410、軟禁
昼食後、奴隷メイドちゃんに案内されたのはとある一室。あまり広くない……小学校の教室ぐらいしかないじゃん。おまけにさっきの部屋みたいに内部に何も家具がない。殺風景だねぇ。
「この部屋よりでかい魔物を献上しようと思ったんだが、そうもいかないようだな。この部屋に合わせた大きさで献上するとするさ。」
せめて体育館ぐらいの大きさでないとなぁ。
では……魔力庫どーん。
まずは比較的小さい逆戟大黒鯱。これでも部屋が一気に狭くなってしまったじゃないか。
「なあメイドさん? 献上品はまだまだあるんだけどさ。これ以上ここに置いてもいいものか? たくさんありすぎて部屋が壊れるかも知れんがいいのか?」
「この部屋に置くようにとしか指示は受けておりません」
ふーん。それじゃあ仕方ないね。
おっとそうだ。せっかくの海の魔物なんだし腐らないように気を利かせておいてやろう。少し臭いからな。
『凍結』
オルーカに直接触れて凍らせた。これならこの部屋に数日ぐらい置きっぱなしにしても腐ることはあるまい。むしろ解体に困るだろうねぇ。解凍は有償で引き受けるぜ?
それから刺裂角鹿も丸ごと置いておこう。角がいい感じだろ? こいつも凍結っと。
ボーンヒュドラの牙も数本ほど置いておこうかな。かなりのレア素材だぜ?
あとは芥子毒牙虫の一級品や羅刹鳥の羽根。極彩暴蜘蛛 もプレゼントかな。インパクトが大事だからね。
「これらの説明は晩餐会の時に直接商王様に話させてもらうよ。」
「か、かし、こまり、ましし、た」
おや? どうしたことかな? 急に元気がなくなったじゃないの。あぁ、寒いのか。室温が一気に氷点下だもんな。
「じゃ、上の人によろしく。」
「は、はい」
あらまぁ。本当に寒そうじゃん。ぶるぶる震えちゃって。ならばさっさと部屋を出てあげよう。私達が出なければメイドちゃんも出られないだろうからね。
「ひょおぉ……カース殿よ。海にはあのような大きな魔物がおるんだのぉ……」
客室に戻ってリラックスしてたらじいちゃんが口を開いた。サカマタオルーカのことを言ってんだね。
「海の魔物って大きいのが多いからね。さっきの逆戟大黒鯱は群れの中では小さい方かな。部屋が狭かったからさ。」
「ひょおぉ……すごいものだの……いつか大海を泳いでいる姿を見てみたいものだの」
「いいよ。じゃあこの件が終わったら沖に出てみようよ。逆戟大黒鯱の群れに出会えるかどうかは分からないけどさ。」
「ひょっ!? 沖に、かの? 一体どうやって……いや、カース殿がそう言うからには考えがあるのだの。楽しみにしておくでの」
まあ、ミスリルボードで飛ぶだけなんだがね。
「先輩も行くよね? 海の上でフィードル聞かせてよ。」
「あのような魔物の群れ……さらにもっと大きな魔物まで……ぜひお願いしたい。新しい歌が生まれそうだ……」
あとはシュガーバも誘ってやらないとな。その場合シーナも付いてきそうだな。
「ピュイピュイ」
おっ、コーちゃん悪いね。また探しに行ってくれるんだね。ありがとね。夕方までには戻ってきてね?
「ピュイピュイ」
頼むぜコーちゃん。これで見つからなければ……晩餐会の後にでも私も行こう。やっぱ定番なのは地下だよな。どこから降りればいいのやら。軽く散歩してみるか……
「アレク、王宮内を散歩してみない?」
「いいわね。私も気になってたの。今のところ見た範囲って王宮らしさのかけらもなかったもの。」
そう。最初に案内された応接室から客室。客室から食堂と歩いたわけだが、どこも全然王宮らしくなかった。室内も廊下も飾り気がないどころか、まるでどこかの研究室かってぐらいメタリックだし。ちり一つ落ちてないのは見事だけどさ。
「よし行こう。少しぐらい王宮っぽい場所を探してみよう。」
「ええ。あるといいわね。」
天井一面のフレスコ画とか窓にはステンドグラスとか。廊下にさりげなく置かれた花瓶や彫刻。そういったいかにもな王宮らしさを感じたいよね。
「外出はお控えくださいませ。晩餐会が始める頃にお呼びいたしますので」
部屋から出たら奴隷メイドちゃんが立ちはだかった。ドアの前で見張りしてんのかよ……
「出歩いたらまずいのか?」
「分かりかねます」
はいはい。そういうことね。まったくもう。別にいいよ? 今ぐらい大人しくしておいてやるさ。




