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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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304、コントレバンド商会のタイタス

夕暮れの王都。街は賑わっている。すっかり復興してるねぇ。


「で、行き先は何てとこなんだい?」


「コントレバンド商会ってとこだ。主にお茶や紅茶、それからコーヒーなんかを扱ってるとこでね。そこが最近は南の大陸産のコットンも扱いたがってるようで相談を持ちかけられたのがきっかけで……」


「なるほどね。」


仕入れルートを持ってるローレンとは仲良くするべきじゃないの? どうして罠にはめるような真似をするかねぇ……

それとも自分達だって南の大陸の産物を扱ってるもんだから目障りだったとか? かなり値打ち物である南の大陸産のコットンなんかを一介の行商人ごときに扱われてるのが気に入らないとか? あり得るなぁ……

そういやセンクウ親方も何やら相手のことを知ってるみたいだったな。評判悪い商会なんだろうか?


馬車に揺られること三十分。ようやく着いたらしい。王都は広いもんな。


「着いたよ魔王様。じゃあ、頼むぞ……」


「護衛はな。」


護衛以外何をしろと言うんだか。そもそも私は護衛の依頼なんて今回が初めてなんだぞ? どうすればいいのかなんて分かってないんだからな?


「頼もう! パスロ商会のローレンだ。約束の金を持ってきた。タイタスさんを呼んでくれ!」


どことなくスピオスライド商会を思い出す大きな店だ。ローレンが声をかけたのは二十代後半の男。たぶん手代ってところだろうか。


「し、少々お待ちを……」


奥に引っ込んだ手代。


さて、正念場だな。タイタスか。どんな外道なんだろうね。ヒイズルに着いたばかりの時、オワダの街のクウコ商会の奴らを思い出すなぁ。やっぱ外道ってのは国が違っても何も違わないんだろうな。


「お待たせしました。ど、どうぞこちらへ」


「ああ」


ローレンと共に入るのは私とアレク。護衛を請け負ったのは私だが、このような場面ではアレクの身分が役に立つことは間違いないからな。ちなみにコーちゃんは私の服の中に隠れているし、アレクは私の意見でドレスに換装している。


「こちらへどうぞ」


「ああ。ありがとう」


案内されたのは……応接室にしては派手だな。壁には隙間なく絵が飾られてるし、花瓶などの調度品も派手だ。


「座っときなよ。俺は後ろで立ってるからさ。」


「あ、そうだな……ふぅ」


座り心地の良さそうなソファーだ。隣にアレクも座ってもらう。きっと何かの役に立つと思うんだよね。


『ローレン、これは伝言(つてごと)という魔法だ。俺の言葉を口に出さずに伝えることができる。最中に何か言うかも知れんから先に教えておく』


「あっ、わ、分かった……」


驚いた顔でこちらを振り向く。そりゃあいきなり心に声が届いたら驚くよな。だから先に言っておいたんだよ。




「くそ……まだか……」


『黙って待ってな。お茶も出さない舐めた相手だけどよ』


私は気配に敏感とは言えないからな。隣の部屋に誰かが隠れていても分からない。ただ隙を見せないことを心がけるだけだ。

で、どうコーちゃん? 周囲に人の気配はある?


ふむふむ。あの絵の向こう側に何人かいるのね。へー、あの絵が集音の魔道具的な役割をしてるのか。貴婦人が座ってるだけの絵なのにな。


『ここでの話は聞かれてると思っておくといい。だから適当に大嘘こいとくといいかもな。それからもう一つ、俺から何か質問をするかも知れない。はいなら右手で右耳、いいえなら左手で左耳に触れてくれ』


よし。右耳を掻いている。


『もし困ったら足を組んでくれ』


よし。やはり右耳を掻いた。ちゃんと伝わってるな。この手の打ち合わせは来る時の馬車でやっておけばよかったのだが、金貨二百枚払って終わりだと思ったんだもん。こういう対応に出るとはな……やはり、よほど目障りだったのか。

それにしても、川止めで出会った縁がこう化けるとは……おもしろいねぇ。


「はぁ、金貨を揃えることはできなかったが……これだけの美貌だ。きっとタイタスさんも許してくれるだろう……」


おっ、演技開始か?


「そ、そんな……そのために私を連れてきたの!?」


おお、アレクもアドリブで返すじゃないの。やるなぁ。


「ふん……黙ってろ」


これ演技じゃなかったらぶち殺してるよね。ローレンだって実は冷や冷やしながら言ってそう。




それにしても待たせるなぁ。どんだけ舐めてんだよ。まさか一晩中待たせておいて金貨を受け取らないつもりだったり? そのまま期日が過ぎるまで逃げるとか!? 外道ならそれぐらいやりかねないよな。むしろ王都の外で待ち構えておいて襲撃とかしそう。今回は期日より早く、おまけに空から帰ったからできなかっただけなんじゃないの?


おっ、そうなのコーちゃん? 誰かが近寄ってきてるのね。


『そろそろ来るぞ』


私にも足音が聴こえてきた。ドタドタと下品な音が。


乱暴に扉が開かれ、男が入ってきた。太さの割になかなか素早い動きするじゃん。


「待たせたな。金貨の用意ができたそうだな」


丸々と太ってやがる。ソファーが悲鳴をあげてるぞ?

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