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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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309、二枚舌カース

戻ってきた。本当に三分で。何もかも捨てて自分だけ逃げる可能性もあったのに。意外……


「こ、これで……」


「アレク、お願い。」


「ええ。」


『金貨判定』


「たぶん本物だと思うわ。私の金貨判定だと白金貨に正しく反応してくれるかどうか自信ないから。」


あー、あくまで金貨を判定する魔法だからってことか。白金貨なんて普段は目にしないもんなぁ。


「こ、これで……いいんだな?」


「ああ、いいだろう。これに懲りたら今後は真っ当に商売するんだな。」


「あ、ああ……」


丸オーク野郎は悔しそうな顔、番頭は悲壮な顔をしてる。


「じゃあな。困ったことがあったら言ってきな。」


聞くとは限らないけどね。


「あ、ああ……」


では、さらば。

今夜の宿はどうしようかなー。




外に出てみるとローレン達が待っていた。


「なんだ、まだいたのか。」


「今一度魔王様にお礼をと思いまして。本当にありがとうございました」

「夫から聞きました。あの魔王様のみならず氷の女神様にまでお助けいただけるなんて……お礼申し上げます」


「いいのよ。カースにとってはゴブリンの手をひねるようなものだわ。」


そんな慣用句はあるけどゴブリンの手に触れるなんてすごく嫌だよなぁ。


「ところで、タイタスさんは無事なんでしょうか……」


「ああ。ちゃんと生きてるぞ。」


こいつにとっては殺した方が都合がよかったのかも知れないけどね。私にだって都合があるからな。護衛のチンピラぐらいなら問題ないけど、それなりの大店の店主を殺したとなると騎士団の取り調べが面倒なことになりそうなんだよな。そりゃあ証拠一つ残さず全て更地にするってのもできなくはないけど、そこまでの労力をかけるのもねぇ? 大金ゲットしてさらっと帰るのがベストってもんさ。


「そう……ですか……それより魔王様、お近くに寄られた際にはぜひお立ち寄りください。このご恩は忘れません!」

「本当にお世話になりました」


「ああ。元気でな。」

「じゃあね。」


ローレン達の馬車は行った。さて、私達も動くとしようかな。ここらはそこそこ街中(まちなか)みたいだし、そこら辺に宿ぐらいあるだろう。もうすっかり日が沈んでしまったなぁ。今からだとゼマティス家には行けないよなぁ。第三城門はもう閉まってるもんなぁ。


「じゃ、宿を探そっか。近くにあるといいけど。」


「そうね。少しお腹もすいてきたわね。ところでカース?」


「ん? 何かな?」


「偽金貨の件、本当に騎士団にも国王陛下にも黙っておくの?」


おっ、さすがアレク。あれは貴族としては放置できない問題だもんな。


「もちろんだよ。約束はしてないけど口止め料貰っちゃったからね。でもさ?」


「でも?」


「ゼマティス家で土産話ぐらいすると思うよ。後は伯父さんか伯母さんがどうにかするんじゃない? 王都のことは王都の貴族に任せておけばいいよね。」


さすがにもう贋金の捜査なんて面倒なことやってらんないからな。王都で適当に買い物したら南の大陸に出発しよう。兄上やキアラには一目会っておきたいかな。あ、それを言うとスティード君達だって……


「あはははっ! さすがカースね! 愉快だわ! あんな商人許してはおけないものね。」


えらくウケてるなぁ。


「だよね。南の大陸の産物をたくさん扱ってるみたいだし他にも悪どいことしてそうだもんね。」


これは私の偏見が入ってるんだよね。他の大陸と取り引きがある商人は密輸をしてるって偏見がさ。実際はさっきの丸オーク野郎が船を持ってて直接南とやり取りしてるのかすら知らないもんね。


「それもあるけど、あの奥さん無事じゃなかったわ……着衣の乱れに目の充血……首や手首には縄の痕まで……許せないわ。」


「そうだね。許せないね。」


私はそこまで見てなかったが、何もされてないとは思ってない。あれだけチンピラ護衛がいるんだから無事なはずがないよな。もっとも、先は長くないだろうけどさ。

ゼマティス家に言うってことは国王に言うのとほぼ同じだもんな。おまけに長男のガスパール兄さんは宮廷魔導士だし。あいつらもう終わりだよな。


「でもよかった。やっぱりカースは私の考えることなんか全部お見通しなのね。大好き!」


ぬふふふ。アレクが後ろから抱きついてきた。ドラゴンウエストコートの防御力の高さが邪魔だぜ……


「行こっか。何か美味しいものでも食べようよ。」


「ええ! 楽しみだわ!」


初めて王都に来た時に泊まったのは、海鮮が旨い宿だったんだよな。あれが第何城壁内だったか、どのエリアだったか全然覚えてないんだよなぁ。そもそも覚えてたとしてもここから近いとも思えないし。やっぱ適当に歩いて探した方が早そうだな。幸い店はいくらでもあるし。ど・れ・に・し・よ・お・か・な……


飲食店も多いね。高そうな店からいかにも酒場って感じの店まで。そういやさっき丸オーク野郎がハスコーリ・ダ・レイサから料理人を呼んでるとか言ってたな。あの店はかなり美味かったけどめっちゃ高かったよなぁ。サンドラちゃん達と行ったっけ。王都にいる間にもう一回ぐらい行こうかな。


「えっ!? カース君!? カース君なの!?」


ん? 背後から声が。今のはもしや!?

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