471、トーアの仕事
ふむふむ。へー、こいつらって装備は騎士だけど実際は裏方みたいなもんなのね。半分隠密で半分小間使い、その名も『地下番』と呼ばれているらしい。任務はドワーフを飼い慣らすこと。要は生産量が下がらないように、仕事をきっちりとするように監督する仕事ってわけか。
アレクによると、こいつらが遅かった理由はそもそもこいつらに命令が来るのが遅かったかららしい。こいつらは命令を受けてからすぐに来たそうだしね。ちなみに上の階層には百人単位で地下番が行ったらしい。
その程度だ。所詮はこいつらも下っ端らしく大した情報は持ってない。要はドワーフの動向がおかしいからきっちり締めなおし、改めて誰がご主人様かをはっきりさせに来たらしい。最低な手土産を持って……
「カース、これ……」
「うん。分かってはいたけど許せないね。その子達がいる場所は吐かせた?」
「ええ。分かってるわ。こことはまた別の地下だそうよ。まだ他に昇降機があるらしいの。」
「分かった。もう少ししたら行こう……」
こいつらの手土産、それは指……それもたぶん子供の……それが十二本も……ドワーフ達には見せられないな。
「ちなみに商王がどうしてるかって情報はある?」
「ないわ。彼ら程度じゃ商王の情報なんて知り得ないようね。分かったのは王宮中が混乱してるってことぐらいだわ。」
あー、そりゃそうだろうね。後は……
「第一騎士団についての情報はあった?」
「それは聞いてないわね。ごめんなさい。すぐに確認してくるわ。」
「いやいや、そんなの後でいいよ。アレクまだほとんど食べてないじゃない? 先に食べようよ。この辺なんかいい感じに焼けてるし。」
「それもそうね……ちなみにこれはブラックブラッドブルのどの部位?」
「これはヒレだよ。こっちは肩かな。どっちも美味しいよ。」
「よかった。それならいただくわね。あ、美味しい……ベゼル・ベイヤードとの相性もいいわね。」
よかった? どういうことかな? まあいいや。
「ガウガウ」
おっ、カムイも帰ってきた。適当に斬ったり噛みついたりしたから何人生きてるか分からないって? あぁ構わん構わん。そこらへんの話は後でいいよ。まずは食べな。お前だって腹へってるだろ?
「……終わったぞ。別に報酬を寄越せと言いたいところだが、この肉でいい……そこいらの駱駝よりよっぽど美味いからな……」
「おおご苦労。やっぱお前の敵じゃないだろ?」
「……そりゃあ後ろから不意打ちしかしてないからな……それより何だあの獣は……どうなってやがる……」
ふふふ。さすがのトーアもカムイの動きには驚いたようだな。
「獣じゃなくて魔物な。フェンリル狼っていう種族なんだけどさ。まあ見ての通り最強なんだわ。紅蓮獅子より強いぜ?」
「ぐれん……あぁ紅蓮獅子のことか……それより強いってのか……」
実際には魔物というか私の召喚獣であり、半ば精霊でもあるというよく分からない存在なんだよね。
「というか紅蓮獅子ぐらいお前だって勝てるだろ。そんなに驚くことじゃないぞ?」
ブレスが多少は厄介だけど、当たらなければどうってことないもんな。
「……勝てるわけないだろう……」
「ん? お前って相手に気取られない特殊技能があるんだろ? なら紅蓮獅子が相手だろうと楽勝じゃないの?」
とぼけたってダメだぜ?
「……それはその通りだ。だがこちらの攻撃も当たらない、いや効かないだろう……無理なものは無理だ」
「あー、それもそうか。たぶん毒も効かないだろうしね。まあいいや、ほれお前も食べな。」
「……ああ」
それはそうと、時間が経てば経つほど王宮以外からも兵を集めるだろうからな……本当は急ぐべきなんだろうけど、体調が悪いのはどうしようもないからな。今からだってまだ魔力ポーション飲むつもりだし。せめて少しでもタイミングを遅らせないとな……
気になるのは第一騎士団と上のドワーフ、それからドワーフの女子供か。別に第一騎士団は全滅してても構わないけどドワーフ達は助けてやりたいよな……




