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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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360、キアラのおねだり

キアラに私達がここでお別れだと伝えたところ……


「やだやだやだーー! もっと遊びたいー! やだやだーー! カー兄行っちゃいやだぁーーーーー!」


などと駄々をこねられてしまった。なんてかわいい奴だ。


だからあっさり予定変更。全員をミスリルボードに乗せてタンドリーまで。エルネスト君達に見送られながらバンダルゴウを飛び立った。




それから……夕食タイム、ではなくタンドリー行政府の中庭で狼ごっこが始まった。もちろん言い出したのはキアラだ。私と思いっきり遊びたかったらしく到着するなり「狼ごっこしよー! 私が狼ねー! みんな逃げてー!」などと叫ぶ始末!

これには私もフランツも一目散に逃げ出した。もちろんコーちゃんもカムイもだ。逃げ遅れたのは護衛さん。アレクが動いたことで我に返ったらしく身を翻したのだが、一瞬遅かった。特急列車のようなキアラに跳ね飛ばされて、姿が見えなくなっていた。どこまで吹っ飛んだんだ?


もはや狼ごっこのレベルではなかったんだよな……これもうデスゲームじゃない?


キアラったら身体強化だけでなく風の魔法まで使ってるみたいで、やたら動きが速い上に鋭いんだよ。なぜそんな高速で動いてるくせにそこまでカクカクスパスパ曲がれるんだよ……

しかも! いつぞや実家で狼ごっこをした時のように私達の足元に『泥沼』や『落穴』の魔法は使うわ中庭から出られないよう『水壁』で囲うわもうめちゃくちゃだったんだよな……


で、最後まで残ったのは私とコーちゃんだ。カムイもそれなりにしぶとかったのだが、着地の瞬間に『泥沼』を使われて身動きが取れなくなったのだ。しかもよく見ればただの泥沼ではなく、ゴキブリホイホイやネズミ捕りのように粘着するタイプの泥沼だったんだよな。それでもカムイなら『魔声』で吹き飛ばすこともできただろうが、その前にキアラに跳ね飛ばされたんだよな。両足が粘着沼に囚われてるのに跳ね飛ばされるって意味が分からないが……


「カー兄楽しいねー!」


「おう! 楽しいな!」


「ピュイピュイ」


キアラが容赦なく魔法を使いまくるせいで庭はもう穴だらけの泥沼だらけ。ぬたうつのが好きなラスティネイルボアの大群が暴れ回ったのかってぐらい荒れ果てている。コーちゃんにとっては好みの環境みたいだけどさ……


だから面白いアイデアを思いついた。


『凍結』


「キアラ、ここからは魔法なしでやらないか? どうも終わりそうにないからさ。」


地面が泥だらけなら空中戦ということになる。そうなると私だってキアラに劣るものではない。何匹ものドラゴンに勝ってきたんだからな。

だから地上戦だ。単純に身体能力ならまだどうにか私の方が上回っていることだろう。だから地面を凍らせた。これならハンデなしと言えるのではないか?


「いいよー! うわーっ! 滑るねー!」


そう。完全に凍った氷なら解けることもなくそこまで滑ることもない。だが、今回は違う。魔力を抑え気味で凍らせたからな。しかも季節は夏。ほどよく解けてほどよく滑るってわけだ。かなりデコボコだからそこまで盛大に滑りはしないかな?

しかも私の靴底はエビルヒュージトレント材な上にサントリーニ親方の謹製だからな。少々のぬかるみでは滑らないのさ。もちろんこんな氷の上でもな。

さあキアラ! 正々堂々と勝負だ!


ん? 何それ?


どう見ても木刀なんだが……


「えーいやー!」


危ねっ! な、なんだ今の……私とキアラの間合いは五メイル以上あったのに……それを一瞬で詰めてきやがった……

しかも木刀で頭を狙われたぞ……


「うわー、やっぱりカー兄すごーーい! 避けられたー! えーいやー!」


マジか! 間合いが一瞬で!?

分かったぞ……キアラのやつ、あれが使えるようになってやがる……用心棒貴族ジーンが使ってた縮地(テラトレシア)を……それ半分魔法じゃん……


だが、甘いな。縮地との対戦はジーンやスティード君で慣れている。一瞬で間合いを詰めるスピードは驚異だが、途中で方向転換できない弱点はどうする? スティード君あたりは知ってて放置してそうだよな。で、放置してると思わせてから隙を狙いそうだ。キアラはどうかな?


「えーいやー!」


素直すぎる……わざわざかけ声まで発しているし。避けろと言わんばかりだ。ならば……少し試してみるか……


「えーいやー!」


移動速度は驚異、剣筋も鋭い。だが、ひどく直線的で読みやすい。だから……


「うっわぁーー! 木刀が砕けたーー!? カー兄すごぉーーい!」


何のことはない。キアラの木刀の軌道上を蹴っただけだ。私の靴はドラゴンブーツな上に脛当てはイグドラシルだからな。市販の木刀なんて枯れ枝ですらない。


「よしキアラ。ここまでにしようか。さすがに腹へったよ。晩飯にしないか?」


「えーー……もっと遊びたいのにーー……」


「ピュイピュイ」


「コーちゃんもお腹へったってさ。コーちゃんに我慢させるなんてだめだろ? キアラに魔力を込めて欲しがってるぞ?」


半分嘘だけど。腹がへったというのは本当。だってもう日没から何時間経ってんだよ……外はとっくに真っ暗なんだぞ? それをキアラったら強力な『光源』使ってるもんだからさ。気分的には昼間なんだよね。いやーいい汗かいたわ。やっぱ狼ごっこっていい鍛錬になるよな。つーか狼ごっこで武器を使うのは反則じゃないのか? まったくキアラは自由なんだから……


いやー楽しかった。やっぱ時には童心に帰るべきだな。さすがキアラだ。

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[一言] 無邪気な強者は怖いかも。
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