407、すまじきものは宮仕え
どうしよっかなぁ……まあいいや。ちょうど確かめてみたいこともあったし。
こっそり……(微毒)
範囲を広めに効果は弱く。
「どうした! 臆したか! 威勢がいいのは口だけか!」
「さあ抜けぇい! かかってくるがいい! 存分に叩きのめしてやる……ぞ……お……?」
「それとも素手で我らの相手をしようとでも……言う……のごあぁ……」
うん。普通に効いてるね。顔が土の色しちゃってるよ。今トイレに走れば色々と間に合うと思うぜ? だが……
「また何かしおったか。だが所詮はその程度のことしかできぬ、小手先のまやかしよな。己の体術に自信がないゆえの小技にすぎん」
「だったら破ってみろよ。小技なんだろ? この程度も破れないで大きな口叩くなよ?」
下級魔法の微毒でも私が使えば一日中下痢が止まらないこともあり得る。それがこの王子には効いてないらしい。これで分かった。こいつらの魔道具『防御結界』は魔法も防ぐことができるようだ。空から魔物が襲ってくることもあるんだったか。その際に『魔声』なんかの魔力系の攻撃を防ぐ必要があるもんな。
どこまで防げるかは分からないが、どうせ物理攻撃に弱いと見たね。
「ふっ、取るに足らない小技をなぜわざわざ破る必要がある。お前は道を歩くのにわざわざ黒蟻虫を避けるとでも言うのか?」
自分には効かないと思って調子に乗ってんな。とぅるるーわとやらが何のことかは分からないが。
「何のことかは分からんが俺なら虫すら踏まないぞ? 一寸の虫にも五分の魂って言葉を知らないのかよ。」
もちろん嘘だけど。敢えて踏もうとは思わないしそれなりに避けるだろう。あくまでそれなりでしかないけどね。
「知るわけがなかろう。何だその田舎の説教臭いジジイが言いそうな言葉は」
無知な奴め。
「知らないならいいさ。あ、そうそう、中ではお前の影武者がまだ生きてると思うぞ? 助けてやれよ?」
無理とは思うけどね。
「ふっ、キサマごときに心配されるぐらいなら死ぬべきだな。あやつとてその程度の覚悟ぐらいしておるわ。見くびるでないぞ!?」
「そうか? あいつは死にたくなさそうだったぞ? 何を喰らってでも生き残りたいみたいだったな。」
まあ、もう何も食えないんだろうけどさ。
「どこまでも大口を叩きおって。それが虚勢でないといいのだがな?」
その辺はもう示したと思うんだけどな。こいつは自分が認めたいものしか認めないタイプか。王族らしい、のか?
あーあ、室内に目をやることすらなく行っちまいやがった。虚勢を張ってんのはどっちだって話だよな。しかも苦しんでる配下は思いっきり無視かよ。数人だけが吐きそうな顔をしながらも追随していった。親衛騎士団って言ったかな、あんな主君に仕えるなんて悲しいねぇ。




