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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第6章

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401、ディアールーサーとファントムギルト

解毒を使った後のコーヒーは……まずくはないけど酷く味が薄い。何度言っても宿題をやってこない小学生の性根ぐらい薄っぺらいなぁ……


「もう飲んでもいいけど美味くないよ。」


「ひょっ……そうか……」


悲しそうな顔をするじいちゃん……実の弟から用無しだと見なされ不用品のように処分されかける……私だって悲しいぞ。


「ガウガウ」


そんなまずそうな物をよく飲むなって? お前と違って人間は飲まないと分からないこともあるからな。


「先輩、一曲弾いてよ。ノリのいいやつ。」


「むむっ、このような場所で……弾くのも一興か。では、お聞きください。フィードル独奏曲ディアールーサー」


おお……いきなりでもちゃんと弾いてくれるんだな。後でご祝儀弾まないとね。

歌なしのいわゆるインスト曲か。いいね。単調なアルペジオから始まって突然の激しい展開。ドラマティックだね。うおっ、そこからフィードルの速弾きか! 上手すぎるだろ! 流れるような速弾き、からのメロディアスなパート。泣かせに来てんのか? 雰囲気たっぷりじゃん。いい曲だわぁ。


「ご静聴ありがとうございました。ルーサーという男の生涯を綴った曲です。貧しい生まれながらも武で身を立てるべく己を磨き続けてきました。しかし、自分の母親を犯した男を殺してしまった時から人生が狂い始めたのです。故郷の村を追い出され、盗賊に身をやつし、とうとう騎士団に討伐されようか、という時に……彼は出会ったのです。己の命を捧げるに足る相手、最愛の女性ディアーと。しかしディアーは騎士の娘。盗賊風情との仲を許されるはずがありません。そこからです。二人の逃避行が始まったのは。一説によりますと二人が逃げ込んだ先はセティアン砂漠ともツァヌカ山脈とも言われております。ゆえに、その後の二人を知る者はおりません。しかし、二人の子孫は今もどこかで暮らしているのでしょうか……」


最後に一礼。優雅な所作がにくいね。さすが先輩。


「ひょおおおおおお! なんといういい話なのだの! 激動の人生を彩った音色も素晴らしいでの! マックレス殿! やはりそなたはカース殿が先輩というだけあるのだの! 堪能させてもらったでの! 耳が だけでなく心まで満たされたかのようだて……」


「ありがとうございます。カーサ様にそう言っていただけるとは望外の喜びにございます。では、続きまして次の曲は……」


「失礼いたします」


あらら。いいところだったのに。奴隷メイドさんが来ちゃったよ。


「商王様ですが本日はどうにもご公務で身動きがとれないとのことです。従いまして皆様を客室にご案内いたします」


ふーん、そう来たか。まあいいさ。乗ってやろうじゃないの。時間稼ぎが吉と出るだなんて思うなよ?


「分かった。いい部屋を頼むぜ? あぁそれからコーヒーご馳走様。次はもっと美味しいやつを頼むな?」


「お部屋につきましては規定のお部屋がございます。コーヒーにつきましても同様でございます」


ふーん規定ねぇ? つまり客のランクに合わせて用意する客室や飲み物が決まってるってことね。それが私達の場合は毒入りコーヒーってわけか。まずはワンナウトってことにしておいてやるよ。悪びれもせず毒入りコーヒーを飲ませておいて、効かなくても知らん顔か。えらく図太い奴隷ちゃんだねぇ。まあ何も知らないってパターンもあるけどさ。普通は奴隷って言われたことをやるだけだもんな。




「こちらの四部屋でございます。なおペットのご入室はご遠慮ください。別にご案内いたしますので」


カムイがここまで来るのは良くて部屋に入るのはだめって意味分からんな。


「悪いな。こいつは家族なんだよ。同室で頼む。それから俺はお嬢様と同じ部屋に入るから三部屋でいい。」


「かしこまりました。そのように伝えます」


奴隷ちゃんには何の権限もないだろうからね。だから悪いけどごり押しさせてもらうよ。本当はじいちゃんもマックレスも同室の方がいいんだけどさ。


「ひょっひょっ、ならばマックレス殿よ。カース殿の部屋で先ほどの続きを聞かせてもらうわけにはいかぬかの?」


おっ、じいちゃんいいね。安全第一だよね。


「ご要望があればいつでも弾くのが吟遊詩人の本懐。喜んで歌わせていただきますとも」


「ひょほぉー! どうかのカース殿! お邪魔してもいいかの!?」


えらく夢中になってるね。今までは吟遊詩人の歌を楽しむこともなかったのかな。誰に何にも影響を与えず生きていきたいって言ってたし。屋敷に呼んだりもしなかったんだろうなぁ。さぞかし呼びたかったことだろうに……


「もちろんいいよ。お呼びがかかるのは今日の話じゃなさそうだし、みんなで先輩の歌を堪能しようよ。」


王宮の客室でやることじゃないけど、待たせる商王が悪いのだ。


「それではカーサ様。何かリクエストをいただけますか?」


「ひょほぉ……そう言われてもの。わしが知っておる曲など数曲ぐらいしかないからの。お任せでゆるりとした曲を歌ってもらえるかの?」


「承りました。愛に飢えて静かな情熱を燃やすも、その相手にはすでに意中の人がいる。それでも諦めきれずに幻影の中にまで追いかけ続けた若者ギルトを歌った曲です。聞いてください。夢想曲ファントムギルト」


ほおぉ……突然のリクエストにもこの対応……やっぱマックレスは一流の吟遊詩人だなぁ。それにしてもいい曲だわ。フィードルの伸びやかな旋律とマックレスの通る声が見事にマッチしている。こんなの聞いてしまうと例の一族とかどうでもよくなってしまうじゃないか。

コーちゃんまだかな……例の一族の居場所は分からなくてもいいから無事に帰ってきてね。

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― 新着の感想 ―
さてカースたちを入れたことの意味を思い知るかな。
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