405、体を動かすもの
ざけんな! 誰が相討ちなんか!
「ごあっ!?」
ふう、危なかった。胴体をホームランしてやるつもりだったが、どうにか奴のハルバードを打ち返してやった。結果は……
「まだやるか?」
奴のハルバードが真ん中から折れた。それなりの業物だったのだろうがエルダーエボニーエンツォ製の木刀『虎徹』には敵うはずもない。私が徹甲弾を数百発と撃ち込んでも壊れない魔物をフェアウェル村の化け物ハイエルフが加工したんだぜ? 人知の及ぶところではないレベルだろ。
その代わり……手首が痛い……めちゃくちゃ痛い……虎徹を手放してしまいたいぐらいに。
意地張ってないで身体強化ぐらい使えばよかったぜ……顔には出さないけどね。私は演技派だから。
「何をしておるかグリーマ! 武器が折れたぐらいで! さっさとやれい!」
「御意」
おっ、ナイフか。もちろん業物なんだろうけど……
「それで勝てると思うなら来いよ。」
「参る」
と、言いつつナイフを投げてきやがった。真似しやがったな?
「なっ!?」
私は防ぎもしてない。白王龍のウエストコートは無敵だからね。顔狙いじゃなければ怖くなどない。
代わりに投げ終わりで隙を晒した奴に虎徹でホームラン、と見せかけて下段蹴り。もう片方の足も潰してしまえば、もう立つこともできまい?
「くっ……」
こいつのフルプレート鎧は全身あちこちベッコリとへこんでいる。それでもまだ元気と見えるな。おっ、ぐらりと態勢を崩した、かと思えばまたショルダーチャージかよ。そんな遠くからされてもねぇ……ならば。
上段に構え、頭に向かって振り下ろす。当然ベッコリとめり込む。代わりに……ぐへっ……
奴の勢いは止まらず私は吹っ飛ばされてしまう。どうよ? これが相討ち狙いのお手本だぜ?
ちょっとダメージくらったかな。もし真後ろが壁だったら潰されてただろうね。どうにかこいつの足を払わなければ壁までトレインされてただろうし。
ぐっ!? こいつまだ意識あんのかよ!? どさくさで私に馬乗りになり、両手で首を絞めてきやがる!? 重すぎる……跳ね除けるのは無理だ……力も強すぎる……
これはだめだな……くっそ、仕方ない……
(麻痺)
なっ!? 効かない……だと!?
そんな馬鹿な!? 直触りだぞ?
私の首を絞める力が少しも弛まない……このままでは……
あれ? 変だぞ? 弛みもしないが締まりもしない……
あ、もしかしてこいつもう……
奴の人差し指をどうにか引き剥がし、折る。何の反応もない。やはりそうか。
『浮身』
ほんの数センチだけ浮かせて、体を抜く。浮身を解除すると……崩れ落ちた。
そっか、麻痺を使うまでもなく……もう死んでたのか。そりゃそうだ。頭がベッコリとへこんでんだからな。むしろ虎徹で叩かれて潰れてないだけ見事なものだ。動きが機敏なせいだろうな。虎徹で芯をくえなかったようだね。手首の痛みのせいで威力も出てなかっただろうし。
敵ながらあっぱれといったとろか。
「あー疲れた。次はお前か? この国の王族がどれだけやるのか見てやるよ。」
本当は手首がめちゃくちゃ痛いんだけど、折れてないよな?
もう帰ろうかなぁ……




