107、メタリックサンドスライムメタル
ジジイの配下はシュガーバとアッシリに処分させた。具体的にはトドメを刺して身ぐるみ剥いでから海に捨てさせたわけだが。だって致命傷じゃない奴なんていなかったからね。ジジイだって見捨てたんだから関係ないよね。
ちなみにジジイには首から下が動かないように麻痺をかけてある。では、質問タイムといこうか。と言っても聞きたいことなんかほとんどないけどさ。後でシュガーバに任せてもいいけどね。
「えーっと、お前らはどこに行くところだったんだ?」
「コナクライだ……」
やっぱそうなのね。
「目的は?」
「制圧のためだ……あの地と、その先をカラバ勢が支配しつつある今、出遅れが致命的になる前に一気に盛り返す必要がある……」
なんだかなー。
「お前らって同じセティアニア商国なんだろ? 仲悪いの?」
「ふ……所詮は建前だけのことよ……部族間の対立は未だ消えぬわ……」
部族間ねぇ……どうでもいいや。
「お前らの部族は何を作ってる? コットンとか香辛料とか何か名産ぐらいあるだろ?」
「メタリックサンドスライムメタルと宝石だ……」
鉱物か……作ってるってより採れるって感じか。気になると言えば気になるが……
「メタリックサンドスライムメタルって何だ?」
シュガーバから聞いたような気もするけど。
「メタリックサンドスライムが砂を喰んだ後に排出する残留物みたいなものよ……」
「お前の何とかエッジの原料か?」
「そうだ……」
思い出した。確かにシュガーバもそう言ってたな。伸縮する金属の原料はメタリックサンドスライムの何かだって。あれ? でも……
「お前の何とかエッジは伸縮しないよな? 切れ味がいいだけか?」
「そうだ……伸縮するのは上物だ。そのようなものは滅多に回ってこぬ……だが、ワシのストリングエッジに伸縮など必要ないがの」
そりゃあ用途が違うもんな。両方持ってりゃあそれが最高か。
ジジイの手袋の指先から伸びているストリングエッジは四本。親指以外の指で操作するわけか。手袋ごと没収。どれどれ……
「かっ、返せ!」
「飽きたらな。」
この手袋臭そうだな……『浄化』よし。
「これどうやって動かすんだ? 四本同時って無理だろ?」
「普段は人差し指から出ている一本を使う……手の甲のボタンで出し入れができる……」
ほう、これか。四つボタンが付いてる。ポチッとな。
おおー、買ったばかりの掃除機ばりに刃鋼線が巻き取られたじゃないか。その状態からもう一度押すと……へぇー、シュバっと飛び出るわけか。つまり巻いて斬る以外にも突き刺すこともできるわけだな。えげつないなぁ……
で、一本になった刃鋼線を……
無理無理無理無理!
何これ!? 超危ないんだけど! こんなの金操以外で操れるわけないだろ! 危なすぎる! うっかり髪が切れるぐらいならまだいいけど、指とか耳が簡単に飛ぶぞこれ! それをこのジジイは技術で操ってるってのか……いや、このジジイだけじゃない。あのクソ針もだ。いとも簡単にラグナの手足を切断してたもんな……
「ほっほっほ、操れまい? 先ほどのは偶然かの。下手に触ると体を失うことになるでの?」
いきなり元気になりやがった。
「しばらく借りとくぞ。で、メタリックサンドスライムメタルからは他にどんな武器が作られてんだ?」
ほーう。刃鋼線だけでなく刃物もあるのね。ただ、普通の刃物じゃなくて極薄だったり伸縮したりするのか。私には使いこなせないだろうから興味も湧かないけど、極薄の刃物だったら母上の風斬みたいに切れ味抜群だったりするのかねぇ。
メタリックサンドスライムメタル製、略してメタスラ製の武器は希少なもんで中々下っ端にまで回ってこないらしい。それだけにセティアニア商国内では値段が青天井だとか。
あ、値段で思い出した。
「ジジイ、有り金全部出せ。」
身体検査なんかしたくないからね。自発的に出してもらおう。
「か、体が動かん……」
おっと、そうだった。
『麻痺解除』
右手だけね。
「ゆっくりだ。懐に手を入れるんならゆっくりやれ。」
このジジイは金目の物と言ってナイフを出すタイプだからな。
「そら……」
それ財布なのか? 職人の道具袋のようにぐるっと紐で巻かれている。
「自分で開けろ。」
この手のジジイって毒の針とか仕込んでてもおかしくないからな。
紐を解いて、布を広げる。おっ、銅貨じゃん。それから大小様々な鉄の硬貨か?
「これで全部か?」
「ま、まだある……くっ……」
めちゃくちゃ悔しそうじゃん。正直ってのは辛いねぇ。
「全部出せ。今さら拷問とか面倒なことさせるなよ?」
「くっ……」
おっ、出てきた。金貨か? いや、それにしては輝きが違うような……




