414、見苦しさの果てに
それにしても……こんな酒と料理でいっぱいのパーティー会場にむさ苦しい騎士を連れてくるとは何を考えてるんだろうねぇ。いくらピカピカに輝く鎧でもさ。晩餐会を何だと思ってんのやら。商王も止めればいいのにねぇ。せっかくのパーティーを台無しにされても知らないぞ? それとも、いい見世物とでも思ってんのか?
「さあ姫君。先ほどの言葉を覚えておいでだな? 約束通り親衛騎士を連れてきた。謝るなら今のうちだが?」
連れてきたって……そいつ絶対グリーマじゃないじゃん。バレないとでも思ってんのか? でもこの際だから乗ってやろ。アレクに向かって軽く頷いておく。
「ふぅん? その者が親衛騎士四傑の一人グリーマなのね? ふぅん? 確かに強そうね。で、連れてきたってことはうちのカースと腕比べをしたいってことね? ローランド王国最強のカースを相手にいい度胸してるわ。褒めてあげるわ。」
おいおいアレク……王国最強はフェルナンド先生だって……
「そうだ。だが、姫君は商王様がご招待された賓客ゆえこちらとしても事を荒立てる気はないのだがな? ただ己の過ちを認めてくれればよいだけだぞ?」
間違ってんのはどっちだって話だよなぁ。
「その者が四傑グリーマだとするなら間違っているのはこちらね。かくなる上は実力を以て確かめる他ないようね? あぁ、残念だわ……」
額に手を当てて苦悩のポーズか。アレクも演技派だなぁ。
「いやいや待たれい姫君よ。商王様の御前を血で汚す気はないぞ? 過ちを認めて頭を下げれば済む話ではないか」
「過ち? 何のことかしら? うちのカースが四傑グリーマを打ち倒したって話? それが嘘だと言うなら其方よ、兜をとって顔を見せてもらおうかしら?」
おっ、やるねぇ。
「ふざけたことを申すでない! いくら姫君といえど! 騎士の正装を何と心得るか! 親衛騎士たる者が人前で隙を見せるような真似ができるはずがないではないか!」
「あらそう? それは残念だわ。その者が本物のグリーマかどうか私達には分からないもの。こちらにいらっしゃる有識者の方々にご判断願いたかっただけなのに。まあいいわカース、後は任せたわよ?」
ふふふ、ナイスコンビネーション。さすがアレクだね。
「かしこまりましたお嬢様。では……なあグリーマ、さっきぶりだな。具合はどうよ? よく生きてたなぁ?」
「…………」
無視か。喋るとバレるもんな。つーか鎧があいつと違う時点でバレないもんなのか?
「奴隷か護衛か知らんが下賤な身の分際で親衛騎士に対等な口をきくでないわ! キサマごとき貧弱な者ではグリーマにかすり傷ひとつ負わすことなどできまいに!」
「やれば分かるだろ? 心配しなくても血は流れないさ。俺の武器はこれだからな。」
今度は不動を使うことにしよう。手加減なしだ。
「はははっ! そのような貧弱な棒っきれで! だがもう遅い! 口に出したからにはもう撤回はできんぞ! やれいグリーマ! 親衛騎士四傑たる実力を見せてやれ!」
「…………」
無言で剣を抜いて、構えた。強そうではあるな。だが、悪いな。
(身体強化)
『螺旋貫通峰』
「おごっ!?」
腹を貫通した。素早く抜いて、距離をとる。本来なら刺した瞬間に火の魔法でも使って爆散させてやるんだけどな。
おっ、膝をついた。だが倒れるまではいってない。
「降参しないならその頭を潰すぞ?」
ちょうど叩きごろの高さなもんでね。
「立てえ! 立たんかグリーマ! 何を遊んでおるか!」
「さっさと立てえ! 家族がどうなっても知らんぞ!」
「それでも親衛騎士か! 商王様の御前だぞ!」
ふーん、あれこれと事情があるみたいだが……
「悪いな。終わりだ。」
遠慮なくぶっ叩く。偽者は剣を頭上に掲げて防御をするが……
「なっ、ごぼっ!?」
剣ごと兜を叩き潰した。不動本来の重さでぶっ叩いたからな。やっぱ私には剣より棍が向いてるみたいだね。不動あってのこととは思うけど……
兜の隙間から血が垂れていく。周囲は静かなものだ。まだ状況が分かってないのか?
「まっ、まだだ! そやつは本当のグリーマではない! 待っておれ! 今本当のグリーマを連れてきてやる!」
「そ、そうだとも! 四傑でない親衛騎士を仕留めたぐらいでいい気になりおって!」
「今こそ四傑の力を見せてやる!」
うわぁ……なんという醜さ……
「どけい! 邪魔だ!」
「目にもの見せてくれる!
「うん? お前は……がぺっ!?」
あらら。頭に小さい矢が刺さってるじゃん。馬鹿三人組の前に立った奴がいたかと思えば手の平サイズのクロスボウとはね。
「なっ!? ダザーリ! おっ、おのれっえぼっ!?」
「まっ、待て! 違う! やめろ! まっ、待てっえげっ……」
あーあ。結局三人とも始末されちゃったよ。こいつら口だけだったなぁ。
で、始末しに現れたこいつは誰だ? 服装はここらの一般的なやつだけど色は黒か。




