの子供はドワーフが救えばいい。武器なんてそこら辺にたくさん落ちてるし、そもそもあいつらの強靭そうな肉体に武器なんて必要ないだろうしね。とりあえず子供達の所へ行く途中までは連れてってやるけどね。
「というわけでジャン。俺達は商王を狙う。お前達は子供を助ける方向で動いたらどう? 途中まで送ってやるからさ。」
「うむ。何から何まで世話になるな……かたじけない」
「いいってことよ。じゃ、行こうか。」
さて、魔力ポーションを飲むとしよう……まずは二本ほど……ふぅ、それでも二割いかないのかよ……まあいい。金属系の魔法さえ使わなければ余裕な残量ではあるしね。今日こそ節約しよ……
「カース殿、わしらはここに残るとするでの。どう考えても足手まといだからの」
「それがいいね。適当にこいつらから情報でも集めておいてよ。拷問ならトーアが上手いだろうしさ。」
じいちゃんとマックレスはそれが正解だよね。大人しくしてるのが一番さ。
「……そんな面倒なことをする気はない……」
そうだよなぁ……拷問って面倒だよね。分かるけどさぁ……
「じゃあさ、情報次第で別に報酬を出すってのはどうだ? こいつらからはもう大体の情報は聞き終わってるしさ。何か有益な情報でもあれば宝貨の五、六枚は出すぜ? これは前金な。」
宝貨を一枚プレゼント。
「……ふむ……悪くない。気が向いたらやってやろう……」
有益な情報なんてたぶんないだろうけどさ。こいつらも下っ端だしね。そもそも他に生き残りがいるかも怪しいしね。暇つぶしにはなるだろ。
「頼んだぜ。じゃあおじさんに先輩、行ってくるわ。」
「わしがこのようなことを言い出したばっかりに……カース殿、どうか無事での」
「またステージでご一緒したいものです。ご無事をお祈りしておりますよ」
今思えばマックレスってステージ上では吟遊詩人ぽくなかったような。いきなり私を蹴り飛ばすぐらいだし。まあいいや。
ドワーフ達を上まで連れていった。後は任せた。子供達のだいたいの場所は伝えたことだし何とかなるだろ。
私達はこれから商王を探さないとな。奴の私室は分かっているがたぶんいないだろう。とりあえず昨日の晩餐会会場に行ってみようか。そこを起点に聞き込み開始かな。
と思ったらいきなり騎士に遭遇。とりあえずカムイが制圧。そして尋問開始。
「商王はどこにいる?」
「ふざけるな! 誰が言うか!」
「知らないなら知らないって言えよ。殺してやるからさ。」
「なめるな! 知っていても言うものか!」
なんだよ。やっぱ知らないんだろ。あの野郎もしかして身を隠しやがったか? それでも一国の王かよ。情けない……
「じゃあ死になさい。」
「まっ、待ってぇぎゃっこほっ……が……」
アレクったら仕事が早いな。ミスリルナイフで首筋をひと刺しか。しかもそのナイフ解体用だよね。おお怖い怖い。
「カースもなるべく魔法を使わないようにしましょ。ギリギリまでは私が何とかするわ。さ、行くわよ。」
「それはありがたいね。カムイもいることだし。頼りにしてるよ。」
「ガウガウ」
幸いなのか騎士の動きがバラバラなんだよな。どいつもこいつも好き勝手に動き回ってるっていうかさ。もしかして指揮命令系統が壊滅してるのか? 分からんでもないけどね。まぁ、こっちには好都合だよ。
「この感じだとやっぱ商王の奴って隠れてそうだよね。」
「そんな気がするわね。騎士達って右往左往してるだけみたいだもの。商王の居場所を知らないのも本当みたいね。」
だよねー。あの野郎マジで身を隠しやがったか? それとも逃亡したとか? さすがにそれはないと思うけどなぁ……せめて他の王族でも見つかればいいんだが。
少し作戦を変えようかな……少しだけね。




