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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第6章

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415、お喋りトーア

黒い服装に身を包んだ奴は馬鹿三人組が崩れ落ちると用は済んだとばかりに踵を返した。


「待ちな。せっかく来たんだから一杯ぐらい飲んでいけよ?」


「……それは任務に含まれてない……」


何なのこいつ。真面目な殺し屋かよ。でも返事はしてくれるのね。


「任務って何だよ。こいつら三人を殺すことか?」


「……その質問に答えることは任務に含まれていない……」


こいつ面白いな。このまま帰すには惜しいね。


「まあ待てよ。お前に仕事を依頼したい。これで足りるか?」


宝貨をひと掴み。いきなり握らせてやった。意外と近寄らせてくれるのね。


「……いいだろう。どんな仕事だ?」


マジで!? もしかしてこいつってフリーの殺し屋? 珍しい……てっきり商王直属の暗殺部隊か何かだと思ったのに。


「えーっと、考えてなかった。とりあえず俺とあっちで酒を酌み交わす仕事ってことでどう?」


「……いいだろう……」


いいんかい!


目の前で黒尽くめの怪しい奴が貴族を三人も殺したのに会場に変わりはない。どいつもこいつも談笑しつつ飲み食いしているようだ。商王だって一段高いところからこちらを見下ろしながらリラックスしているように見える。やっぱあいつらって仕込まれた見世物だったんじゃない? 役立たずの処分も兼ねたさぁ。


「カース、こっちよ。この辺りのお酒が美味しいらしいわよ。」


会場の一角には酒コーナーがある。きれいなガラスのボトルがいくつも並んでいた。


どれが美味そうかなんて分からないから、とりあえず適当に頼んでみる。ここにも奴隷メイドちゃんが何人か配置されているからな。好みの酒を注いでくれるってわけね。




「じゃ、乾杯。」


「カースの勝利に乾杯。」


「……乾杯だ……」


本当に飲むのかよこいつ……殺し屋じゃないの? 飲んでるよ……あ、これ美味しい。


「俺はカースって言うんだけどお前は? 殺し屋なんだよな?」


「……オレはトーア……殺し屋(キーラー)だ……」


ん? キーラー? 殺し屋のことだよな? それにしてもあっさり喋るんだな。意外すぎる。顔はよく見えないが声は若々しいし。


「あの三人を殺したのは依頼があったからだよな? なぜわざわざみんなが見てる前でやったんだ?」


「……そういう依頼だからだ……」


言うんかーい。


「逃げなくていいのか?」


飲みに誘っておいて何だけど。普通殺し屋って仕事が済んだら一刻も早く現場を離れるもんじゃないの? こいつの場合はみんなに仕事を見られてるから逃げるも何もないけどさぁ。


「……逃げる必要がないからな……」


「そりゃまたどうして?」


「……オレは殺しの依頼を一人からしか受けないからだ……」


「一人? 特定の誰かからしか受けないってことか?」


「……そうだ……」


つまり誰が依頼したかバレバレってこと? そんなことってあるかぁ?

それにしてもこいつ、よく喋ってくれるよなぁ。


「ふーん、まあ飲めよ。初めて飲んだけどこの酒うまいよな。つまみはいるか?」


「……蒸留酒(ディバラッサ)の『ダンガリア』だ……」


ダンガリア? よく分からないが美味いことはいいことだ。


「で、誰からの依頼であいつらを殺したんだ?」


「……分からないのか?」


いや、分かってるけどさ。確認がてら聞いただけだよ。


「商王だろ? あいつらが見苦しいから殺せとでも言われたのか?」


依頼人が商王なら誰が文句言えようかって話だもんな。こいつが逃げようともしないところを見ると他にいないもんなぁ。


「……そうだ。オレは商王様専属の殺し屋(キーラー)だからな……」


ははぁーん。つまりそのことは全員が知ってるわけだな。こいつが目の前に現れるってことは死を告げられるに等しいわけか。死神って感じ? 怖いねぇ。


「質問したのは俺だけど、そんなにペラペラ喋っていいのか?」


「……問題ない……誰でも知ってるからな……」


「ふーん。じゃあ、あいつらが殺された理由は知ってるのか?」


「……知らん……」


まあ、本当だろうな。こいつがどの程度重用されてるかは知らんが使い捨てであることに変わりはないだろうし。


「あ、そうだ。それならさぁ、奴隷の一族って知ってるか?」


知ってたら儲けもの。聞くだけ聞いて損はないだろ。


「……知っている……」


「知ってんのかよ! どこにいるんだ?」


「……知らん……」


「じゃあどんなことなら知ってんだ?」


「……魔道具作りにおいて天才的な腕を持つ一族……と聞いたことがある……」


うん。それは何となく知ってる。


「他には?」


「……知らんな……商王家にとってかなり重要な存在だと聞いた気がするが……」


そりゃそうだろうな。奴隷の一族のおかげでセティアン家は安泰なんだろう? 魔道具シェアナンバーワン的なさ。しかも人件費ゼロ。えげつないわぁ……


「だいたい分かった。ところでトーアさぁ、魔道具は何を持ってる? 小さいくせにやたら威力がいい感じのクロスボウ以外にさ。」


「……言えんな……」


つまり何か持ってるのは間違いないようだな。そりゃあ切り札は隠すよなぁ。


「お前って用心棒の依頼は受けるの?」


殺しの依頼は商王からしか受けないんだったな。


「……受けてもいいが期間限定だ……期間が満了したら命の危機でも放置するし、期間内でも事情によっては見捨てるがな……」


「じゃあ依頼するわ。王兄カーサの護衛を頼む。期間はお前が飽きるまでだ。その場合報酬はどんだけあればいい?」


さあ、どうする? 我ながら勢いで行動しちゃってんなぁ……

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トーアですか。 トーゴーじゃなくて。
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