432、行動開始
さて、情報交換はざっとこんなところか。まだまだ気になる点はあるが……あまりのんびりもしてられないんだよね。なぜなら、私の読みが正しければ……
「ところでおじさん、さっきの瓶に見覚えってない?」
なんてったって王兄だからな。たくさんあるなら一度ぐらい見たことがあってもおかしくないだろ。
「ひょっ……? すまぬカース殿。見覚えはない。その昔釣りに餌を使っていた頃、餌入れとして愛用していた容器に似ておる気もするが……だがあれはわしの顔より大きかったからの。おそらく似ているだけの別物だろうの」
確かに材質がガラスであることを無視すればあの手の瓶はどこにでもありそうだもんな。
「じゃあさ、おじさんが『聞こえるかドワーフども!』覚え、ん? 何だろう?」
「ごほ、奴らだ……何やら命令でもするのであろう。緊急の命令はいつもこうだ。こちらが寝ていようが糞垂れてようが構わず大声でがなり立てるのだ……」
マジかよ……そろそろ動きがある頃とは思ったが、まさかの館内放送かよ。どこにもスピーカーなんか見えないのに。
『ドワーフどもに告ぐ! キサマらの周辺に人間が四人ほど紛れ込んだ! ガキとメス、ジジイとノッポだ! 一時間以内にメス以外殺せ! メスは生け捕りだ! 一時間を過ぎたらお前らのガキやメスの指が減るからな! 十分過ぎるごとに一本だ! 終わったら運搬場まで持ってこい! 以上だ!』
ちっ、外道が……
てっきり追手が来るかと思ってたらドワーフを使うってわけか。
「お喋りはここまでだね。じゃ、俺らは行くから。上手くいくよう祈っててよ。ところで運搬場って何?」
「ごほ、食糧や鉱物を受け渡しする所での。直接ではないが外へ通じておる」
なるほどね。そりゃあどこかに出入り口はあるわな。最後にもう一つだけ……
「精霊だけじゃなく身内まで人質にされてんの?」
先ほどちらっと見たが、百人近くいるドワーフの中に女や子供らしいのがいなかったんだよな。そういうことかよ……
「ごほ、その通りだ。他にもとりわけ腕のいい者も別にされておっての……」
「そう……分かったよ。悪いけどそっちまで探す余裕はないと思う。精霊優先で動くからね。」
「いや、うむ。そこまで世話になるわけにはいかぬ。精霊様の救出に動いてもらえるだけで僥倖というものよ。すまぬが期待させてもらうでの」
「うん。じゃあ行ってくる。」
さて、まずは運搬場とやらを静圧するかね。そうすればドワーフ達だって動けるようになるだ、むっ!? カムイが呼んでる!
「おじさん! 先に行くよ!」
「ひょっ!?」
まさか……さっきの放送を真に受けた奴が……
もしアレクに手出ししやがったら……ドワーフだろうが許さんぞ……




