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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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308、カースの空手形

「ホーリィ!」


「ローレン!」


奥さんの見た目は無事だ。見る限り外傷はない。


「おい、さっさと縄をとけ。」


「なんだお前? 誰に命令しているのやら。それにしても旦那様、何を遊んでおられるのです? この女を脅しに使うのでしょう? まずは何からやりますか?」


何なのこいつ? この状況が理解できてないのか? お前の旦那は肩から血を流して両腕をだらりとぶら下げてるのによ。


「ち、ちが……」


「お前達よくもやってくれたな。見ての通りこっちには人質がいるんだぞ? これ以上暴れてみろ。この女の顔をズタズタに刻んでやるぞ? ねぇ旦那様?」


あー、人質をとってるから有利だと勘違いしちゃってるパターンね。たった一人、それも盾にすらできない女なのにさ。


『………………分かったな?』


伝言で指示。ローレンは右耳を軽くかいた。


『狙撃』


「きひゃいっ!? お、お前何を! こいつがどうなっても……んがっ!?」


「ホーリィ! ホーリィ無事だったか!」


「遅いわよ……でもありがと……」


よし成功。隙を作るから突っ込んで取り返すよう指示しておいた。ロープを掠めるように番頭を撃ってやったのだ。上腕に当ててやったので、持ってたナイフも落とした。商人がチンピラの真似なんかしても上手くいくわけないよな。


『水壁』

『水壁』


では番頭と会長、二人仲良く水壁に入ってもらおうか。


「なっ、なにを……」

「ひいいいい! 痛い! 痛いじゃないか! 何をするんだ!」


番頭のやつ元気だなぁ。ただの水なのに。両肩に穴が空いた会長に比べたら大したことないだろうに。


「とりあえずローレンは約束を果たした。証文か何かあったら出せ。」


『水壁一部解除』


右手だけ動くようにしてやった。


「こ、これ……」


「これか。どうだローレン、間違いないか?」


「そ、そうです! これです!」


「好きにしていいぞ。それともこっちで焼いてやろうか?」


面倒だったけど、これで解決だな。やれやれ。


「ありがとうございます。これは大事に取っておこうと思います。今回の件を忘れないためにも」


おー、偉いね。初心忘れるべからずって言うもんな。少し違うか。それにしてもこいつってこんな口調だったっけ? もっとタメ口っぽかったような気がするが……どうでもいいけどさ。


「ではこれで依頼は達成だな?」


「はい! 本当にありがとうございました! こちら約束の大金貨一枚です! それからこれは私からの気持ちです!」


大金貨一枚に金貨二十枚。約束より二割増しか。金額にしてみれば大したことはないが、その気持ちが嬉しいね。


「受け取っておく。よかったな。もし今後困ったことがあったらギルドかゼマティス家に伝言しとくといい。俺まで届くかどうかは分からんけどな。じゃ、先に出てな。俺らはこいつと話があるから。」


「分かりました! 魔王様どうもありがとうございました! このご恩は忘れません! では先に出ておきますね!」


ローレンの口から魔王と聞いて丸オーク野郎の顔色が一気に変わった。さすがに名前は知ってるわな。王都で、しかも商人で魔王を知らなかったらモグリどころじゃないもんな。顔は知らなかったみたいだが。遅かったねぇ。




「さて、お話をしようか。お前らはアレクサンドル家のアレクサンドリーネお嬢様の命だけでなく、この魔王カースまで狙ったわけだ。この無礼はどう償ってくれるんだ?」


「あ……そ、それは……ま、まさか魔王様とは、つゆしらず……」


番頭は一言も喋らない。まあこいつに用はないからいいんだけどさ。


「さっき言ったよなぁ? アレクに指一本でも触れたら殺す。傷一つつけたらここを更地にするってよ?」


「そ、それは、その、はい……」


まあこいつらアレクには触れてないけどね。


「お前らも商人なら命より金が惜しいんだろ? だから更地は勘弁してやるよ。代わりにお前ら二人の命をもらっておく。そうすりゃこの商会は潰れなくて済むよな?」


「そ、そんな! た、たた、助けてください! わしはまだ死にたくない!」


急に大声になりやがった。


「しかも偽金貨を持ってやがったな。どこから手に入れたのかは知らんが、放っておける問題じゃないよな?」


「ち、ちがう! 届け出ようと思って! そ、それがたまたま、なぜかあそこに紛れただけで!」


「言い訳は騎士団詰め所で言いな。拷問されるよりは尋問魔法くらった方が気楽でいいだろうぜ。お前らバカな真似したなぁ?」


「だ、旦那様!? に、偽金貨とは!? ど、どうしたことで!?」


あらら、番頭は知らなかったのか? 私にはどうでもいいことだけどね。


「い、いくらだ、いくら欲しい……」


へー……悪党らしいこと言ってくれるじゃないの。金より命が惜しいのね。二流の商人だな?


「白金貨五枚でいいぞ。」


先ほどローレンから貰った報酬のざっと五十倍。アレクの首を飾る金緑紅石の原石と同じ額だ。ここぐらいの大店なら出せるだろ。


「は、白金貨で五枚……それだけ出せば今回の件を黙っていてもらえるのだな……」


「ああ。騎士団に届け出るなんて真似はしないさ。もちろん国王陛下に直接ご報告なんてこともしない。」


こんな場面で国王を引き合いに出されると余計ドキッとするだろ? 特にこいつみたいに悪事の自覚がある小悪党は。


「白金貨を持ってくる……これを解いてくれ……」


「いいけど逃げたらこいつが死ぬからな?」


「三分でもどる……」


さすがに王都に店を構える商会だけあって白金貨五枚でも即金で用意できるのな。手形払いなんて言いやがったら更地にするけど。


いやー思わぬ臨時収入だな。なんというボロ儲け。南の大陸に行く前に買いたいものがたくさんあることだしちょうどいいね。やっぱ人助けってするもんだよなぁ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] たぶんいろいろ事件が多すぎて、あと一年くらい旅立てない予感がします(笑)
[一言] 南の大陸に行くより、残っていた方が儲かるんじゃあ。
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