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異世界金融 〜 働きたくないカス教師が異世界で金貸しを始めたら無双しそうな件 〜 #いせきん  作者: 暮伊豆
第5章

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297、川止め

あー、なるほどね。増水してんのね。だから船が出せないわけか。それでみんなあれこれ動いてるわけね。宿の手配に走る者、どうにか船を出させようと交渉する者。そして魔法使いを手配しようとする者。

船着場の周辺に集まってる人間はざっと百人。それぞれが馬車を持ってるとしても私なら全員を対岸に運ぶことは難しくない、が……今後のことを考えると手出しはするべきじゃないだろうな。飛べる奴はさっさと飛んでいってるし。


「アレク、そこら辺で何か食べない?」


「それがいいわね。どうするかはそれから考えればいいわ。カースがね?」


アレクったら。私の判断に任せるってことだね。かわいいんだからもう。


「はは、じゃあ何を食べるかはカムイに任せようかな。」


なんせ屋台が多いもんなぁ。私が選んだら定番の串焼き肉になってしまうぞ。


「ガウガウ」


おっ、あれがいいのか。どれどれ……




「へいっ毎度! いくつにしましょ!?」


「四本頼むよ。」


「へいよっ! 四本で銅貨三十二、いぃや三十枚でさ!」


銅貨!? え、ちょっと待てよ……銅貨なんて持ってないぞ?


「これで。釣りはいいさ。」


銀貨を一枚。三千円の勘定に一万円札を出すようなもんか。そして釣りはいらないと。やりすぎ?


「あらまっ! これはお大尽様でしたかい! そんならもう一本おまけしときまさあ!」


銅貨一枚は百イェン、銀貨一枚は一万イェンだもんな。千イェン硬貨とかないと不便じゃないのかねぇ。


「ありがとよ。」


さてさて。見た目は鮎に串を打って塩焼きにしたって感じだが……カムイが川魚を選ぶとは珍しいこともあるもんだ。


「ガウガウ」


塩かげんがちょうどいいって? てことはあんまり塩が利いてないってことか? 見た目は所々白くなってて塩がよく利いてそうなのに……あ、旨い。


「これ美味しいわね。トゥリュアーユかしら? ルミフルブ川の支流でよく獲れるって聞いたことがあるわ。おまけにこの塩は……サウジアス海産? 川と海の出会いってわけね。洒落てるじゃない。」


そうなの!? 難しいことは分からないけど、美味しい!


「おっ! お客さん目利きですねえ! うちは塩にこだわってんでさあ! なんとアジャーニ領はセルノハナから仕入れてんですぜ? その分ちいっと値は張りますがどうですう? いい味わいでしょお?」


セルノハナ……もちろん知らない。でもアジャーニ領は海に面してるし塩作りをしてても不思議はないな。ローランド王国で海塩って珍しいけど。何にしても値が張ってこれなら全然文句ない。おまけだってしてくれたし。


ふーう、美味かったなぁ。残った骨はコーちゃんとカムイが食べたし。鮎っぽい魚を外で丸かじりするアレクの姿も新鮮だったし。とても高位貴族のすることじゃないね。最高。

よし次行こう。






ふーー……もうだめ。歩けない。カムイに付き合って行く先々の屋台で食べてたら……お腹いっぱいすぎる。心なしかドラゴンウエストコートも悲鳴をあげてないか? サイズ自動調整が付いてるってのに。

もう歩くのやだな。このままここに泊まろうか……でもどこの宿もいっぱいなんだろうなぁ。対岸に渡ってもいいし、そこらの広いところにピラミッドシェルターを出してもいい。どうしようかな……さすがにまだ昼過ぎだしなぁ。宿を取らないなら慌てることは何もないし……よし決めた。


「アレク、膝枕してよ。」


「いいわよ。ここで?」


「いや、もう少し人がいないとこへ行こう。川が見えるとこだとなおいいな。」


「ガウガウ」


あらら、寝るなら散歩してくるって? 迷子に……なるわけないか。問題起こすなよ? 無駄な我慢はしなくていいけどさ。


「ピュイピュイ」


ふふ、コーちゃんが一緒なら安心だね。行っておいで。じゃ、後でね。


「コーちゃん達は散歩に行くって。僕らは寝られそうな場所を探そうよ。」


「ええ。カースに膝枕をするのって久しぶりな気がするわね。なんだか心が湧き立ってくるわ。」


外で、するのがね。室内だと結構してもらってるんだけどさ。アレクが覚えてないわけないよね。


「おっ、あの上が良さそうじゃない?」


街の中にぽっかりと空いた公園らしき小高い空き地。中には遊具はないが小山や樹木はある。公園ってよりは火除け地、もしくは避難場所かな? 川が氾濫することだってありそうだし。


「悪くないわね。特に立ち入り禁止ってこともないみたいだし。行きましょ。」


お手手つないでそこまでお散歩。あんまり歩きたくないなぁ。でもたまにはアレクに手を引かれるのも悪くないね。言い出したのは私だけど。


『水壁』


「さ、カース。いらっしゃい。」


「うん。ありがとね。」


小高い場所にアレクの水壁。おほっ、ひんやりしてる。これは気持ちいいね。


『換装』


むふふっ、しかもアレクったらミニスカートに履き替えてくれちゃって。ありがたいねぇ。はあぁ……すべすべしっとり素敵な感触……この世で最も素敵な枕だね。つまり私はこの世で一番の贅沢者。最高すぎる。腹はいっぱいだし天気はいいし、空気はじめじめしてるけど背中は冷たいし。そしてアレクの膝枕……圧倒的天国……

あぁ……もうだめ、寝る……

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― 新着の感想 ―
[一言] 何があっても困りゃしないし、どこでめ楽しめちゃうんですよね。
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