466、カーサの提案
あー……疲れた……全ドワーフに解呪をかけてきたぞ……首輪も外れた。
解呪なんて私にしてみれば大して魔力を消費しないんだけどさ。それでも今の私にはきついわぁ……
魔力ポーションを飲みたいところだけど、もう少し待とう。せめてもうひと眠りしてから……
「おじさん、ドワーフのみんなと話し合っておいてよ。外に出るのか、それともこのままここで暮らすのかさ。長老とかとも話し合えたらいいんだろうけど姿が見えないしね。」
「ひょっ、分かったでの。カース殿はどうするのかの?」
「寝るよ。実は限界なんだよね……じゃ、後でね……」
今度こそ寝させてもらうぞ……幸いこの広さならピラミッドシェルターも出せるし。風呂に入ってからベッドで寝るぜ……アレクと一緒にな! あ……一応言うだけ言っておこう……
「トーア、まだ飽きてないよな?」
「……まだ、な。さっきからドワーフの仕事を見てるが……大金の匂いしかしないな……こいつら最高だ……」
「それならいい。ドワーフ達が無事に地上で暮らせるようになればお前も美味い汁吸えるだろ。じゃ、引き続き護衛を頼むな。」
「ああ……」
私が寝てる間に騎士団が攻め込んでくるかも知れないからな。少しでも生存の確率を上げておかないとさ。トーアなら騎士団が相手でも何とかなるだろ。後は裏切りさえしなければね?
よし……寝よ……マギトレントの湯船で、疲れを癒すんだ……
「さて、皆の衆。先ほどはおられなかった方々のために改めて話しておきたいでの。わしの名はカーサ・セティアン。あなた方をここに閉じ込め、働かせている一族の者だの。約束の期間はとうに過ぎたにもかかわらず、あなた方を解放していない。いくら謝ろうとも許されることではないと思う……」
ドワーフ達は特に反応もない。
「だが、先ほど話してみて全員がここから出たいと思っているわけでもないことも分かった。だから提案したいことがあるでの!」
やはり反応はない。ただ茫然と聞いているだけのようだ。
「先ほどあなた方の首輪を外してくれた青年なのだが、彼はああ見えても大領主らしいでの。希望者は彼の領地で仕事を貰えるらしいでの。つまりあなた方は三つのうちから選ぶことができるのだ」
それでも反応はない。その場から離れないだけ上出来なのかも知れない。
「一つ、このままここで仕事を続ける。最も無難な選択だの。
二つ、外に出て好きに動く。故郷に帰るのもよし、旅に出るのもよし。好きにされるがよいの。
三つ、カース殿の領地で働く。腕に覚えがあるなら仕事はいくらでもあるそうだの。
さあ、あなた方は自由なのだ。どの道を選んでもよいからの。カース殿が起きたら返事を聞かせてもらえるかの?」
ドワーフ達に相談する様子もない。互いに目くばせをしたぐらいで、それぞれの部屋へと帰っていった。
「マックレス殿、どうだったかの?」
「よきご提案かと。あとは上階のドワーフ達がどうするか、ですな。私もカース殿の領地が気になってきましたよ」
「ひょひょ、わしらは最早この国では生きていけぬかも知れぬでの。考えておかねばなるまいの……」
「幸い吟遊詩人はどこでも生きていけますからね。流れに身を任せたいと思います」
「……あいつ本人からも金の匂いがする。ぷんぷんとな……お前たちが知ってる限りのことを聞かせてくれ……」
トーアも話に加わった。




